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『無胜ず远攟された䞭幎、䟡倀が芋える力で異䞖界の商売をひっくり返す』第2話「䟡栌ず䟡倀は別物だ」

    あらすじ
    翌朝、老婆の息子・ゎルドが遺物を持っお珟れた。カズはその䟡倀を即座に芋抜き、叀物商を通じお買い手ぞ぀なぐ。だが取匕を終えた盎埌、垂堎に奇劙な歪みがあるこずに気づく。売り手が叩かれ、買い手が損をしお、埗をしおいるのは間にいる䜕者かだった。

    ゎルドは玄束の時間より䞀時間早く来た。
    䞉十がらみの倧柄な男で、背䞭に革袋を背負っおいた。老婆の息子だず名乗り、カズを倀螏みするように芋おから、無蚀で袋を䞋ろした。
    䞭から出おきたのは五点だった。
    昚日の圧力蚈ず同型のものが二本。甚途䞍明の金属板が䞀枚。蓋の぀いた小さな容噚。そしお、衚面に现かい文字が刻たれた石板だった。
    カズは䞀点ず぀手に取った。
    圧力蚈の二本は昚日のものより保存状態がいい。金属板は裏面に接続端子らしき突起があった。容噚は密閉性が高く、内偎に残留物がある。石板は——重かった。玠材が違う。衚面の文字は芏則的すぎお、装食じゃない。
    党郚光っおいた。
    「山のどのあたりで芋぀けたしたか」
    「北偎の厩れた建物跡だ。他にもある」
    「党郚同じ堎所から」
    「そうだ」
    カズは石板を眮いた。遺跡だ。旧文明か䜕かの斜蚭跡が山の䞭に埋たっおいる。ゎルドはそこに定期的に入れる。それ自䜓が資産だった。
    「五点で銀貚十四枚出したす」
    ゎルドの目が動いた。昚日の老婆ず同じ反応だった。想定より高い。
    「  本圓に出るのか」
    「叀物商に話は぀けおありたす。今から䞀緒に行きたしょう」
    叀物商の店䞻——昚日、名前を聞いた。ダルクずいった——はすでに買い手ず話を぀けおいた。圧力蚈に興味を持った機械垫ず、石板を欲しがっおいる研究者厩れの二人だった。
    倀亀枉は䞉十分で終わった。
    カズが間に入り、買い手それぞれに甚途ず垌少性を説明し、倀を匕き出した。圧力蚈䞉本で銀貚二十二枚。石板で銀貚八枚。金属板ず容噚はダルクの店で預かりにしお、買い手を探すこずにした。
    ゎルドは受け取った銀貚を䜕床も数えた。
    「今たで山のものを売るず、い぀も買い叩かれた」
    「どこで売っおいたんですか」
    「垂堎の仲介屋だ。持っおいくず半倀以䞋になる」
    カズは頷いた。
    「たた来おください。山に入るたびに声をかけおくれれば、適正な倀を぀けたす」
    ゎルドは少し間を眮いおから、頷いた。蚀葉少なな男だったが、その頷きには重さがあった。
    午埌になった。
    カズはダルクの店を出お、垂堎を歩いた。
    仲介屋、ずゎルドが蚀った蚀葉が頭に残っおいた。垂堎で売り手ず買い手の間に入り、䟡栌を操䜜する。それ自䜓は珍しい商売じゃない。だが「半倀以䞋」は異垞だった。
    垂堎の䞭ほどに、それらしい䞀角があった。
    幟が立ち、五人ほどの男が仕切っおいる。売り手が列を䜜り、順番に品物を芋せおいた。男たちは品を䞀瞥しお倀を告げる。売り手は枋い顔をしながらも、ほが党員が受け入れお立ち去っおいく。
    カズは列の端に立っお芳察した。
    芋えた。
    仲介の男たちが告げる買取䟡栌ず、品物が持぀本来の䟡倀の間に、倧きな乖離がある。叩いおいるのは盞堎を知らない売り手だけではなかった。意図的に倀を抑えおいる。そしおその品が埌でいくらで売られるかを、売り手は知らない。
    構造が芋えた瞬間、カズは列から離れた。
    正面からここに割り蟌むのは悪手だ。この芏暡の仲介を仕切っおいる者がいる。個人ではない。䜕かの組織か、あるいは——
    「おい」
    背埌から声がかかった。
    振り向くず、仲介の男のひずりが立っおいた。䞉十代、䜓栌がいい。笑っおいたが、目が笑っおいなかった。
    「さっきから芋おるな。䜕か売りたいものでもあるか」
    カズは男を芋た。
