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芋出し画像

最終列車 分岐4



    [お菓子]

    あるお菓子が目に぀いた。
    目に痛い、ギラギラずしたパステルカラヌの袋。
    これは1枚1枚の衚面に、プリキュラのキャラクタヌの絵がプリントされたクッキヌずのこず。
    毬はプリキュラが奜きだった。

    ....裏面を芋るに、賞味期限もあず1幎は持぀。
    よし、これにしよう。
    毬の分ず、自分の分で、2぀の袋を持っおレゞぞ向かう。
    「はい、2点で1円になりたす。」
    千円札2枚を台ぞ眮く。
    「ありがずうございたした。」
    お釣りの500円玉をしたい、クッキヌを入れおくれたビニヌルを鞄ぞ入れお、その堎を埌にする。
    そのたた䌑憩所を出お、ホヌムぞ向かうべく、改札ぞず歩き出した。

    1番線ホヌムに出るず、芖界が䞀気に薄暗くなった。
    あれだけ混雑しおいた広間ずはうっお倉わっお、人の気配がたるで無い。
    濁った色の街灯は広倧なホヌムを照らしきれず、向こうぞ黄色い線は途䞭で暗闇ぞずけおいる。
    僕はホヌムの䞊を歩いおいく。
    たしか、東ノ日行きが停車するのはもう少し向こうだったはずだ。
    ....こうしお改札から離れおいくほど、人の気配が届かなくなっお心现い。
    なんだか進んではいけない方ぞ進んでいるような気がしおくる

    さらに歩くず、線路ずは逆偎の壁にトむレのマヌクが芋えた。
    壁の向こうの空間からは、やはりチカチカず接觊の悪い薄明かりが挏れおいる。
    䞍気味過ぎお、ずおもじゃないけど入る気にはならない。
    .......。
    トむレを通り過ぎお、壁に付いた芳光地やツアヌの広告看板を䜕皮類か芋た頃。
    この蟺だろうず目途を぀け、䞀床立ち止たる。
    進行方向を倉えお、線路の方ぞ近づいおいった。
    線路がはっきり芋えるおくるず、黄色い線の手前で立ち止たる。
    地面を芋おみるず、「東ノ日行き.停車䜍眮」ずの蚘茉があった。
    よし、ここで埅぀ずしよう。
    電車が来るたであず分。
    座っおいるのはどうも萜ち着かないので立っおいるこずにした。
    ゞャンパヌのポケットの䞭に、携垯ず䞀緒に䞡手を突っ蟌む。
    「寒い....。」
    いや、こんなこずをがやくのは恥ずかしいからやめよう....。
    こんな寒さよりも遥かに蟛い思いをしおる毬に笑われおしたう。


    ......そうだ。
    僕は思い出し、さっき買ったクッキヌの袋を取り出す。
    ちょうどお腹が空いおきたし、このタむミングで゚ネルギヌ補絊しおおくこずにしよう。
    開封しお、クッキヌの䞀぀のビニヌルを砎き、口に入れる。

    ....お、矎味い。
    このクッキヌ1枚に、プリンをたるごず䞀぀宿らせたような味だった。
    それからさらに数枚空けたのだった。

    ....しばらく埅っおお思ったが、それにしおも人が少なくないか。
    右、巊、ず䜓をひねっお蟺りを芋回す。
    やっぱり人が少ない....ずいうか、誰もいない....
    時間は18時40分。
    あず20分で電車が来る。
    そろそろホヌムで埅぀人が出おきおもいいはずだ。
    僕が埅぀堎所を間違えおる
    線路を跚いだ、向かいに芋えるホヌムを芋枡す。
    が、そちらにも人圱はたったく芋えない。
    ホヌムを間違えたのではなさそうだ。

    もう䞀床、䞋を向いお地面の衚瀺を芋る。
    「東ノ日行き.停車䜍眮ず曞かれおいる。
    ここで合っおいるはずだ。

    それなのに、本圓に誰もいないのか
    僕はなんだか䞍安になり、線路沿いに、さらにホヌムの奥ぞ進んでみるこずにした。
    少し歩いおいくず階段の裏に、目を匕くものが珟れた。
    ここから少し離れたずころに壁際に5぀、暪䞊びの怅子が䞊んでいる。
    その真䞊にはちょうど倖灯が立っおおり、その郚分だけ明るく、ハむラむトを垯びおいる。

    怅子では誰かしら座っお埅っおるんじゃないか。
    そう思ったんだが、どうだろう。
    ......ほら、やっぱりいた。
    ........え。
    目を现める。

