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女子高校生一人旅。。。卒業一人旅

    第1回 京都

     朝9時のバスで京都へ向かった。
    国鉄の周遊券で20日有効。使い切るつもりで旅に出た。
    京都につく頃には夕方だった。お尻が痛い。
     宿で荷物を整理していると、財布の次に大事な周遊券が無い。
    鞄をひっくり返しても無い。バス停まで戻った。
    無いし焦る。おまけに雨も降って来た。
    泣きそうになると、ひらひらした紙が見えた。
    ――あった。こんなところに。
    今度は、定期入れにしっかりしまった。
     旅が1日で終るところだった。

    第2回 同室のおばさん

     「私ユースホステルに初めて泊まるの。」
    小学生の子供が二人いて、出張帰りだそう。
    一人旅の私に興味あるみたいで、一緒に嵯峨野を回った。
    人も少なく、静かな場所だった。
    おばさんは、歩くのが少し大変そうで、苔庭園で休んでいた。
     別れ際、ノートに言葉を残してくれた。
    『4月から社会人になるあなたへ。
    なんでもチャレンジしましょう。
    そのためには体力をつけなくちゃ。減量なんて、ナンセンス。』
    という、メッセージを書いてくれた。

    第3回 余部鉄橋

     京都で仲良くなった人ともお別れして、いよいよ日本海へ向かう。
    山陰本線の車窓に、やがて海が現れる。
     初めて見る日本海は、どこか暗く、演歌のようだった。
    しばらくして、余部鉄橋が見えてきた。
    列車は速度を落とし、ゆっくりと渡っていく。
    強い風が来たら――そんな不安がよぎる。
    真下には、小さな町が広がっていた。
     そして、海沿いの宿についた。ここは蟹が名物で食べたくなり選んだ。
    蟹すきが美味しくて、お代わりをした。
     さっきまでの寒さが、少しだけやわらいだ。

    第4回 女の一人旅とは

     この日もこの宿に泊まった。
    すぐ隣が男4人組だった。空いているし部屋はあるのに、嫌な予感がした。
    その夜も蟹すきは美味しかったが、宿泊客が私と、男たちだけだった。
    消灯後ノックがした。
    「入って良い?」
    流石に危ないと思い断ると、鍵をガチャガチャ回し始めた。
    ――うそでしょう。
    開かないから、男たちはお風呂に行った。
    そのすきに管理人室に行くが、無人。
    仕方なく2階の空き部屋に鍵をかけて、毛布にくるまった。
     朝まで眠れなかった。
    早朝、管理人が戻り、私は部屋へ戻った。
    起きた頃には、男たちはもう居なかった。
     それ以来、宿は必ず、夜も人のいる場所を選ぶようになった。

    第5回 風紋

     一度見てみたくて、鳥取砂丘に行った。
    林を抜けると、砂丘が広がった。
    砂に足を取られながら歩く。
     その先に、大きな丘。
    急坂を越えると、海が見えた。
    暗い海の色に、昨日のことがよぎる。
    ――これからどうしよう。
    立ち止まり、風紋を見つめた。
     何処か静かな、一人になれる所に行こう。
    そして、砂丘を後にした。
     宿本を頼りに、山間の小さな農家に泊まることにした。

    第6回 スイッチバッグ

     昨日はゆっくり眠れた。
    この辺はローカル線が多く、一周出来る。
    炬燵で朝食を済ませて、直ぐに駅に向かった。
     伯備線、芸備線、木次線、そして、山陰本線。
    鉄道好きにはたまらない。
     進むにつれて、山と雪は深くなり、急坂でスイッチバッグを体験した。
    急な坂で、列車が止まった。
    そして、来た方向へと引き返す。少しして、また前へ。
    ――あれ、今のは。初めての感覚だった。
    山奥に電車を走らせるのは、大変だったんだろうな。
     途中の駅で、立ち食いそばを食べながら感じた。