    光っおいるものはない。歪んでいるのは、この男じゃない。この男の埌ろにある構造だ。
    「いえ、垂堎を芋おいただけです」
    「そうか」男は笑顔のたた䞀歩近づいた。「新顔だな。この垂堎には、ルヌルっおものがある」
    「ルヌル」
    カズは繰り返した。
    男は笑顔を厩さなかった。「この垂堎で仲介を䜿わず取匕をするず、面倒なこずになる。新顔には教えおおいおやるのが芪切っおもんだ」
    「仲介組合、ずいうこずですか」
    「そういうこずだ」
    カズは男を芋たたた、少し考えた。
    昚日今日で動いた取匕は、厳密には仲介を通しおいない。ダルクの店を䜿ったが、ダルクはその組合に入っおいないらしい。だから今、こうしお声をかけおきた。
    「わかりたした。気を぀けたす」
    それだけ蚀っお、カズは歩き出した。
    男は远っおこなかった。
    ダルクに話を持ち蟌んだのは倕方だった。
    「仲介組合、ずいうのはここでは普通ですか」
    ダルクは棚の敎理をしながら答えた。「十幎前からだ。ノァルド商䌚が垂堎の仲介業者を束ねた。今はここの取匕の六割があそこを通っおいる」
    ノァルド、ずいう名前が匕っかかった。
    「匷制ですか」
    「衚向きはそうじゃない。ただ、組合を通さないず垂堎の良い区画が借りられない。荷運びの人手も回っおこない。気づいたら遞択肢がなくなっおいる」
    カズは黙っお聞いた。
    「売り手は叩かれ、買い手には高く売る。差額が党郚そこに流れる。品の䟡倀なんお関係ない。䟡栌を決めるのはあそこだ」
    「それに誰も抵抗しないんですか」
    ダルクは手を止めた。「䞀人いた。四幎前、組合に察抗しお独自の取匕網を䜜ろうずした商人がいた」
    「今は」
    「いない」
    それ以䞊は蚀わなかった。
    カズは瀌を蚀っお店を出た。倜の垂堎跡を歩きながら、構造を敎理した。
    ノァルドが垂堎の䟡栌決定暩を握っおいる。売り手は叩かれるこずを知りながら埓う。他に遞択肢がないからだ。買い手は盞堎がわからないたた高倀を払う。䟡倀が芋えないからだ。
    間にいる者が総取りする構造だった。
    厩すずしたら、二぀の方向がある。
    売り手に適正䟡倀を教えるか。買い手に適正䟡栌を教えるか。
    どちらも正面からやれば朰される。四幎前の商人がそうだったように。
    カズは立ち止たった。
    正面から厩す必芁はない。䟡倀が芋えない堎所に、芋える人間が静かに動けばいい。組合を叩くのではなく、組合が機胜しない隙間を䜜る。小さく、気づかれないように、ひず぀ず぀。
    宿に戻り、今日の収支を玙に曞き出した。
    手元に銀貚が増えた。ゎルドずいう定期的な䟛絊源ができた。ダルクずいう販路ができた。そしお垂堎の構造がわかった。
    十分だった。
    次にやるこずは決たっおいた。
    組合が手を出さない売り手を探す。䟡倀を正しく芋おもらえず、諊めお安売りしおいる者たちだ。そこから始める。
    カズは玙をたたんでポケットに入れた。
    窓の倖で、垂堎の残り火が消えおいくのが芋えた。
    明日も歪みがある。歪みがある限り、動ける。
    それだけで十分だった。

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    【今話のひずこず】
    「買取䟡栌の3倍で売られおる」っお、珟実でもありそうじゃないですかカズがやっおるこず、実はシンプルなこずやず思うずですけど、どう思いたすか

     
     

    aiseki_note

     
     
    䟡倀は、芋えないから怖い。芋えるから、もっず怖い。 異䞖界×商業ファンタゞヌ 『無胜ず远攟された䞭幎、䟡倀が芋える力で異䞖界の商売をひっくり返す』連茉䞭 SF『VIGINTI』も同時進行䞭 創䜜倧賞2026応募䜜 曎新は䞍定期〜週1ペヌスです。

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