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TO ZION 改皿版第04話「今井秀明Ⅰ」

    ※この䜜品は連茉小説です。
    はじめお読む方は、第1話たたは目次からどうぞ。
    ▶ 第1話「プロロヌグ」
    ▶ 目次



    【チャプタヌ2 むンタビュヌ】
    画面には、圓時のニュヌス映像が流れおいる。

    「昚晩十䞀時ごろ、東京郜枋谷区の飲食店に芆面を被った耇数の男が抌し入り、客ず埓業員を殎っお逃走したした。埓業員の䞀人は顔の骚を折るなどしお、党治䞉か月の重傷です」

    アナりンサヌの声は平らだった。画面には、地䞋ぞ続く階段が映っおいる。譊察の芏制線。割れた看板。階段の端に残った黒い靎跡。

    「男たちは『ブラックミュヌゞック犁止』などず叫びながら、店内の備品を壊すなどしおいたす。昚幎斜行された『退廃的音楜の商甚利甚を制限する法埋』、通称法に賛同するグルヌプずみられ、譊芖庁は傷害ず噚物損壊の疑いで行方を远っおいたす」

    映像が切り替わる。蚘者団に囲たれた䜐川総理が映る。顔の肉が、カメラのラむトで劙に癜く芋えた。

    「個別の事件に関しおのコメントは差し控えたしゅが、新法は適切に運甚されおいる旚、報告を受けちぇおりたしゅ」

    そこでニュヌス映像は止たった。画面が暗くなり、むンタビュヌ甚の怅子に座る秀明が映る。

    片足を軜く投げ出しおいる。姿勢は良くない。口も悪そうだ。だが、カメラが向くず劙に目を匕く。笑っおいない時の目が匷い。

    「今のニュヌスを芋お、どう思われたしたか」

    むンタビュアヌが尋ねた。秀明は少しだけ間を眮いた。それから、錻で笑った。

    「たずさ、飲食店っお蚀い方が気に入らねぇ」

    「飲食店、ですか」

    「そう。飲食店っお蚀うず、なんか飯食うずこみたいじゃん。定食屋ずか、居酒屋ずかさ。もちろん酒は出すよ。だけど、あそこはクラブだよ。客は螊りに行く。音を济びに行く。誰かに䌚いに行く。そういう堎所を、ニュヌスの䞭だず台無しにしちたう」

    秀明は怅子の背にもたれた。

    「䞀床しか行ったこずない店だけどな」

    「䞀床だけ」

    「うん。䞀床だけ。でも、䞀床行けば分かるだろ。あそこには、あそこでしか息できない奎がいたんだよ。そういう堎所を鉄パむプで殎っおおいお、『飲食店でトラブル』みたいにたずめられるず、マゞで気分悪い」

    秀明は、画面の倖に眮かれたペットボトルを取っお氎を飲む。喉を鳎らす音が、マむクに小さく入った。

    「あずさ、党治䞉か月っおニュヌスだず䞀秒で終わるだろ」

    「はい」

    「ひでぇよな、テレビの蚀葉っお。顔の骚折られた方は、䞉か月どころじゃねぇよ。飯食うたびに思い出す。顔掗うたびに思い出す。鏡芋るたびに思い出す。なのに、政治家のオッサンは『適切に運甚されおる』っお蚀うんだぜ。人が殎られおんのに。あの顔で」

    秀明はもう䞀床、止められた総理の映像を芋た。

    「滑舌も腹立぀し」

    「そこもですか」

    「そこもだよ。蚀っおるこずがク゜なのに、蚀い方たで気持ち悪いっお、なかなかの完成床だろ。政治家ずしおは最䜎だけど、むラ぀かせる才胜だけは囜宝玚だよ」

    むンタビュアヌは口元に手を圓お、次の質問祚ぞ目を萜ずした。

    秀明は笑わなかった。

    「法に぀いお、圓時のこずを知らない芖聎者のために、少し説明しおいただけたすか」

    「俺が 法埋の先生じゃねぇよ」

    「今井さんの蚀葉で構いたせん」

    「じゃあ、蚀っおやるよ」

    秀明は指を䞀本立おた。

    「黒い音を狙い撃ちした法埋」

    「黒い音、ですか」

    「ヒップホップ、、゜りル、レゲ゚。そういう黒人ルヌツの音楜を、退廃的だの䜕だの蚀っお、商売に䜿うなっお決めたんだよ。は売れない。配信から消える。店で流せない。むベントで䜿えない。映画のも差し替えられる。昔買った音源たで、持っおるだけで面倒なこずになる」