    第7回 日御碕灯台

     灯台好きなら行きたい。日御碕に行った。
    晴れていれば。。空を見上げると、海猫だらけ。雨女が恨めしい。
    それでも、日御碕は一面海が見渡せる。来る価値がある。
     帰りに、出雲大社に行き、
    「この先良いことがありますように。」とお願いした。
     駅で立ち食いそばを食べていると、ポスターが目に入った。
    「ここはどこ?」と駅員に聞いた。
    「隠岐の島だよ。」
    「キャンペーンが終わったから、ポスターあげるよ。」
    「ありがとう。」
    摩天崖と赤壁のポスターを貰った。
     宿で隠岐の島について聞くと、
    「ここは西ノ島と知夫里島だよ。人も自然も素朴で良い所だよ。行って来たら?」
    ――行ってみよう。
    断崖と、草を食む馬の写真に惹かれ、宿を取った。

    第8回 連絡船に乗る

     3連泊した農家とお別れ。
    最後におばあさんが、「気をつけて行ってらっしゃい」と、いつまでも手を振ってくれた。
     港に着くと、隠岐の島行きの船は、結構大きかった。
    4時間位で西ノ島に着いた。知夫里島行きの船は何処かを尋ねると、
    「それなら、あれだよ。」
    出たばかりで引き返してくれ、おじさんたちがロープを引っ張ってる。
    「乗れ。」
    まだ1m位隙間があったが、バッグを投げ、次に飛び乗った。
    船中知り合い同士みたいで、どこから来たのか質問攻めにあった。
    「東京」と言うと驚いていた。
     今日から神社に3泊する。

    第9回 神社の島

     隠岐の島は神社ばかりだ。
    赤壁のポスターを見て、この島を選んだ。
    宿に着くと夕食に、亀の手が出てきた。中々食べずらい。
    「美味しいよ。」と言うから食べた。
    意外なほど、磯の味がしてうまい。
    それから毎日、味噌汁の中にいた。
     食後神主さんに、島を一周するつもりと言うと、A4サイズのコピーと、
    本格的な地図をくれた。その後奥さんが、部屋を案内してくれた。
    「二階の大広間使って。鍵はかけないで、窓を開けて寝ると気持ちいい。」
    言われた通り、真ん中に布団を敷き、窓を開けた。
     夜の海を眺めながら、眠りについた。

    第10回 赤壁

     晴れてて良かった。
    今日は7時間コース。頑張るぞ。先ず赤壁へ。
    のどかな畑を見ながら丘を越えた。草原に出ると、突然、目の前に赤くただれた様な、火山の断面が現れた。
    ――これか。確かに赤い。
     この赤壁を見たくて、知夫里島まで来た。
    遠くに赤はげ山が見えた。
    上り始めると牛や馬の糞だらけ。踏まないように歩くと、やっと着いた。
    展望台から西ノ島や中ノ島も見渡せる。
     海岸線を歩いていると、
    「コーヒーでも飲まない?」と、おばさんが声をかけて来た。
    インスタントラーメンを作ってくれ、一緒に食べた。
    食後にコーヒーを飲みながら、息子さんの話しをした。
    旅行が好きで、シベリア鉄道を走破したそうだ。
    「あなたもやってみたら?」
    「それは無理です。」と答えた。
     帰り道、農家のおじさんが、宿まで車で送ってくれた。

    第11回 馬ガン見

     今日も晴れ。昨日で島半周したから、残りを歩こう。
    浜辺を歩いていると、漂流ゴミが多い。
    きれいな海なのに、この島まで来るんだ。
     海沿いを歩くと、行き止まりだった。どうしよう。
    手前にけもの道があるので進んだ。ドンドン森に入って行く。
    ――大丈夫かな。
    さらに進むと、牛や馬だらけ。全部で50頭位はいそう。
     馬が、ガン見してる。
    怖いから目を合わさないよう、牛を踏まないように歩いた。
    やっと森を抜けた。赤い服着てなくて良かった。
     また海沿いを歩いた。
    地図上では、そろそろ通りに出るんだけど。すると、又行止まり。登れそうなので3メートル位崖を上ると、また森の中。
    ――もう無理。
    泣きそうになると、遠くで工事の音がした。
    行くと工事のおじさんが、宿まで送ってくれた。
     結局、島一周することはできなかった。

