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Photo byholly215moon

奇跡をおびる

    12年間、私はあなたの手だけを見ていました。

    ゲームセンターでとあるリズムゲームを始めたばかりの頃に、動画サイトであなたの手元のプレイ動画と出会ったのです。
    他にも動画を載せているプレイヤーは何人もいたけれど、あなたの動画の手がとても綺麗で動きも見やすくて、気がつけば目が離せなくなっていました。

    それから12年間、あなたの手元動画を繰り返し見つめる日々。
    あなたのSNSに投稿される最新のプレイ動画を見たり、ときどき混ざる猫や食べ物の写真を見て、「憧れの人が今日も充実した日々を送っている」と知るだけで、私の心は静かに満たされていたのです。

    13年目、あなたとの接点が生まれました。
    本当に、急なことでした。
    画面の向こうにいる神様のような存在だったあなたと、まさか言葉を交わす日が来るなんて、これまでの人生で一度だって想像したことはありません。

    最初は、何かの間違いではないか、と自分の目を疑いました。
    けれど、やり取りを重ねるうちに、私はあなたの「心」を少しずつ知っていくことになります。
    それから、あなたの「声」を聴き、あなたの「姿」を知りました。

    手元しか知らなかった私の世界に、あなたという一人の人間が、ものすごいスピードで実在し始めたのです。
    それはあまりに眩しすぎて、まるで夢を見ているかのような現実でした。

    やがて、さらに信じられない奇跡が起きました。

    遠い画面の向こうにいたはずのあなたと、私の心が重なり合ったのです。
    お互いを特別に想い合う、「両想い」という関係。

    初めて近くで触れたあなたの手は、私が12年間動画で見ていた通り、滑らかで、とても綺麗でした。
    でも、画面越しには分からなかったことがひとつだけあります。

    あなたの手は、私の手よりも、ずっとずっと大きくて温かいということ。

    憧れの対象だったその大きな手が、今は私のすぐ隣にあって、私を優しく包み込んでくれる。
    その体温を感じるたびに、胸の奥がぎゅっと愛しさで満たされていくのです。

    12年間、私はあなたの手だけを見ていました。
    そして13年目の今、私はあなたの存在そのものと共に過ごしています。

    画面の向こうで完璧なリズムを刻んでいたその指先が、これからは日常の何気ない瞬間に、私のすぐ隣にある。
    それがまだ、時々くすぐったくて、やっぱり少しだけ夢のようです。

    この大きな手が、これから私をどんな未来へ連れて行ってくれるのだろう。あるいは、私がその手を支える日が来るのだろうか。

    まだ誰も知らない、私たちの未来のページ。
    これからはあなたと同じ歩幅で、その温かい手をそっと握りしめながら、一歩ずつ紡いでいきたいと思います。


    あなたと過ごすこれからの年月に、私から目いっぱいの愛を込めて―――。


    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

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