    画面に、圓時の資料映像が挟たる。

    ニュヌス番組のパネルに、倪い文字が䞊んでいる。

    『察象ゞャンル』
    『商甚利甚犁止』
    『過去音源も察象』
    『遞定委員䌚による指定』

    パネルの前で、コメンテヌタヌらしき老人が難しい顔をしおいる。

    「法埋の正匏名称は『退廃的音楜の商甚利甚を制限する法埋』。通称法。察象ゞャンルは、ヒップホップ、リズム・アンド・ブルヌス、゜りル、レゲ゚など。察象曲ずアヌティストは、政府の蚭眮した有識者䌚議によっお遞定された」

    ナレヌションがそう説明する。画面は再び秀明に戻る。

    「有識者䌚議っお蚀葉も嫌いなんだよな」

    「なぜですか」

    「有識者っお誰だよ。䜕を知っおんだよ。螊ったこずあんのかっお思う。クラブの床が䜎音で震える感じずか、スピヌカヌの前に立぀ず胞の骚たで鳎る感じずか、分かっおんのかよ」

    秀明は、自分の胞を指で軜く叩いた。

    「音楜っお、玙の䞊で決めるもんじゃねぇだろ」

    「圓時、なぜそのような法埋ができたのでしょうか」

    「元はアメリカだよ。向こうで、黒人ラッパヌのラむブから揉め事が起きた。客同士の喧嘩が倧きくなっお、暎動になっお、人が死んだ。そこたでは事件だよ。悲惚な事件だよ」

    秀明の声が、怒りをはらんで䜎くなった。

    「でも、そこからおかしくなった。黒人ばっかりが悪者にされお、裁刀もおかしくお、デモが起きお、譊察が出お、軍たで出お。倧統領のおっさんが、なぜか音楜を敵にしたんだよ」

    「音楜そのものを」

    「そう。人を殎った奎じゃなくお、音楜を取り締たり始めた。ヒップホップが悪い。が悪い。゜りルが悪い。レゲ゚が悪い。そういう話にすり替わった。ワルツは退廃じゃねぇのかよっお話だろ。サンバは ロックは 䜕でそこだけなんだよ」

    秀明は指を鳎らした。鋭い音だった。

    「答えは簡単だよ。狙いやすかったからだろ」

    むンタビュアヌは黙っおいた。

    「最初、日本では『アメリカ倧倉だね』くらいだったんだよな。みんな他人事でさ。ニュヌス芋お、ひどいねっお蚀っお、次の日には忘れおただろ。あんたもだろ 日本人、そういうの埗意だからな」

    「それが日本にも」

    「来た。条玄だか協定だか、名前は知らねぇけど。アメリカから圧力が来お、日本の政治家があっさり乗っかった。最初はブラフだっお蚀っおる奎もいたよ。貿易亀枉だか、なんだかのカヌドだっお。党然ブラフじゃなかったけどな」

    資料映像が入る。囜䌚の映像。怒号。委員䌚宀。机を叩く議員。

    画面の䞋には、『退廃的音楜芏制法案 匷行採決』ずいう文字が出おいる。

    「圓時の日本政府は、米囜ずの協調を理由に法敎備を進めた。反察意芋も倚かったが、䞎党は『青少幎保護』『治安維持』『囜際協調』を掲げ、法案を成立させた」

    ナレヌションの䞊に、囜䌚内のざわめきが重なる。

    秀明はその映像を芋ながら、うんざりした顔をした。

    「青少幎保護っお蚀えば、だいたい通るず思っおんだよな」

    「実際には、どういう圱響がありたしたか」

    「曲が消えた」

    即答だった。

    「たず、それ。店から消える。配信から消える。ショップの棚から消える。ラゞオから消える。映画の䞭の曲も差し替えられる。昔のドラマの再攟送なんか、倉なむンストに倉わっおお、笑うしかなかったよ」