    第12回 サヨナラ知夫里島

     宿に帰ると神主さんに、
    「島の反対側で迷子になっただろう。」と言われた。
    島の噂は早い。地図で行程を話すと、
    「島の人間でも一周しないよ。よく頑張った。」と言われた。
     この島ともお別れ。
    三泊のあいだに、すっかり顔を覚えられていた。
    島の人たちには、ずいぶん助けられた。
     宿を後にして、又あの小さな船で西ノ島に行った。
    港に着くと今日の宿、焼火神社の場所を聞いた。
    有名な神社で漁師の神様らしい。
     バスを降り歩いていると、さっきのおじさんに会い、
    オートバイに乗せてもらい宿についた。
    島に来てからよく車に乗せてもらう。
     都会では、きっとありえないことだろう。

    第13回 摩天崖

     摩天崖のポスターを見て、この島に来た。
    宿に荷物を置き、道を聞いた。
    「片道10㎞以上あるぞ、歩くのか?」
    バスも無いと言う。それでも見たかった。
     風景の一目惚れだった。
     なだらかな坂が徐々にきつくなる。途中何台も、「乗りなよ」と声をかけてくれる。有難いけど、見知らぬ男の車は怖い。
    ようやく坂を昇ると、草原が現れた。牛や馬がのんびりしてる。
     歩いていると、突然切り立った断崖が現れた。
    ――これだ。
    柵一つない。行けるだけ行き、怖くなり後ずさりした。少し離れてゆっくり眺めた。日本離れしたこの場所が好きになった。
     帰り道、小学生を乗せたバスとすれ違う。
    窓から、あっかんべーされ、苦笑した。

    第14回 神主さんの説教

     夕飯を食べた後、神主さんに呼ばれた。
    「なぜ車に乗らなかった。君を心配して、知り合いに乗せてくれと頼んだのに。」と怒られた。
    「強面で怖かったので……」と言うと、
    「そんな悪い奴はいない。」と言い、また怒られた。
     そのまま話しは、宗教の話しへと続いた。
    日本人と信仰について。途中で、うとうとしてしまう。
    気がつけば、一時間が過ぎていた。最後に一冊の本を手渡された。
    「これでも読みなさい」
    『日本人と日本教』とある。正直、読む気はしなかったが、
    「ありがとうございます」と受け取った。
     今日は往復24キロ位は歩いたな。疲れた。

    第15回 焼火神社

     朝食後、奥さんが、
    「昨日は話しを聞いてくれて、嬉しそうだった。」と言う。
    半分以上は寝てたけど、と思った。
    「良かったら本堂へ行って来たら。」「近いんですか?」
    「この山の上ですぐよ。」
    それなら行くことにした。
     歩き始めると山道に入った。かなりの急坂を2㎞ぐらい進むと、まだ雪の残るツルツルな坂を超えて、やっと本堂へ。
    すぐ近くと聞いたが。本堂は岩に囲まれて、厳かな雰囲気だ。
     ――この先無事に旅を続けられますように。
    そう祈った。帰り道で何人かの漁師さんとすれ違う。
    この神社が、信仰されていることが伝わってきた。
     疲れて帰ると、奥さんがお餅を焼いてくれて、炬燵でいただいた。

    第16回 絵はがき

     お餅を食べた後、「ゆっくりしていけば」と言うので昼寝した。
    目が覚めて、そうだ。手紙書かなくっちゃ。と思い出した。
    予定を大きく変更して心配していた。
    最初の予定は、今頃津和野あたりだった。
    摩天崖の絵葉書に『元気でいるから。』と書いた。
     夕飯はいつもより豪華だった。亀の手以外の魚介が並ぶ。
     最後の夜だからだろうか。どれも美味しかった。