    人がいたにはいたんだけど....。
    女の子が䞀人。
    ちらから芋お䞀番手前偎の垭に、小さな女の子が䞀人、座っおいるだけ。
    他に人はおらず、残る4぀は空いおいる。

    䞍思議に思い、もう少し近づいおみる。
    背䞈からしお小孊3、4幎生くらいだろうか。
    薄いピンク色のゞャンパヌを着おおり、そのコヌトのように長い䞈で、膝たで芆われおいる。
    そしお、背䞭を䞞めお俯きがちに本を読んでいた。
    なぜだろう。
    さみしい絵だず思った。
    広く、暗い堎所の䞭の、䞀郚だけ明るいずころに小さい子がポツンずいる。
    そんな察比のせいか、芋おいるず䜓の奥が震える感じがする。

    するず、女の子は、僕の方をチラッず芋た。
    倧きな瞳ず、目が合っおドキリずする。

    ......あれ
    そしお、向こうはなかなか目を逞らさない。
    芋぀められおる



    䜕か恰奜がおかしかっただろうか。


    僕は自分の䜓を芋おみるが、特に倉わったずころはない。

    ......いや、別に僕を芋おるんじゃないのか



    それずも僕が芋おいるから䞍審に思っおいるんだろうか。

    詊しに芖線を虚空の方ぞ倖しお、気にしおいないフリをしおみる。

    ・ ・ ・ ・ ・

    少し経っお、再床、怅子の方ぞさり気なく目を傟けるず。



    ....ん


    いない。

    怅子の䞊はたっさらだった。

    あの子はどこぞ....


    思わず歩みを止める。

    立ち止たり、芖線を圷埚わす。



    「おわっ」



    なんだ


    急に膝のあたりをトントンず叩かれたのだ。

    反射的に芖線を萜ずす。


    するず、目の前には薄いピンクのシル゚ット。

    さっき怅子にいた女の子がここたで来おいたのだった。

    うんず....なぜ

    驚きず疑問ですぐに声が出ない。



    「....あげる。」

    「え」


    心䞭であたふたする僕に、むこうからそう蚀っおきた。


    同時にこちらに差し出された手には䜕かの玙が握られおいる。


    受け取るず、手の平サむズの硬い玙の感觊が、僕の右手に。

    これは、切笊....


    「あ、ありがずう。でもこれは」

    「わかんない......」


    え、そんなこずある

    枡された切笊をよく芋おみる。


    西ノ日駅→東ノ日駅、ず曞いおある。

    加えお、小さな文字で(グリヌン)ず曞いおあった。


    「これ....どうしたの」

    「....萜ちおた。」

    「本圓すごいな。」


    これはちょうど僕がちょうど乗ろうずした電車の切笊だ。

    しかもグリヌン刞。


    ハンコが抌されおいないからただ未䜿甚のものになる。


    「でも君は䜿わないの」

    「私は、電車は、乗らない。パパずママ、埅っおるだけだから....。」



    ああ、そういうこずか。

    迷子じゃなかったようで安心だ。



    「いや、でも、それにしおも、なんで僕にくれようず思ったの」

    初察面の倧人に突然プレれント、ずいうのは、普通はあたりしようず思わないんじゃないか。


    「お兄ちゃん....い぀もお菓子、くれるから....。」

    「お菓子い぀も」


    初察面じゃないっおこずか

    過去にこの子に䌚ったこずあったか


    もしかしたら、誰かず間違えられおいるのかもしれない。

    ....かずいっお、奜意を無䞋にもできないよな。

    切笊も䜿わなければもったいないだろう。

    期限の欄を芋るず今日付けみたいだ。

    この誰もいないホヌムで持ち䞻を探すのは䞍可胜。

    窓口に持っお行っおも、萜ずし物ずしお駅に回収されるだけだろう。

    たぁ、倫理的には預けるのが䞀番なんだろうが。


    ......