    「聎くこず自䜓が難しくなった」

    「難しいっおいうか、面倒になった。俺らみたいな若い奎がむダホンしお歩いおるだけで、職質されるんだぜ。『䜕聎いおるの』っお。『スマホ芋せろ、プレむダヌ芋せろ』っお。音楜聎くだけで、なんで譊察にビビらなきゃいけねぇんだよ」

    秀明は肩をすくめた。

    「父芪のも隠したよ。芪父が集めおたや぀。叀いのもあったし、ボロいのもあった。ケヌス割れおるのも、歌詞カヌドがなくなっおるのもあった。でも、芪父にずっおは倧事なもんだった」

    そこで初めお、秀明の蚀葉が止たった。

    「捚おられなかったんですね」

    「捚おるわけねぇだろ」

    きっぱりず蚀った。

    「芪父が聎いおた音だぞ」

    郚屋が少し静かになった。秀明は気たずそうに芖線を倖した。

    「いや、別にしんみりさせたいわけじゃないんだけど」

    「続けおください」

    「芪父はさ、俺がガキの頃からいろいろ聎かせおきたんだよ。日本のラップも、アメリカのヒップホップも、゜りルも、も。車で流したり、家で流したり。俺は最初、意味なんお分かっおなかった。英語も分かんねぇし。ただ、䜎音が鳎るず䜓が動く。声の圧が気持ちいい。そういうずころから入った」

    秀明はペットボトルのキャップを芪指で鳎らした。

    「ガキなんおそんなもんだろ。理屈で音楜奜きになる奎、気持ち悪いじゃん」

    「今井さんも、最初は䜓で聎いおいた」

    「今もだよ。頭でも聎くようにはなったけど、最埌は䜓だろ。䜓が反応しない曲は、俺には無理」

    むンタビュアヌが少し身を乗り出した。

    「法は、政治的な法埋であるず同時に、今井さんにずっおは、お父様ずの蚘憶を奪う法埋でもあった」

    「うわ マゞでプロ。たずめ方うたいな」

    秀明は嫌そうな顔をした。

    「そういう綺麗な蚀い方されるず、急に嘘っぜくなる」

    「すみたせん」

    「いや、合っおるけどさ」

    秀明は肩をすくめた。

    「合っおるから䜙蚈にムカ぀く」

    たた間が空いた。

    「でも、そうだな。曲っおさ、ただの音じゃないんだよ。どこで聎いたか、誰ず聎いたか、䜕食っおたか、倖が暑かったか寒かったか、そういうのがくっ぀いおる。芪父の車で聎いた曲は、芪父の匂いたで付いおる気がする。そういうもんを、偉いおっさんたちが『退廃的』っお玙に曞いただけで消そうずする。ふざけんなっお思うだろ」

    「法の運甚に぀いおも、䞍公平さが指摘されおいたした」

    「䞍公平どころじゃねぇよ。ザルだよ、クッ゜ザル。政治家に近い奎は逃げる。政府のポスタヌやったグルヌプはセヌフ。昔ちょっずラップっぜいこずしただけのバンドはアりト。文科省が決めおたすっおフリしおるけど、どう芋おも政治家の郜合だろ」

    「実際、察象指定にはかなりの批刀がありたした」

    「だろうな。だっお、音楜を知らない奎が決めおるんだもん。曲を聎いお決めおるんじゃない。誰が埗か、誰が損かで決めおる。すげぇよな。差別も利暩も、ちゃんず日本颚にアレンゞされおんの」

    嫌悪感を隠さず、秀明は口の端だけを䞊げた。

    「アメリカから抌し付けられた法埋だけどよ、日本の政治家もただの被害者じゃない。あい぀ら、ちゃんず自分たちに郜合よく䜿っおたからな。茞入した差別に、囜内利暩のタレかけお、はい日本版できあがり。料理ずしおは最悪だよ。保健所どころか地獄から営業停止食らうレベル」

    「衚珟がかなり匷いですね」

    「もっず蚀えるよ。あい぀ら、アメリカの『ピヌ』をありがたそうに舐めお、日本の若い奎らには説教しおたんだから。忙しいよな。䞊にはペコペコ、䞋には鉄パむプ。腰痛めるぞ」

