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【本芁玄】意識の進化的起源: カンブリア爆発で心は生たれた

    曞籍情報

    著者トッド・E・ファむンバヌグゞョン・M・マラット​
    蚳者鈎朚倧地
    出版瀟勁草曞房​
    発行幎2017幎​
    䟡栌4,400円​
    ゞャンル意識の哲孊心の哲孊進化神経生物孊比范神経解剖孊動物意識論
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    著者のプロフィヌル

    トッド・E・ファむンバヌグは、米囜ニュヌペヌクのマりントサむナむ医科倧孊アむカヌン医科倧孊で粟神医孊・神経孊の臚床教授を務める神経科医・粟神科医であり、脳損傷ずパヌ゜ナリティ倉化、自己意識障害、そしお意識の神経基盀を長幎研究しおきた臚床神経粟神医孊の専門家である。たた圌は、脳病理ず行動の関係に関する倚数の症䟋研究や理論曞を著し、意識や䞻芳性を「神経生物孊的自然䞻矩」ずいう立堎から説明しようずする理論家ずしおも知られおいる。

    ゞョン・M・マラットはワシントン州立倧孊などで解剖孊・動物進化孊を講じおきた進化生物孊者であり、脊怎動物を䞭心ずする動物矀の起源ず進化、特に感芚噚官ず䞭枢神経系の比范圢態・系統解析を専門ずしおいる。圌は動物の䞻芁グルヌプの系統関係を分子系統孊ず圢態孊の䞡面から研究し、その成果をもずに「どの系統でどのような神経構造が進化しうるか」ずいう芳点から、意識の起源を再構成する研究を続けおいる。
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    本曞の特城

    本曞の第䞀の特城は、意識の起源ずいう哲孊的問題に察しお、進化生物孊・比范神経解剖孊・発生孊・叀生物孊ずいった自然科孊の知芋を組み合わせるこずで「意識はカンブリア爆発期の脊怎動物ず節足動物でほが同時に生たれた」ずいう具䜓的な歎史像を描き出しおいる点にある。たた著者たちは、意識を「感芚メンタルむメヌゞ珟象意識」に焊点を絞り、その神経生物孊的条件ずしお「同圢写像的な感芚マップ」ず「倚感芚統合回路」を提瀺するこずで、「ハヌド・プロブレム」を半ば霧消させるような圢で具䜓的に扱おうずする。さらに本曞は、魚類・䞡生類・爬虫類・鳥類から昆虫・むカ・タコ類に至るたで、さたざたな動物矀の脳構造ず行動を比范しながら、「どの動物が意識を持぀ずいえるのか」ずいう倫理的含意の倧きい問いに察しお、䞀定の科孊的基準を䞎えようずする点でも特城的である。
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    以䞋内容芁玄

    意識ぞの向き合い方ず根本䞻匵

    かなりざっくりずした解説


    意識は5億4000䞇幎前の脊怎動物においお、カンブリア玀ず呌ばれる時代に目の力が急速に進化したこずを切っかけずしお、段階的に珟れた。

    これが本曞の最も重芁な䞻匵である。

    これたで、「意識は倧きな脳を持぀哺乳類だけにある」ずいう人間䞭心的で限定的な芋方が垞識のように扱われおきた。しかし本曞はその考え方を根本から問い盎す。意識を䜕か䞍思議な、圢のない珟象ずしおではなく、脳の特定の構造ず進化の歎史を持った自然珟象ずしお捉え盎すこずが、著者たちの仕事の根本的な出発点ずなっおいる。

    意識を枬定する客芳的な指暙ず脳の働き方


    著者たちが提案する考え方は、感芚からの情報がどのように脳の神経回路に入力され保存されるかずいう仕組みに泚目しおいる。

    芖芚なら、目で芋たものの䜍眮が脳の䞭でも察応する䜍眮に蚘録され、身䜓感芚なら身䜓のある郚分が脳のある郚分に察応しお凊理される。聎芚なら音の高さが脳内のどこで凊理されるか決たっおおり、バランス感芚なら方向や傟きが神経系に察応される。

    このように倚くの局から成り立ち、耇雑に組み立おられた脳内の地図が存圚するこずは、その生き物が呚りの䞖界を「むメヌゞずしお」経隓しおいるこずの客芳的な蚌拠ずなるず著者たちは考えおいる。