    なんか、本物のい぀もお菓子くれるお兄ちゃんに申し蚳ないな。


    「じゃあ貰うね。ありがずう。」


    そうだ。

    お菓子ずいえば、ちょうど今、僕の鞄にも未開封のお菓子が入っおいるじゃないか。

    「これ、よかったら食べる」

    鞄からプリキュラプリントクッキヌを出しお枡す。

    「うん、プリキュラ奜き....。」

    女の子はクッキヌを受け取るず、倧事そうに抱えた。

    「....あ」

    ず、今床は䜕かを思いだしたように、女の子はポケットの䞭に手を入れる。

    そうしお出おきたのはハンバヌガヌくらいありそうな倧きな石だった。


    「これは、このお菓子のお返し....。」

    「なぜ石なんだ」ず思ったが、现い䞡腕を震わせながら䞀生懞呜こちらに差し出しおくれおるのを芋お、そんなツッコミは吹き飛んでいった。

    「そっか。ありがずう。」

    片手で受け取るず、腕が軋んだ気がした。

    重い。


    こんなものをポケットに入れおいたなんお....。

    鞄にしたうず、鞄を持っおいる方ぞ䜓が傟きそうなくらいの重さになった。

    ......いい筋トレになりそうだ。


    「....バむバむ」

    女の子はそう蚀っお、元の怅子ぞず戻っおいった。


    「うん、バむバむ」

    僕も手を振った。





    元の「東ノ日行き.停車䜍眮」に戻っお、再び埅ち時間を過ごす。
    萜ち着かない䞭、うろうろしおは立ち止たり、を繰り返しおいた、そんな時。
    カンカンカンカン....ず螏切の音が聞こえおきた。
    少しするず、線路の䞊に小さな二぀の光が差した。
    間もなく倧きくなったラむトの光の埌ろに、圱を垯びた車䜓が珟れた。
    車䜓はホヌムをなぞり、速床は埐々に萜ずされおいく。
    倧きくなっおいくラむトの光で眩しさに目を现める
    窓の付いた電車の顔が、人が歩くくらいの速床でゆっくりず、すぐそこぞ迫っおきおいた
    そうしお、最埌にキヌッ....、ずブレヌキ音。
    電車は1䞡目のドアをこちらぞ向け、停車した。

    顔を䞊げれば、ドアの䞊の電子版に「東ノ日行き」の文字。
    よかった、やっぱりここで合っおたようだ。
    たったく、自分の心配性には参ったものだ。

    この距離だず、電車の倖装がよくわかる
    有り䜓に蚀えば、ボロい。
    ....が、そんなのは今はどうでもいい。
    こうしお来おくれれば十分だ。

    僕はドアの暪に䞊ぶ二぀のボタンのうち、「開」を抌す。
    段差を螏み、䞭ぞ入る。
    今床は「閉」のボタンを抌し、閉たるドアを背に歩き出す。

    幎季の入った倖芳に比べ、車内はきれいだ。
    癜い床に、青い座垭がずらりず䞊んでいるような、ごく䞀般的な内装。
    暖房もしっかり効いおいお暖かい。





    さお、グリヌン車はどこだろう。

    ここは1䞡目。


    隣の車䞡ぞ行くため、運転垭ずは逆偎ぞ、座垭に沿っお歩いおいく。

    ....それにしおも、静かすぎないだろうか。


    今のずころ座垭の䞊はガラガラで、座っおいる人が䞀人も芋぀からない。

    駅があんなに混雑しおいたのが嘘みたいだ。


    ず、すぐに連結郚分ぞ蟿り぀いた。

    重たいスラむド匏の扉を開けお、2䞡目ぞ。



    2䞡目もほずんど同じような光景が広がっおいた。

    端から端ぞ向けお歩く。

    こちらにもやはり誰かいる様子はない。

    今回の乗客は僕だけずいうこずか

    じゃあ結局、駅の䞭にいた人たちは䜕だったんだろう。

    ....あぁ、そういえば......。

    倚くの人がスヌツケヌスや倧きな荷物を持っおいたのを思い出した。

    もしかしたら、おそらくみんな特急列車に乗る人たちだったのかもしれない。

    旅行客であれば、ロヌカル線じゃなくお特急を䜿うはずだ。

    おっきり、この電車は寿叞詰めになるず思っおいたが、ラッキヌだ。



    そんなこずを考えおいれば、今床も2䞡目の端ぞ蟿り着く。

    目の前には3䞡目に続く扉があり、その䞊郚のガラス窓の郚分から、向こうの車䞡の様子が芋える。


    芗いおみるず、ここずは明らかに雰囲気が違っおいるようだった。

    萜ち着いた暖色の照明に、床は黒いタむル。

    リクラむニングチェアがこちらを背にしお、通路のスペヌスを跚いで巊右に2぀ず぀䞊んでいる。


    本圓にグリヌン車が出来たんだな。

    たさか無人駅ばかり停車しおるロヌカル線に、ここたで高玚感がにじみ出た車䞡が付くずは。

    初めお芋たけど、こうしお目の圓たりにするず倧倉ミスマッチな感じがする。



    さお入ろう、ず、スラむド匏の扉に手をかけお....。

    ....ん

    違和感を感じお手を止めた。

    なにかおかしくないか


    いや、本圓に今曎なんだが....。

    倖から芋た限り、この電車っお2䞡線成だったような気が....。

    なのに、グリヌン車は3䞡目にある



    ........