    むンタビュアヌが咳払いをした。画面の倖で、誰かの息が挏れた。

    「そのような空気の䞭で、この襲撃事件が起きた」

    むンタビュアヌが蚀った。秀明の口元が止たった。

    「そう」

    短い返事だった。

    「法埋ができたから、あい぀らは殎っおいいず思ったんだよ」

    「盎接、法埋が暎力を呜じたわけではありたせん」

    「そんなの分かっおるよ」

    秀明は苛立ったように蚀った。

    「でもよ、囜が『これは退廃的です』『これは瀟䌚に悪いです』っお蚀い続けたら、バカは信じるだろ。自分の䞭に元々あった差別ずか、匱い奎を殎りたい気持ちずか、そういうの蚱しおもらった気になるんだよ。『殎っおもいいでちゅよ』っお。 ク゜が」

    秀明はたっすぐカメラを芋た。

    「正矩っお曞いた鉄パむプが、䞀番危ねぇんだよ」

    むンタビュアヌは、次の質問をすぐには出せなかった。

    「  今井さんは、圓時からそう考えおいたのですか」

    「いや」

    秀明はあっさり吊定した。

    「圓時はもっず幌皚だった。『政治家うぜぇ』『アメリカうぜぇ』『譊察うぜぇ』『党郚うぜぇ』くらい」

    「かなり雑ですね」

    「若かったからな。今もそんなに倉わっおねぇけど。でも、ガキがムカ぀いおいたなりにも、分かっおたこずはあるよ」

    「䜕でしょう」

    「あんな法埋、元からナシだろっおこず」

    秀明は、ゆっくりず蚀った。

    「音楜が嫌いなら聎かなきゃいい。螊っおる奎が嫌いなら芋なきゃいい。クラブが嫌いなら行かなきゃいい。だけど、自分が嫌いなものを、法埋にしお他人から取り䞊げようずするなよ」

    蚀葉は荒く、そしお、迷いがなかった。

    「それでも、法に賛成する人は少なくありたせんでした。治安が悪くなる、若者に悪圱響がある、倖囜文化に䟵食される、そうした意芋もありたした」

    「あるだろうな」

    「どう思いたすか」

    「矚たしかったんじゃねぇの」

    秀明は即答した。

    「矚たしかった、ですか」

    「自分が入れない堎所が。若い奎らが集たっお、知らない音で螊っお、蚳わかんねぇ蚀葉で笑っおる。自分たちにはもうできないこずを、誰かが楜しそうにやっおる。それがムカ぀いたんだろ」

    「恐怖ではなく、嫉劬だず」

    「怖いっお蚀えば聞こえはいいけどさ。あれはたぶん、もっずダサいもんだよ。自分が混ざれない堎所を、悪い堎所っおこずにしたかったんだよ。退廃的っお蚀えば、自分が矚たしがっおるこずを隠せるからな」

    「共有できないものを、悪いものにする」

    「そう。しかも、ただ䞀緒にやれないだけじゃない。楜しそうなのが腹立぀んだよ。人間っお、自分が入れない遊びを芋るず、すぐ邪魔したがるからな」

    秀明は口の端を䞊げた。

    「マゞで進歩しねぇ生き物だよな」

    むンタビュアヌは台本ぞ目を萜ずし、すぐに戻した。

    「今井さんも同じ人間です」

    「そこなんだよな。困ったこずに」

    今床は秀明も錻から息を抜いた。䞀瞬、幎盞応の青幎に戻った。だが、すぐに衚情が戻る。

    「俺が䞀番腹立぀のはさ」

    「はい」

    「音楜を知らない奎らが、音楜で生きおる奎らの堎所を奪うこずなんだよ」

    その声は、先ほどより静かだった。

    「クラブっお、ただ隒ぐ堎所じゃない。党郚の店が綺麗だずは蚀わねぇよ。ダバい奎もいるし、面倒くさいこずもある。俺も偉そうに語れるほど、圓時いろんな店を知っおたわけじゃない」

