
これは、我が家の小さな5歳児がヒーローとして立ち上がるまでの物語だ!
わが家の5歳になる娘は、なかなかの気分屋だ。
普段、平日の夜はママと一緒に眠るのが大好きなのだが、時々、気まぐれに私(パパ)も寝かしつけに指名されることがある。
これはパパとママ、二人揃って一緒に寝てほしいという、娘からの最高に可愛いリクエストだ。
呼ばれた私たちはもちろん嬉しい。嬉しいのだが、わが家には一つ問題が発生する。
基本、夜に洗濯物を干すスタイルのわが家では、夫婦揃って寝かしつけに同行すると、洗濯物を干す人間が完全にいなくなってしまうのだ。
つまり、わが家にとってはちょっとした「家庭の危機」である。
その日も、娘に呼ばれるがままに家族みんなで寝室へ向かった。
川の字になって横たわりながら、一日分の仕事を終え、すっかり疲れ切っているであろうママがぽつりと呟いた。
「今日、洗濯干せないね……」
それを受けて、私が返す。
「今日は娘ちゃんに『一緒に寝よう』って誘われたからねぇ」
仕方のないことだ。
天才シンガーソングライター直々のご指名なのだから、洗濯物は後回しにするしかない。
わが家の家事メーターは完全にストップした。
……と、その大人の会話をすぐ隣で静かに聞いていた娘が、家庭のピンチを察してすかさず布団から起き上がった。
これは、我が家の小さな5歳児がヒーローとして立ち上がるまでの物語だ。
「じゃあ、うちが干してくるよ」
いやいや、キミじゃない!
寝てください。
まさかの自薦。
引退間際のベテラン職人のような風格で、布団からすっくと立ち上がる5歳児。
パパとママの困りごとを瞬時に理解し、「だったら私が一肌脱ぎましょう」と言わんばかりに夜の洗濯物干しに立候補するその男気(心意気)たるや。
ついさっきまで「パパもママも一緒に寝るー!」と可愛く甘えていたはずなのに、家庭の危機を前にすると一瞬でプロフェッショナルな顔になる。
もう一度言おう。
これは、我が家の小さな5歳児がヒーローとして立ち上がるまでの物語だ。
そして……一度立ち上がったヒーローは、なかなか眠らない。
もちろん、ありがたく気持ちだけを受け取ってそのまま寝かせようとしたのだが、自分の使命を全うしようと目が冴えてしまったのか、それともヒーローとしての興奮が冷めないのか、布団に入ってもなかなかに夜更かしなヒーローをなだめるのは、洗濯物を干すのと同じくらい一苦労だった。
彼女の「人生何周目?」と思わせる器の大きさには、毎度驚かされるばかりだ。
5歳になり、ますます頼もしさに磨きがかかっていくわが家の相棒。
いつか本当に「パパ、洗濯物干しといたよ」と完全に家庭を救ってくれる日が来るのだろうか。
その成長が嬉しくも、少しだけお腹を抱えてしまう夜だった。