
「天文人語」あとがき⑩
ここからの話は、私(わたくし)の独り言として聞いていただきたいのです。
愛する人がいると世界が違って見える、とはよく言ったものです。私は始め、この愛する人というものが、世間でいうところの恋人なのだと思っておりました。
ところが、愛する人とは恋人のことだけではありませんでした。不思議なことに私が見ている景色は、この所よく光って、どうもこれまでの世界とは違って見えます。初めて目を開けた時のように白く輝いて、ぴかぴかと綺麗な光で賑やかしいのです。世界がこんなにも輝くことを、私は身をもって知りました。
それは、この店のお客さまたちが本当の心に向き合ってくれた為(ため)だということを、私はよく知っています。どの方も、長い間そっと閉じていた私の心の扉をとんとんと叩いてから開けてくださいました。それが私にとってどんなに有難かったか分かりません。
溢れんばかりに輝くこの世界の中で、私も誰かの景色の一部になれたら、そんな幸せはありません。
この物語に関わり、読んでくださった全ての方々に感謝いたします。
朗読版では、音楽とともに作品の世界観をお楽しみいただけます。
「天文人語」は、制作チームのもとに生まれた作品です。
小説版を執筆しながら、朗読版が後を追いかけるように制作され、それぞれが一つの作品として出来上がりました。
執筆者は私ですが、企画者や編集、声優、音響などはまた別の人が携わっています。
縦書きであることや、活版印刷風のフォントで書くことを前提とした本作をnoteに出すことに初めは迷いもありましたが、それでもこの作品が様々な方のもとに届いたら、それは幸せなことかもしれないと思い投稿することにいたしました。
著者 きり
企画 山城隆輝(喫茶 天文図舘)
編集 小嶋慶太
音声編集 菅沼勇也
朗読 まお