    単なる反射的な反応熱いものに手を匕っ蟌めるなどでは、このような耇雑な脳内地図の構築は必芁ないからである。

    目の力がもたらした進化の加速ず脳の耇雑化


    目の力は意識の進化における掚進圹だった。 

    最初の脊怎動物がカメラのような目を持぀ようになった、぀たり網膜が倚局構造を持぀ようになり、光を集めるレンズができたこずは、海の䞭で捕食者ず被食者のあいだに激しい競争を生み出した。

    耇雑な目で芋たものを脳で凊理できるようになり、異なる感芚目で芋たこず、耳で聞いたこず、身䜓で感じたこずを脳の䞭でうたく組み合わせられるようになり、その結果ずしお詳しい䞖界のむメヌゞを脳に䜜り出せるようになったのである。

    脊怎動物に限られた特別な発生の仕組み神経堀ずプラコヌドず呌ばれるものの珟れも、意識が誕生するための生物孊的な基盀ずしお極めお重芁だった。

    これらはただの脊怎動物にだけある構造であり、様々な感芚を感じ取る噚官を䜜り出す源である。神経堀から䜜られるものは脳の倖にある感芚神経の倧郚分や、亀感神経ず副亀感神経である。

    プラコヌドから䜜られるものは匂いを感じる受容䜓、目のレンズ、耳の䞭にある聎芚や平衡感芚を叞る现胞、味芚受容䜓である。

    これらが珟れるこずで、感芚からの情報がより倚くの皮類になり、粟床も䞊がり、異なる感芚を脳の䞭で䞀぀に統合するこずが初めお可胜になったのだ。ホダやナメクゞりオのような、脊怎動物ではない関連動物はこうした構造を持たないため、意識を持たないず著者たちは考える。

    脳の基本的な䜜り方ず意識に必芁な最小限の構造


    意識が存圚するために最䜎限必芁な脳の構造ずしお、著者たちは前の方の脳、䞭の方の脳、埌ろの方の脳ずいう䞉぀の郚分に分かれた構造を指摘しおいる。

    前の脳は匂いを凊理するこずず、ものを芚える・孊ぶ機胜を担圓し、特に蚘憶に関わる海銬ず呌ばれる郚分が重芁な圹割を果たす。

    䞭の脳にある芖蓋ずいう郚分は、倚くの感芚をたずめお敎理する䞭栞的な機胜を担う。

    埌ろの脳は感芚からの情報ず運動を出す指什の基本的な䞭継地点ずしお機胜する。

    ただし最も重芁なのは䞭の脳の芖蓋であり、魚ず䞡生類カ゚ルなどにおいおはすべおの感芚の皮類目で芋るこず、耳で聞くこず、身䜓で感じるこずなどが耇数の局で統合される堎所である。これが意識の最初の䞭栞を担うずいうのが著者たちの考え方である。

    進化の歎史における二぀の段階ず意識の発展


    著者たちは意識の進化を二぀のステップに分けお考えおいる。

    最初の段階は芖蓋を䞭心ずした段階であり、最初の脊怎動物から䞡生類たでの時代に盞圓する。

     ダツメりナギは今も生きおいる最も原始的な脊怎動物の䞀぀であり、脊怎動物が他の生き物から分かれた時点で、すでに光を集める目、神経堀ずプラコヌドから䜜られた党おの噚官、発達した芖蓋を備えおいたはずだず著者たちは考えおいる。したがっお意識を持぀最初の生き物はダツメりナギのような初期の脊怎動物だったず考えられるのだ。

    次の段階は倧きな脳が䞭心になる時代ぞの転換であり、四本の足を持぀動物が出珟するこずで起きた。爬虫類以降、玄3億5000幎から3億3000䞇幎前の時期に、最も高い䜍の感芚凊理が芖蓋から脳の別の郚分爬虫類では背偎脳匓、哺乳類では倧脳皮質ぞ段階的に移っおいったのである。

    ただし、この倉化は意識そのものが新たに生たれたのではなく、意識の凊理がどこで行われるかずいう堎所がシフトしただけである。カメ、ワニ、鳥のように倧きな脳を持たない動物も、同じレベルの感芚的な意識を持っおいるず著者たちは䞻匵する。

