
万葉集416-420を唄う。やまと言葉、英語(blues)、フランス語(シャンソン)、翻訳はgeminiです。AIと遊ぶ高齢者
『万葉集』巻3(挽歌など)の416番から420番までの現代語訳(意訳)、漢字抜きの「ひらがな」表示、そして英語・フランス語への翻訳です。
このセクションには、旅先での寂しさを残された家族への想いに重ねて詠んだ歌(416〜418番)や、万葉集の挽歌のなかでも重要な位置を占める大伴家持(おおとものやかもち)らの追悼の歌(419〜420番)が収められています。
416. 作者未詳
旅先で荒磯に打ち寄せる波を見つめながら、故郷の大和に残してきた愛しい妻の姿を途切れなく思い浮かべている一首です。
【意訳】 荒々しい岩肌の磯辺に、次から次へと激しく打ち寄せては砕け散る波のように――私の胸のなかには、大和の家に残してきたあの愛しい妻の美しい面影が、一瞬たりとも途切れることなく押し寄せ続けている。
【かな】 ありそなみに よるなみの しくしくに おもほゆるかも いへのいもがすがた
417. 作者未詳
清らかな砂浜を歩きながら、一人でこの素晴らしい景色を見ている切なさと、故郷の妻への永遠の想いを歌っています。
【意訳】 この清らかな白い砂浜の美しさを見るたびに、私は大和の家に残してきたあの愛しい妻のことを思い出さずにはいられない。私のこの深い想いは、これから先も決して忘れることはないのだ。
【かな】 しろたへの はまびのすなを 見むごとに いもをおもはむ 常忘れず
418. 作者未詳
険しい山道を越えて吹き下りてくる朝風の冷たさに、旅の孤独と、着物を貸して温めてくれる妻のいない寂しさを深く噛み締める一首です。
【意訳】 山を越えて吹き下りてくる朝の風は、身に沁みて冷たく寒い。この孤独な旅路にあっては、冷える身体に優しく衣を重ね貸して心配してくれるような愛しい妻も、ここにはいないのだ。
【かな】 やまごえの あさかぜさむし たびにしてころもかすべき いももあらなくに
419. 大伴家持(おおとものやかもち)
若くして世を去った家族や親しい者の死を悼み、命の儚さと遺された者の癒えぬ哀しみを深く歌い上げた挽歌(長歌・反歌の一節)です。
【意訳】 春になれば野山に美しく花が咲き誇り、秋になれば豊かな実りをもたらすこの素晴らしい世界であっても、人間の命だけは朝露のように儚く消え去ってしまう。去っていったあの人の面影を抱きながら、私はただ袖を濡らして泣くばかりだ。
【かな】 はるされば 花さきををり あきされば もみぢばにほふ 世のなかに ひとの命の つねなきものは あさつゆの ごとくきえ失せ ゆふぎりの ごとくなびきぬ
420. 大伴家持
上記の長歌に添えられた反歌で、旅立ちの空や季節の移ろいの中に亡き人の面影を見出し、消えることのない深い思慕を表現しています。
【意訳】 季節が巡り、空を流れる白い雲や吹き渡る風を感じるたびに、去っていったあの人の優しい微笑みが思い出され、私の涙は留まることなく溢れ出てくるのだ。
【かな】 あさぎりの たなびく山の うへにたち なき人の子を しのひつるかも
416
英語(English) Just like the wild waves of the rocky shore that crash relentlessly, surging one after another—the beautiful image of my wife left at home keeps rushing into my mind without end.
【かな】 ありそなみに よるなみに しくしくに おもほゆるかも いへのいもがすがた
417
英語(English) Every single time I look upon the pure white sands of this beautiful beach, the vivid memory of my beloved wife rushes back to my soul, never fading from my heart.
【かな】 しろたへの はまびのすなを 見むごとに いもをおもはむ 常忘れず
418
英語(English) The morning wind blowing over this mountain pass is bitter and cold. In the midst of this lonely journey, there is no sweet wife here with me who would gently lend her robe to shield me from the chill.
【かな】 やまごえの あさかぜさむし たびにしてころもかすべき いももあらなくに
419
英語(English) In this world where flowers bloom in abundance in spring and crimson leaves glow in autumn, human life remains frail and uncertain—vanishing like the morning dew, fading away like the evening mist.
【かな】 はるされば 花さきををり あきされば もみぢばにほふ 世のなかに ひとの命の つねなきものは あさつゆの ごとくきえ失せ ゆふぎりの ごとくなびきぬ
420
英語(English) Standing high above the mountain where the morning mist softly trails, my heart is deeply overwhelmed with tender, aching memories of the beloved one who has passed away.
【かな】 あさぎりの たなびく山の うへにたち なき人の子を しのひつるかも
416
フランス語Français) Tout comme les vagues sauvages du rivage rocheux qui se brisent sans relâche, déferlant les unes après les autres—la belle image de mon épouse restée à la maison ne cesse de bousculer mon esprit.
【かな】 ありそなみに よるなみに しくしくに おもほゆるかも いへのいもがすがた
417
フランス語(Français) Chaque fois que mes yeux se poseront sur le sable d'un blanc pur de cette belle plage, le souvenir vivant de mon épouse bien-aimée rejaillira dans mon âme, ne s'effaçant jamais de mon cœur.
【かな】 しろたへの はまびのすなを 見むごとに いもをおもはむ 常忘れず
418
フランス語(Français) Le vent du matin qui souffle sur ce col de montagne est si rude et glacial. Au milieu de ce voyage solitaire, il n'y a point de tendre épouse ici avec moi pour me prêter doucement sa robe et me réchauffer.
【かな】 やまごえの あさかぜさむし たびにしてころもかすべき いももあらなくに
419
フランス語(Français) Dans ce monde où les fleurs s'épanouissent en abondance au printemps et où les feuilles pourpres resplendissent en automne, la vie humaine reste fragile et incertaine—s'évanouissant comme la rosée du matin, s'effaçant つねなきものは あさつゆの ごとくきえ失せ ゆふぎりの ごとくなびきぬ
【かな】 はるされば 花さきををり あきされば もみぢばにほふ 世のなかに ひとの命の つねなきものは あさつゆの ごとくきえ失せ ゆふぎりの ごとくなびきぬ
420
フランス語(Français) Debout tout haut au-dessus de la montagne où la brume du matin s'étire doucement, mon cœur est profondément submergé par les souvenirs tendres et douloureux de l'être cher disparu.
【かな】 あさぎりの たなびく山の うへにたち なき人の子を しのひつるかも