腕時計のない生活からの卒業
バイトが終わったら、17:36のバスに乗ると、決まっていた。
17:25になって、「あと5分でやるべきことを終わらせないと」と、焦ることもしょっちゅうあった。
友達に相談したら、「終わらなかったら次のバスに乗ればいいじゃん」と言われた。
「誰かと約束してるわけじゃなくて、自分で決めたバスなんでしょ。」
それもそうだ。
なんとなく、その友達の方が、私よりも器が大きいと思った。
ということがあったその夏に、腕時計で肌荒れした。
金属アレルギーだろうか?
これを機に、腕時計なし生活を送り、「いつだって次のバスはあるし、いつだって次の電車はある」というハッピーマインドで過ごせる人に、己を鍛え上げよう!
と気合いを入れて頑張ったが、1年で挫折した。
今日、出かける前に腕時計をつけたら、針が止まっていた。
電池が切れちゃったのだろう。
これはチャンスだ。
時間に縛られない素敵な私になれるチャンスが、またやってきたのだ。

つけた腕時計は、外す時間が惜しいので、そのまま出かけた。
電車を降りて、「さて、病院の予約の時間まで、あと何分だろう」と時計を見たら、あと45分もあって、「やったーゆっくりお買い物でもしよー」と思ってから、この時計が止まっていることを思い出した。
体温が22度しかないネズミが床をつたって、わーっとやってきて、肩まで包んだ。
すぐに時間がわからないのは、困る。
「スマホを見たらいいだけじゃん」と思うかもしれないが、当の本人はその状況になった時に十中八九スマホを取り出さないのだから、それについて何とかかんとか言っても仕方ない。(デジタル時計を見ても、それを時間ではなく数字と思ってしまう、というのは理由としてありそうだ。あとは、「歩きながらスマホを取り出して、うっかり落としちゃう」というバッドエンドを予想してしまうのも大きい。)
ややこしいから、腕時計を外して歩いた。
「軽くて良かったね」と、心の中で口に出してみたけど、心の中の心は「そういうわけにはいかないよ」という顔をしていた。
左手首がいつもより寒かった。それは今日が7月にしては気温が低いせいか
「急に予定が変わるとストレス」
読み上げられた文章に、MBTIの4文字目がJのアイドルが、さらりと「そうかも」と言う。
2つ隣に座るメンバーが「急に予定変わるの、本当に嫌そうだよね」と笑ってる。
その光景がカメラを通って、目の前の画面にやってきて、私はそれを見ながら、ご飯を美味しく食べる。
知らない誰かも、その映像をどこかの国の窓の中で見て、笑ってる。
私もJでいいのではないか。
頑張ってPにならなくても。
という話をAIにしたら「Jっぽいとかどうとかより、むしろ腕時計が「自分の中の設計図を守るための道具」になってる感じがする。」などとやんわり「MBTI決めつけトークは良くない」というスタンスを示してきた。
MBTIの話とスピリチュアルの話は人にしにくいんだから、せめてAI相手に、心置きなく話させてくれよ!
そんなこんなで、近いうちに腕時計を買うことになった。
自分で立てた、守っても守らなくてもいい計画のとおりに行動して、ストレスから自分を守っていこう。
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