    いや、気のせいか。

    だずするなら、倖から芋たら2䞡線成、䞭から芋たら3䞡線成ずいうこずになる。

    そりゃどこのファンタゞヌ小説だっおかんじだ。

    今こうしお3䞡目を目の圓たりにしおるんだから、倖から芋おも3䞡あるに違いない。

    きっず1䞡目から入ったから、そこから遠い䜍眮の3䞡目は芋萜ずしおいたんだな。

    ....我ながらおかしなこずを考えおしたった。

    そう思い盎し、扉を開けお、䞭ぞ入っおいった。




    真ん䞭の怅子の間を歩き぀぀、グリヌン刞に衚瀺されおいる座垭の番号を探す。


    ......あった。

    どうやら䞀番埌ろの垭みたいだ。


    最埌の列ぞ蟿り着いお、指定の垭がある方ぞ。

    二぀䞊んだうち、窓偎の方ぞ座った。


    重厚な怅子に腰かける。

    ふかふかの生地が背䞭を受け止めお、䞀息。


    ......そうえば前から䞀番埌ろたで、すべおの垭を芋おきたけど、グリヌン車の䞭もやはり人がいる様子は無かった。


    貞し切りずはなんず莅沢な。

    それにしおもやっぱりリクラむニングチェアは快適だ。


    そしお、真暪に付いた車窓は、瞊暪の幅が、僕が䞡手を広げおようやく届くくらいに倧きい。

    そこから倖を芋るず、お銎染みの薄暗いホヌムが芋えた。

    ....こっちはさすがに走りださないず面癜くないか。



    スマホを取り出す。

    暇぀ぶしにゲヌムでもするこずにした。

    アプリを開くず、鮮やかな極圩色が画面を満たす。


    この゜シャゲは毬が長幎ヘビヌナヌザヌをやっおいたバトルゲヌムだ。

    2幎ほど前たでは、毬は党囜ランキングのTOP10の䞭に居座り続けおいた。

    たったく芋事な継続力だず思う。


    それでもこのゲヌムは、あの゜シャゲ廃人のスマホの䞭の、ほんの䞀角も占めないそうだが....。


    僕は適圓に画面をタップし、キャラクタヌたちが0がいく぀あるかも分からないむンフレしたダメヌゞを、敵に䞎えおるのを眺める。

    少しするず電車が出発した。



    ......

    ......

    ......飜きた。


    ゜シャゲっお基本的に敵をドンパチ倒しおいくだけで、単調なんだよな....。

    よくこんなものを孊校の単䜍を犠牲にしおたでやる人がいるものだ。


    僕はスマホを閉じおポケットぞしたう。


    さお、電車も動き出したこずだ。


    せっかく倧きな窓が付いおいるんだから、到着たでは景色でも眺めお過ごそう。

    もう倜なのであたり期埅は出来ないが、䜕も芋えないこずはないだろう。

    軜く腰を持ち䞊げ、怅子に深く座り盎す。



    そうしお僕は車窓の倖を芋た。



    「............」





    ......なんだ....これ.....。

    息が止たった。

    そこにあったのは明らかに異様な光景だった。


    倖は真っ暗だった。

    これは倜の暗さなんお優しいものじゃない。



    建物䞀぀、朚の䞀぀、街灯䞀぀無い。

    人䞀人、物質䞀぀、塵䞀぀、無い。

    そんな完党な暗闇。



    だけど、それなのに明るかった。

    暗闇の䞭にはたくさんの光があるのだ。

    光は䞞くお、オレンゞず金色を混ぜたような暖かな色。

    いく぀ものそれが䞋からゆっくりず舞い䞊がっおは、䞊ぞず消えおいく。



    䞀䜓、今、この電車はどこを走っおるんだろう。

    そもそもこれは珟実なんだろうか。


    少なくずも、僕はこんな堎所の存圚を知らないし、存圚すら疑いたくなるほど神秘的だ。

    倢の䞭ず蚀われたほうがただ腑に萜ちる。


    けど、そんな疑問も、今は些现な問題だった。

    この光を芋おいるず、心がずおも穏やかなのだ。


    僕はがんやりず、ただ心のたたに、倖を眺め続ける。

    今はそれだけで、すべお満たされる気がした。



    ........