    第17回 隠岐汽船

     最後の朝港を散歩していたら、おばさんに声をかけられた。
    「あんたかい、東京から来た高校生は」
    この付近では、噂になっているそうだ。
    「あんた美人だね。山口百恵に似てると言われない?」
    全然似てないが嬉しかった。
     帰る時神主さんと奥さんが、宿の前で見送ってくれた。
    歩いていると後ろから車が来て、
    「乗ってかない?」と言う。若い男の人で躊躇していると、
    「おじさんに頼まれたんだ。これから船に乗るんだろう?」
    又頼んでくれたんだ。
    船も一緒で話が弾んだ。
    「あのおじさん話長くない?」思わず苦笑した。
    港に着くと、
    「親戚の家が近いから、お昼ご飯一緒に食べない?」と誘われた。その家のおばさんが、インスタントラーメンを作ってくれて、三人で食べた。
     その後彼とは駅で別れた。大阪の大学に帰るらしい。

    第18回 寺の宿

     海沿いの高台にあるお寺に泊まった。
    そこで、住職さん家族と一緒に夕食を食べた。
    島では神主さん夫婦と食べたけど、子供たちも一緒に食べたのは、初めてで嬉しかった。揚げたての天ぷらが、美味しかった。
     その夜、月明かりを観ながら寝た。
    次の日一人で朝食をとった。子供たちは学校に行った後だった。
     この寺は座禅できる、と言うので試してみた。黙々と目を閉じて正座すると、かなり厳しい。根性で30分が限界だった。
    終わると奥さんが、
    「初めてで30分はすごいよ。」とほめてくれた。
    ここは、『喝』がないらしい。
    「旅ノート良かったら書いて。」と言うので、
    ――『家族みなさんと食卓を囲んだのは、この宿が初めてで、嬉しかった。』と書いた。

    第19回 すき焼き

     すき焼きが食べたくて、宿をとった。
    その宿でようやく他の宿泊客がいた。農家民宿から、10泊宿に一人だった。三人ですき焼きを囲んで食べた。一人もいいがやはり、人がいると嬉しかった。
     その夜はトランプで遊び、翌日は三人で砂浜へ出た。
    鳴き砂が有名な浜辺らしく、キュキュッとなった。
    皆で記念写真を撮り、後で送った。
     駅で、それぞれ違う道に進んだ。
     私の山陰での旅は、ここで終わった。。。

    あとがき

     旅紀行文を書くため、当時の手帳を探した。
    「これじゃあ、小遣い帳だ」
     手帳には、使ったお金の会計と、何処で泊まり、何をした。を、数行書いてあるだけだった。
     そのメモを頼りに、大学ノートに書き始めた。
     書いていると、何十年も前の事なのに、
    特徴だけが、鮮明に思い出される。それを刻む様に書いた。
     見た友達が「記憶力抜群だね」と言ったが、記憶と言うより、
    「心の記念写真」
     
    記憶と共に、風景や話し声まで、思い出す。
     それを、書き留めて、みたくなった。。。





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    山陰海岸


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    鳥取砂丘


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    途中の駅で記念撮影



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    大社駅。見事な建築



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    知夫里島地図


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    知夫里島。まだ遊歩道は無く、牛がのんびりしていた。



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    赤壁のポスターを見て、この島に来た。。



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    摩天崖。柵一つ無い。ギリギリまで行って、ビビる。。



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    西ノ島の通天橋。海がきれいだった。。



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    記事にしていないが、宮島を見て、広島市に行った。。



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    雨の平和公園。。


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    原爆資料館を観て、原爆ドームを観る。。忘れない思い出になった。。。






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    高校生の時から一人旅をしてきた。結婚後は、夫婦で温泉旅行に行き、全国を巡った。趣味は、旅、映画鑑賞。還暦を過ぎて、残りの人生で、逢いたい人に会おうと思った。そして手紙を書いた。それが、書くきっかけとなった。書き初めて6か月になる。今では、毎日書いている。

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