
29. ピッポッパーの、トゥルントゥルン、トゥルン!
入園して数日。年少さんの慣らし保育。
朝、お母さんと離れた瞬間から、寂しさがあふれて涙が止まらない女の子がいました。
「お願い、ままをよんでー」
「早くきてって言ってー」
いろんな声かけで気をそらそうとしてみるけれど、
その子の世界は「まま」一色。
他の言葉は、なかなか届きません。
気分が変わればと、手をつないで廊下へ。
すると、やっぱり大きな声で
「お願い、ままに電話してー」
「電話番号、知ってるの?」と聞くと、
「ままの電話番号覚えてる!」と、即答。
(すごいなあ。最近、覚えている子も増えてきたな)
「じゃあ、ままにいつ来るか聞いてみようか」
そう言って、電話の前へ。
受話器を持ち上げて、
「よし、ままの電話番号教えて」
すると彼女は、今にも溢れそうな涙をためた、
まんまるの目でじっとわたしを見つめると
「ピッポッパーの、トゥルントゥルン、トゥルン」
え?
……か、かわいい♡
思わず笑いそうになるのをこらえて、
私も同じように「ピッポッパーのトゥルントゥルントゥルン」と言いながら“電話”をかけます。(かける風)
「もしもし。・・・・・」
ままとのやりとりをしてみる。
「まま、もうすぐお迎えに来るって」
そう伝えると、ようやく彼女の涙が止まりました。
まだ始まったばかりの園生活。
小さな体で、一生懸命がんばっている時間。
激動の慣らし保育のなかで、
ふっと心がゆるむ、やさしいひとときでした。