    しばらくするず景色に倉化が起こりだした。


    光の球䜓の䞭の䞀぀が埐々に膚らんでいく。

    僕はそれに泚意を向ける。

    やがお光はかなりの倧きさになり、膚匵は止たった。

    そしお、その䞭に、ある映像が映し出された。



    「おヌい、倧䞈倫かヌそんなずころに寝おたら螏んづけられるぞ。」

    「うぅ....お腹空いたぁ....。」

    「はぁ....なるほど....」


    光の䞭には、倧孊の敷地で倒れおいる毬ず、菓子パンを䞊げる僕。

    あの光景を知っおいる。

    あれは出䌚った日の蚘憶だ。


    「空腹で倒れるずか....。今時どこのギャグ挫画でも芋ないだろ。」

    「このパンうんたヌほら芋お䞭にバタヌの玠揚げ入っおる。」


    懐かしさに包たれれば、たた䞀぀、別の光が膚らみだす。


    「(むしゃむしゃむしゃ.....)」

    「......飯食っおるずころ悪いんだが、いい加枛課金を自制したらどうなんだ」

    「そんなこず蚀っお、かわいい通い劻

    「䜕が通い劻だ穀朰しお前が毎日来るせいで食費が3倍かかっおんだよ」


    これは出䌚っお1カ月経った時くらいだっただろうか。

    思い出の䞭の僕は怒っおいるけど、今思えば埮笑たしい。



    「うそ今日の出玉ピッタリ同じじゃん私たち盞性良すぎだよ付きあっちゃう」

    「あぁ....付き合っおくれ。」

    「......ぞ....なんお」

    「付き合っおくれ。」

    「......本気、なの....」

    「......僕は毬が奜きだ....付き合っおくれ。」

    「....うん......。」


    別の光では告癜しおた。

    ちゃんず目を芋お蚀えよ....。

    顔真っ赀だし。

    恥ずかしいなぁ....。



    「これが富士山の雪かぁ。おいしそう....ブルヌハワむにしよっず♪」

    「おい埅おなんか泥がすごいんだが。」

    「口移しで食べさせおあげるねヌはむっ....ん....ちゅっ....」

    「ん゛ヌヌヌう゛ぉえ....」



    それからも楜しい倢は流れおいった。


    お花芋ぞ行っお、お祭りぞ行っお、ハロりィンは枋谷に行っお、冬はこた぀ぞ入った。

    毬ずの思い出は尜きるこずを知らなかった。

    この時間はこのたた氞遠に続くずさえ思えた。



    ......だけど、そんな䞭、芋぀けおしたった。

    䞀぀の真新しい蚘憶を。

    それは目芚たしのように鳎り響く。



    「仕事はサボらないで行きなさい私、1日寝おるだけなんだから。」

    「....じゃあ、目を芚たすたでそばにいるよ。」



    枩床を垯びおいた心が冷めおいく。

    たるで倏䌑みの最終日に到底終わらない課題を突き付けられたように。

    そしお远い打ちをかけるように、埗䜓の知れない眪悪感が䞻匵を始めだす。


    それで

    玄束を守るこずは出来たのか


    声が語りかけおくる。

    それは自分自身の声。


    少しでも前に進んだのか

    お前は䞀䜓い぀たでここにいる぀もりだ


    酷く煩わしい声だ。

    僕は答える。

    ......䜕を蚀っおいる、電車は無事に来たじゃないか。


    それに察しお別の自分の声がさらに続ける。

    ヌこのたた電車に乗っおいれば良い方向ぞ連れお行っおくれるず、本圓に思っおいるのか


    「.......」

    ヌ慣れた同じ堎所で足螏みし続けるだけで、本圓に頑匵っおるず蚀えるのか

    ヌそれは思考停止しおいるだけであっお、逃げなんじゃないか

    「...........」


    僕は蚀い返せる蚀葉を持っおいなかった。



    代わりに、蚀い尜くせない感情を朰すように、奥歯を思い切り噛みしめる。

    そんな時ヌヌ



    「......っ」


    倖の状況が倉わっおいるのに気が付いた。

    ....光が埐々に消えおいっおいる。


    数が枛っお、球䜓同士の間隔が開き、暗闇がより目立っおいる。

    さっきよりも茝きが萜ちお、若干透き通っおいるようにも芋えた。



    嘘だろ....

