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こびとづかんにハマった3歳児のお正月

    れいぽん



    1月2日 15:00
    滋賀県琵琶湖西縦貫道路。

    吹雪の中、車は京都方面へ向かって走る。フロントガラスに打ち付ける雪、雪、雪。

    積もる気配はないものの、久しぶりの吹雪の中の運転だ。ギュッとハンドルを握りしめる。

    息子はというとチャイルドシートでご機嫌だ。

    「はじめてのこびとづかん〜スターターブック〜」
    「こびと大百科」

    2冊の本を大事そうに抱え、ほくほくとした顔で時期はずれのジングルベルをずっと口ずさんでいた。



    1月2日 12:30
    滋賀県東近江市、フレンドマート能登川店。

    「やっと着いた…」

    朝、義母と合流。
    毎年恒例のお墓参りを京都市内で終わらせ、滋賀へと出発したのが11時すぎ。
    ナビでは1時間弱で着くと言っていたのに1時間半かかった。

    とにかくお腹が空いたので、ごはんを食べられる場所を探す。
    生憎、ファミレス的なものはなかったので、スーパーで各々購入し、イートインスペースで食べることになった。

    息子はパン屋さんでメロンパンとコーンピザを選ぶ。なぜかレジ横に置いてあるアンパンマンビスケット。こんなトラップ、わたしが逃れられるわけがない。しっかりと追加購入させていただいた。

    玉ねぎを徹底的に取り除いたコーンピザと、メロンパンの外側部分を平らげて、義母に鯛焼きをねだる息子。
    その後、さらにアンパンマンビスケットを頬張る。

    年末年始と「今日くらいはいいか」が続いていて、暴飲暴食気味。「いい加減にしないと」と思いつつ、また多めにみてしまった。

    一方で、同じく暴飲暴食がたたりお腹を壊している夫はというと、なんと天丼の大盛を食べていた。

    なんなんだうちの男たちは。

    夫は案の定、食後にドラッグストアへ下痢の薬を買いに走る。
    これには義母もわたしも苦笑いだった。



    1月2日 13:20
    滋賀県東近江市、平和書店能登川店。

    「本屋さんに行こう」と手を引き、スーパーに隣接した書店へ入る。息子は言われるがまま、トテトテと並んで歩く。

    入り口を入る。そこそこ大きな書店のようだ。
    急に繋いでいた手が離れる。

    新刊の文庫本コーナーへと走っていったかと思うと、

    「ああっ!!!こびとだーーー!」

    大きな息子の声が店内に響いた(予想通り)。


    そう。はるばる1時間以上かけてこのスーパーに来たのは、「こびとづかん」のミニイベントに参加するため。

    元旦の「何になりたいですか?」という質問に、「こびと系ユーチューバーになる」と答えて親族一同をどよめかせた。そんな息子のために、一生懸命ネットで検索して見つけたものだった。





    さて、大興奮でこびとさがしをスタートした息子だが、なかなか見つからない。

    それもそのはず、息子は天井を見上げている。

    「ホトケアカバネは上にいるからね。飛んでるかもしれないしー、天井にくっついているかもしれない。」

    そんなことをぶつぶつ言いながらただただ天井を見つめて歩く。

    当然ながら、こびとは子どもの目線にあわせて設置されている。見つかるわけがない。

    「じゃあ、リトルハナガシラはどこにいるの?」
    様子を見かねて、ホトケアカバネからリトルハナガシラへターゲット変更を試みた。

    息子はニヤリと笑って答えた。
    「リトルハナガシラは草の中だね!お外だーーー!」

    しまった間違えた。と思ったのも束の間、外へと走り出す息子を必死で追いかける。

    やっとのことで息子の腕を掴み、思わず「落ち着きなはれ!」と吉本新喜劇のような言葉を発してしまった。
    (これはさすがに恥ずかしかった)

    その瞬間に奇跡が。

    出口横の棚にこびとがいたのだ。
    「ホトケアカバネだぁ!!」息子がまた叫ぶ。

    ここだ。ここに便乗するしかない。

    「そうか、分かった!こびとたちはみんな、この本屋さんに集まってきているんだよ」
    「うん!そうだね!」
    やっとのことでルールを理解することができた。ホトケアカバネには感謝しかない。



    1月2日 14:30

    その後、息子は書店中を駆けずり回り、1時間以上かけて20人のこびとを無事見つけることができた。
    「いたぁ!」「見つけたぁ!」
    こびとを見つけるたびに、指差しポーズをビシッと決める。その姿はさながら江戸川コナンくんのよう。


    自分が見つけたこびとを孫に教えたくてたまらない義母にはハラハラしたし、最後のひとりは全然見つからず、大人たちはぐったり。

    平和に終わることができて本当によかった。

    ちなみに20人発見の裏側では、参加している子どもの親たちの情報共有があった。これがなければもっと時間がかかっていただろう。

    おみやげのポスターを受け取り、自分のお年玉でひとつ本を購入。さらに義母からも買ってもらった。



    「早めに帰って正解だったね」

    「まさか滋賀が、あんなに大雪になるとは思わなかったわ」

    そんな会話をしながら車は京都市内を走る。
    時刻は16:15。

    雪は止み、息子はいつの間にか眠っていた。


    三が日の雨や雪は「御下がり(おさがり)」という豊作の印。「富正月」と呼ばれるそうだ。


    そんなめでたいお正月。「こびとさがし」か始まった我が家の2026年。

    こびと系ユーチューバーになるために、息子は今も家の中でこびとさがしの練習を続けている。


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