    秀明は少しだけ目を䌏せた。

    「でも、あそこにしか居堎所がない奎はいる。昌間の孊校ずか、䌚瀟ずか、家ずか、そういう堎所で息ができない奎が、倜になっお音の䞭に入る。そこでは、誰かの隅っこだった奎が、真ん䞭に立おるこずがある」

    その蚀葉は、ただ本人の䞭でも完党には圢になっおいないようだった。

    「それを壊すなっ぀うんだよ」

    秀明は蚀った。

    「法埋の名前でも、正矩の名前でも、囜の名前でも、マゞどうでもいいけどさ。人の堎所を壊すなよ」

    むンタビュアヌは、ゆっくりず頷いた。

    「その怒りが、埌の今井さんの掻動に぀ながっおいく」

    「どうだろうな」

    秀明は肩をすくめた。

    「そんな立掟なもんじゃねぇよ。俺はただ、聎きたかっただけだし、やりたかっただけ。芪父が奜きだった音を、俺も奜きだった。隠れお聎くのがムカ぀いた。仲間が殎られるのがムカ぀いた。堎所を朰されるのがムカ぀いた」

    秀明は指を折るように数えた。

    「ムカ぀いたこずを、ずっず芚えおただけだよ」

    「それが、今井秀明の出発点だった」

    「たた綺麗にたずめる」

    「職業ですので」

    「じゃあしょうがねぇな」

    秀明は肩をすくめた。

    その仕草には、持ち前の人懐っこさがあった。芋おいるず、さっきたで政治家を眵っおいた男ず同じ人物には芋えない。

    だが、同じだった。口が悪く、怒りっぜく、雑で、情が深い。そしお、音楜の話になるず、目の奥に火が入る。

    「最埌に、法を䞀蚀で衚すなら、䜕ですか」

    「䞀蚀」

    「はい」

    「難しいな」

    秀明は腕を組んだ。

    少し考えた。

    それから、ひどく嫌そうな顔をした。

    「音痎な倧人が䜜った、囜営のク゜校則」

    むンタビュアヌが吹き出した。

    「法埋ではなく、校則ですか」

    「だっお、ノリが校則じゃん。髪を染めるな。スカヌト短くするな。あの音は聎くな。螊るな。隒ぐな。目立぀な。先生が気に入らないから犁止。そういうノリを囜でやったんだよ」

    「かなり厳しい衚珟ですね」

    「厳しい ただ優しいだろ」

    秀明はカメラを芋た。

    「本圓は、音楜も螊りも分かんねぇ倧人が、自分の耳の老化ず嫉劬を法埋にしただけだよ。俺らからしたら、知らねぇよ、補聎噚買えっお話で」

    画面の倖で、スタッフが笑った。むンタビュアヌも、咳払いで笑いを隠そうずした。

    「今のは、攟送できる範囲でしょうか」

    「知らねぇよ。無理ならピヌ入れずけ」

    秀明は平然ず蚀った。

    「どうせ倧人っお、自分たちに郜合の悪いもんは、無かったこずにするんだから」

    「それは法の話ですか、それずも番組線集の話ですか」

    「䞡方だよ」

    秀明は即答した。

    「音楜を知らねぇ爺さんどもが、若い奎の堎所を芋お矚たしくなっお、でも混ざれねぇから、法埋䜜っお䞊から『ピヌ』ひっかけた。そういう話だろ」

    むンタビュアヌは、咳払いでごたかすのを諊めた。

    「そこは確実に音声凊理が入りたすね」

    「いいよ。ピヌっお鳎った方が、この法埋っぜいじゃん」

    秀明は楜しそうに口元を歪めた。しかし、その目は笑いきっおいなかった。

    「でもな」

    圌は続けた。

    「音楜っお、犁止されたくらいで死なねぇんだよ」

    蚀い切った。

    「隠しおも、小さい音でも、車の䞭でも、公園でも生き残る。誰かの叀いからでも生き残る。法埋で消した぀もりでも、誰かの䜓の䞭に生きおる」

    秀明は、自分の胞を軜く叩いた。

    「ここに残っおたら、たた鳎るんだよ」

    そこで映像は、ゆっくりず暗転した。

    【䞀郚、䞍適切な衚珟がありたした】

     
     

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