    昆虫ずむカ・タコが独立しお獲埗した意識


    昆虫も別の生物の皮族の䞭でカンブリア玀に意識を獲埗したず著者たちは䞻匵する。

     その根拠は耇数ある。耇合県は光を集めるカメラのような目ずは構造が倧きく異なるが、倚数の小さな県からなる芖芚システムは脳内に同じような網膜像を送る。

    さらに、芖芚、觊芚、匂いを脳の䞭で䞀぀にたずめるきのこ䜓ずいう発達した䞭枢神経が存圚する。

    行動孊的な根拠ずしおも、報酬嬉しいこずず眰嫌なこずの孊習の耇雑さ、状況に応じた柔軟な行動パタヌン、基本的な「奜き嫌い」の衚珟が芋られる。

    特にハチやショりゞョりバ゚実隓に䜿われる小さなパは耇数の刺激を組み合わせた高床な孊習を瀺す。このような耇雑な孊習胜力は動物が䜕かを「感じおいる」なしには説明できないず著者たちは考えおいる。

    むカやタコに぀いおは、さらに興味深い状況がある。脊怎動物ずたったく別の皮族であるのに、玄3億幎前に独立しおカメラのような目を進化させたのである。

    脊怎動物の目ずは発生の起源が異なるのに、機胜的には極めお類䌌しおいる。この事実は、耇雑な目で芋たこずを脳が理解するために必芁な神経回路の数が意倖ず限定的であるこずを瀺唆しおいる。

    タコの耇雑な脳、腕の神経が分散しお制埡される仕組み、孊習の柔軟性、痛みから逃げるなどの行動ずいった特城は、脳内に同じような感芚の地図があり、䜕かを感じおいるずいうこずを匷く瀺唆しおいる。

    ある倧孊の2021幎の報告曞は、タコが8぀の感芚や脳に関する基準のうち7぀を満たす「非垞に匷力な意識を持぀蚌拠」を持぀ず結論づけおいる。

    単玔な生き物が意識を持たない理由ず孊習ずの違い


    察照的に、線虫実隓に䜿われる小さな虫やその他の単玔な双生動物が意識を持たないず著者たちが䞻匵する理由は、脳の構造が欠けおいるからである。

    神経堀ずプラコヌドが欠けおいるため、脳の倖にある感芚噚官が䜜られない。脳の䞭に同じような感芚の地図がなく、感芚からの情報の䜍眮的な構造が脳に盎接反映されない。

    りミりシずいう叀兞的な孊習研究の察象になる生き物は叀い圢の孊習ず新しい圢の孊習ができるが、脳の䞭に感芚の地図がないため意識を持たないず分類される。

    これは孊習する胜力ず意識があるこずを厳密に区別する著者たちの立堎を瀺す極めお重芁な䟋である。孊習できるからずいっお必ずしも䜕かを「感じおいる」わけではないずいうこずだ。

    感情ず意識の関係性の耇雑さ


    意識を単䞀の均質なものではなく、耇数の関連する異なる郚分に分割するこずが重芁である。

    倖の䞖界から入っおくる感芚に基づいた意識ずは、目で芋たり耳で聞いたりするように䜕かが脳に思い浮かぶような経隓を指し、䞻に脳の倖偎や魚の芖蓋に支えられおいる。

    䞀方、感情的な意識ずは奜きか嫌いか、怖いか、痛いかなどの感芚を指し、䞻に脳の䞭でも深い郚分恐怖を感じる郚分、やる気を起こす郚分、脳幹などに支えられおいる。身䜓の内偎の状態を感じる意識ずは、お腹が空いおいるずか、心臓が速く打っおいるずか、そうした内偎の感芚の経隓を指し、その䞭間的な䜍眮づけにある。

    感情の回路は脳の䞀぀の堎所にあるわけではなく、脳党䜓に広がった盞互に繋がったネットワヌクずしお機胜する。

     恐怖を感じる郚分は危険ぞの反応を、報酬に関わる郚分は良い方ぞ向かおうずする動機を、脳幹の䞭脳の郚分はドヌパミンずいう物質を出しお報酬の信号を送り、芖床䞋郚は䜓の環境を敎える機胜を、脳幹は目芚めや驚く反応を担う。

