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春の山菜採り 海辺の一家11


    谷のむこうで ウグイスの声がする。

    「ケキョ ケキョ… ホーホケケキョ」

    「下手やなぁ」
    蕗を採る手を止めて、腰をのばした清ばあちゃんが笑った。

    「まだ練習中で〜す」
    茂みで ごんぱちをポキポキ折っていた玲子さんもクスクス笑う。


    ご近所どうしの二人は
    玲子さんの運転する車で少し遠出して、山菜採りにやって来た。

    汗ばむような春の日差しに、谷川の水音が心地よく響く。
    二人は、どっさり採れた 蕗とごんぱちの束をわきに置いて
    木影にあったベンチ代わりの丸太に腰を下ろした。

    お茶を飲んでいると、にぎやかな声が近づいて来る。
    聞こえるのはどうやら日本語ではない。
    そういえば、二人が座っているのは熊野古道の一角だ。

    「Hello」「コンニチワ〜」
    現れたのは、若い男女と年配の男性 三人の外国人だった。

    女性は、二人の山菜に目を止めて
    「コレは なんですか?」

    「う〜ん」と ちょっと考えた玲子さんが
    「サンサイ… ワイルド ベジタブル」と答える。

    「お〜 みてもいいですか?」
    「どうぞ どうぞ」


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    玲子さんは、ごんぱちを手に取ると皮をむいて、かじって見せた。
    「オ〜!」彼女は目をまるくした。

    その様子を、笑って眺めていた年配の男性が
    スマホを手に「いっしょにシャシン、いいですか?」

    「えっ あっ」とドギマギする清ばあちゃんをよそに
    「OK OK」玲子さんはすっかり乗り気だ。

    こうして、見知らぬ外国人に囲まれて
    ちょっとかたくなったばあちゃんと
    にこにこ笑顔の玲子さんが、写真におさまった。

    ついでに玲子さんのスマホにも
    外国人三人とばあちゃんの写真。

    「サンキュー」「バーイ」
    三人は手を振って、熊野古道を登って行った。

    「なんか 緊張したねえ」
    「ワタシも」
    二人は顔を見合わせてわらった。

    「まさか ごんぱち採りに来て、外人さんと会う日が来るとは思わんかった」
    ばあちゃんはしみじみとつぶやく。

    その夜
    「まさか 母さんから外国人といっしょの写真が来るとは!」
    ばあちゃんの一人娘の由紀は、ラインを開いて驚いていた。

    さらに数日後
    「お〜い これ お義母さんじゃないか! 熊野古道って書いてあるよ」
    日本観光に来た外国人のブログを見ていた 由紀のご主人が、叫んだ。

    清ばあちゃんは、いつの間にか海外デビューしてしまったのだ。


    <    後書き >
    「ごんばち」 正式には「イタドリ」というタデ科の植物
    日当たりの良い山の斜面や 土手や河原 など、日本各地に広く自生している。
    地域によっては「すかんぽ」とも呼ばれている。

    さっと湯通しして皮をむき 水に浸して軽くアク抜きしてから
    油炒めにするのが おすすめの調理法です。
    程よい酸味と 油の相性が ピッタリ。


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    魔法使いに、「絶世の美女か? 量子力学の天才か? どっちになりたい?」と聞かれ  「両方!」と言ったら、張り倒されて風に吹かれている🌸

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