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好きな男とのセックス


    回を重ねるごとに、彼とのセックスは気持ちよくなっていった。


    彼が私の身体を覚えたからだと思っていた。
    私が彼の身体を知ったからだとも。


    たぶん、それだけではなかった。


    少し前、彼は婚活をやめた。
    私を選んだからとか、そういうことではない。
    婚活の縁から仕事が増え、それが唯一の成果だなんて笑っていた。

    前よりも忙しくなったはずなのに、会う時間を早め、自分の予定まで組み替える。
    ベッドの中でも、以前より素直に私を求めるようになった。

    何かを言葉で確かめ合ったわけではない。
    それでも、言葉にしない何かが少しずつ積み重なっていた。
    一緒に食べたもの。どうでもいい話。眠るときの距離。

    気づけば、心も身体も以前より近くなっていた。

    私は、彼のことを好きになっていた。
    意識よりも、身体は先にそのことを知っていたらしい。


    特別に巧いわけではない。


    技術や相性だけなら、行為が終わればそれでおしまい。
    でも、ほどけた後も逃げ出したくならない。一人にされない。
    ベッドの外で知った彼が、今、私に触れている。


    ただ触れられることが、「この人に触れられる」という意味を持つことが怖かった。
    それでも、その時間の中で、逃げ出さなくてもいいのだと少しずつ覚えた。


    好きになった男とのセックスは、まだ知らなかった自分に触れ、その自分まで引き受けていく過程なのかもしれない。


    セックスが良いから好きになったわけではない。
    でも、好きだから良くなっていく今、身体と感情をもう切り分けられそうにない。


    未来を約束するわけではない。
    ただ、その瞬間は、身体も心も同じ相手を求めている。

    その感覚を信頼できる。








    __筋肉痛の予兆を察知して、二人で笑った。
    そして今、予想通り筋肉痛に苛まれている。



     
     
     
    夫婦のねじれ、 恋と性愛、 女の身体性と痛み。 それらを、私はどこまでも正直に書く。 ダーク&ヘヴィネス。 そして“どこか笑える” そんなテキストたち。 文筆家×占い師 | 関西の女。夜行性。 🥀Links|https://lit.link/raven_y ※出会いません

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