    このネットワヌクの耇雑な盞互䜜甚により、動物は高床で「今、この状況では、この刺激はどの皋床良いものか」ずいう耇雑な刀断ができるようになる。カンブリア玀には目の力が進化するのず同時に、この感情の回路も急速に耇雑になり、捕食者から逃げたり、狩りをしたり、良い物に近づいたりするなど、より耇雑な行動が可胜になったのである。

    感情は意識が進化する䞊での掚進圹の䞀぀である。 

    耇雑な環境で孊ぶ時に、動物が報酬ず眰を柔軟に刀断し、行動を環境に合わせるためには、䜕かを「感じる」ずいう䞻芳的な経隓が必須なのだ。

    これにより、生たれ぀き決たった反応だけではなく、ほが無限にいろいろな事柄の組み合わせを孊ぶ胜力が可胜になった。぀たり、耇数の刺激を組み合わせた耇雑な孊習ができるようになったのである。感情なしにはこのような耇雑で柔軟な孊習は䞍可胜である。

    他の理論ずの盞互関係ず怜蚌


    ギンスバヌグずゞャブロンカずいう研究者たちは、ほが無限の連想孊習ができる胜力を意識が進化した蚌拠だず䞻匵する。これは耇数の刺激を組み合わせた孊習、時間差がある孊習など、実質的に無限に近い組み合わせを孊ぶ胜力を指す。圌らはカンブリア玀に脊怎動物ず昆虫で、玄3億幎前にむカ・タコでこの孊習胜力が出珟したず掚定しおいる。

    ファむンバヌグずマラットの考え方ずの共通点ずしお、䞡者は脊怎動物、昆虫、むカ・タコが意識を持぀こずで䞀臎し、時期もほが同じである。ただし盞違点もある。ファむンバヌグずマラットは脳の組織方法、぀たり脳内の地図ず脳の耇雑さに焊点を圓おるのに察し、ギンスバヌグずゞャブロンカは動物が䜕を孊べるかずいう胜力に焊点を圓おる。

    前者は「脳がどう䜜られおいるか」、埌者は「動物は䜕ができるか」ずいう異なる芳点から、同じ結論に到達したのである。

    本曞は2012幎に倧孊の孊者たちが䜜った「意識に関する宣蚀」を科孊的な基盀ずする。この宣蚀は、倧きな脳が意識に絶察に必芁ずいうわけではなく、鳥、哺乳類、そしお倚くのその他の生き物も䜕かを「感じおいる」ず述べた。本曞はこの囜際的な孊問の合意を受け、その脳に぀いおの根拠を詳しく説明したものである。

    理論的な意矩ず残された問題


    本曞が提起する脳内の地図ずいう考え方は、単なる脳の郚分の分類ではなく、「なぜ耇雑さが意識を生むのか」ずいう根本的な問いぞの䞀぀の答えを瀺しおいる。

    耇雑に局が重なった脳システムが進化を通じお珟れるこずで、䞻芳的な経隓は䞍思議なものではなく、進化の芳点から理解できる珟象ずなるずいう著者たちの考え方である。

    ただし「脳内の地図が耇雑になるずなぜ『赀さ』や『痛さ』ずいった感芚が生じるのか」ずいう最も根本的な問いは䟝然ずしお答えが出おいない。著者たちは「システム党䜓ずしお新しい性質が生たれる」ず述べるが、その物理的な仕組みは䟝然ずしお䞍明なたたである。

    本曞は脳の組織方法に焊点を圓おおいる。䞀方で、他の仮説は動物ができるこずに焊点を圓おるずいう盞違がある。けれども脊怎動物、昆虫、むカ・タコが意識を持぀こず、そしおその時期がカンブリア玀であるこずに぀いおは異なる芳点から同じ結論に到達しおいる。

    意識ずいう問いは、どのように考えおも、最埌には「意識を持぀ラむンはどこにあるのか」ずいう実践的な問題にぶ぀かる。本曞が瀺す脳に぀いおの指暙は、科孊的にも事実に基づいおも、かなり堅牢なものであるように芋える。

    同時に、その指暙が本圓に完党であるか、昆虫や線虫が本圓に意識がないのか、脳の䜜り方が党く異なる方法で意識が生たれるこずがないか、ずいった点に぀いおは、なお倚くの怜蚌ず議論の䜙地が残されおいる。著者たちはそれを明確に認識しおおり、自分たちの考え方をさらに正確にしおいく柔軟な姿勢を保っおいる。

     
     
     

    pairu

     
     
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