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忘れられない個性派の忘れられない掘り出し物

昨日は、昔の職場にいた個性的な人が生み出した新しい価値観の名言について書きました。


今夜は、そいつとの別の思い出話でも。


今回も名言といえば、そうかもしれない……。




AKB48のCDが出るたびに、給料を全て注ぎ込む同僚。


握手券のために何枚も買っていました。


よく知らないけど、握手時間が長くなるらしい。


「握手会で何か話すの?」


と聞くと、


小嶋陽菜さんや柏木由紀さんと握手しながら


「夢中にさせちゃうぞ💕」


みたいなことを言ってもらえるらしい。


会えるどころか、触れて、話しかけられる。


相手はアイドル。


一昔前なら考えられないことでした。


(……そりゃ夢中になるわ!!)


いやぁ、ほんといい時代。


平和よねーー。




ある年の、かなり暑い夏。


というか、たしか夏の終わりから秋くらいだったと思います。



そいつは突然、



「暑いから、北海道に涼みに行ってきます!」



と言って休みを取りました。



相変わらず優先順位は、



①好きなこと
②仕事以外のやりたいこと
③仕事



……いや、仕事はもっと下だったかもしれません。



数日後。



北海道から普通に帰ってきました。



「どうだった?北海道」



世間話として聞くと、相変わらず目は合わせずにこう言いました。












「たまたま行った数日間だけ、北海道が記録的な猛暑だったそうで。めちゃくちゃ暑かったです。」












爆笑。



涼みに行ったのに?



そんなことあるの?ほんとに?(笑)



彼は何かを持っている。



間違いなく。




さて。



そんなこんなで、いい加減仕事をしていただきたい。


一番入社歴が浅いのに、この自由さ。



ある意味、大物。



ある日。



朝から彼は会社に来ていませんでした。



まだコロナ禍よりもずっと前の話なので。



その会社にはリモートワークは無かった。



お客様から彼宛てに電話があり、部長に今日あいつは休みなのか?を確認すると、



「そのうち来るだろうから、折り返すって言っといて〜」



とのこと。



……お客様先にいるわけでもない。



「居場所は把握してるんですか?」



と聞くと、



「うーん、わかんなーい。そのうち来るでしょ」



……。



私が話している相手は、役職「部長」です。



午後2時を過ぎても本人は現れず、再び同じお客様から電話。



「だいぶ前にお願いしていた見積書が届いていなくて……」



これはまずい。



仕方なく、書類?なのか紙が山積みになっている彼の机をあさることにしました。



(あのバカ……見積書作ってるのか……?)



お客様のために、私は1枚ずつ紙を確認する。



(見積書は無さそうだなー……てか、ゴミばっかだな!)



散らかった机の上を整理しながら探していると、



一番下からA4用紙が1枚。



手書きで、大きく10文字。



こう書かれていました。



















「今すぐ忘れてください」




















…………………………。


















え。



え??



なにを??



おバカ本人を忘れろってこと??



今すぐ忘れてくださいって…………



忘れる前に、まず探すことになるでしょ。



………………。



………………勘弁してくれ。



これがミステリーなら、この置き手紙をきっかけに、新しい登場人物がでてきたり。



場面が変わったり、新たな手がかりがでてきたり、物語が展開されていくけれど。



残念ながら、そんなことはない。



高難易度のお願いが手書きされたA4用紙の置き手紙を持って、私は部長の席に向かった。




そこから会社は一気に慌ただしくなりました。



部長へ報告。



本人の携帯へ電話。



……出ない。



緊急連絡先のご両親へ連絡。



すると、ご両親から本人へ電話をかけたら――



一発でつながる。



会社から何回かけても出なかったのに(笑)



その後、



「とにかく帰ってきなさい」



とお父さんに言われ、本人は実家へ帰宅。



家族会議。



そして翌日。



会社へ荷物だけ取りに来て、そのまま退職しました。



……結論。



見つかって、本当によかったです。



もう、これ以上は何も言えません。



ただ、「今すぐ忘れてください」と置き手紙しても、だいたいまずは、忘れる前に探されます。



少なくとも、会社では。



そして、こんな置き手紙、忘れたくても忘れられません。



以上、昔の職場にいた、忘れられない個性派との思い出でした。



……というわけで、この話はここまでです。




今すぐ忘れてくださーい。


こんな机を掘り返しました

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