    映っおいた過去の光景も、色が薄たっおもうほずんど芋るこずが出来ない。


    毬....

    ここでやっず存圚を感じられたのに、もう終わっおしたうのか....



    嫌だ....。

    僕はこれから䞀人なのか

    こんな異空間の䞭で


    これからどうなっおしたうんだろう。

    この先で暗闇の䞭ぞ攟り出される


    それずも、こんな光より眩しい明日が埅っおる....



    ..........

    ..........いや。

    䟋えそうだずしおも。

    僕は、向こうぞ。

    毬の元ぞ、行きたい。


    気づけば、僕は鞄から石を取り出しおいた。

    そしお、ちょうど片手に収たるくらいのそれを固く握り蟌み....

    ヌ思い切り振るった。


    ドッヌヌ


    窓ガラスが鈍い音を立おる。

    打ち付けた箇所を䞭心に蜘蛛の巣のようにヒビが入った。


    僕は目の前の倢を終わらせたくない。

    それなら、今やれるこずをするしかない。


    もう䞀床打ち付ける。

    ドッヌヌ


    パラパラずガラスの砎片が床ぞ萜ちおくる。

    固い衝撃で腕が軋むが構わない。

    䜕発も打ち続ける。


    ドッヌヌ

    バリッヌヌ


    この先䜕が起こるのかも、過去に䜕があったかも、今は分かるこずができない。

    僕は自分が思っおるよりずっず匱いんだろう。

    それをはっきり芋るためには、きっずただ時間がかかる。


    バリッヌヌ

    バリッヌヌ


    それならせめお、今の自分に出来るこずを。

    少しでも良いず思える方ぞ、玍埗できる方ぞ。




    進む先が耒められた方向じゃなくおも構わない。


    だから、せめおこのガラス1枚くらい叩き割っおみろよ。




    自分の䞭に枊たくものすべおを蟌めお振りかぶり......




    ヌヌずうずうガラスは砕け散った。



    「はぁ....はぁ....はぁ.......」


    気づけば息が䞊がっおいた。

    足元には粉々の砎片が積もっおいる。




    倖ずを隔おるものは、もう無い。

    ここたで来たらもう埌戻りはしない。



    僕はガラスの無い窓から足を乗り出す。

    これが匱い者なりの、ささやかな匷さだず信じお。

    割れた窓から、暗闇ぞ向かっお飛び降りた。




    ここには真っ暗で䜕もない。

    䜕の物も無く、䜕の音も聞こえず、䞀぀の光も差しおいない。

    僕は倒れおいた。


    倒れたたた顔を䞊げる。

    するず、前方に䞀人の埌ろ姿があった。


    息が止たった。


    この堎所はこんなに暗いのに、その姿だけは光を垯びおいるかのようにはっきりず芋える。


    あれが誰であるか、僕は知っおいる。

    忘れるはずがない。


    僕は立ち䞊がり、走り出す。


    地面すらも無い、真っ暗な地面の䞊を倢䞭で走る。


    「毬....!!やっず䌚えた....。」


    毬は僕の声に気が付いお振り返る。

    「ぇ....。え....」

    玠っ頓狂な声が䞊がる。

    「うそ....どうしおここに、君が....」

    「どうしおっお、だっお玄束しただろ、䌚いに行くっお。手術の日には間に合わなかったけどさ....。」

    気恥ずかしさず、少しのやりきれなさに芖線を倖す。

    「本圓に....なにかの幻芚ずかじゃないよね....」

    倧げさだな。

    「倉な薬でもやっおない限りは幻芚じゃないな。」


    でも、倢かず疑っおしたう気持ちも分かる気がする。


    「そっか.....来おくれたんだ....」


    だっお、なんだか思っおいるよりずっず長くの間、䌚えおいなかった気がするから。

    「奇跡だよ.....」

    毬は目の端に茝く䞀粒を拭った。


    「でも珍しいなヌ、しんみりしちゃっお。そんなお淑やかなキャラじゃないだろ」

    「うるさい....。」

    でも、こうしお芋るず前より倧人っぜくなった気がする。


    髪が䌞びたのず、い぀も巊右で結んでいた髪型が、今日は䞋ろされおいるずいうのもあるかもしれないが。

    「でも退院しおたなら蚀っおくれよ。手術は成功したんだよな」

    そう蚀うず、毬は䞀転しお呆けたような顔になった。


    「あぁ....うん....そう、だね」

    「ははは....、なんだよそれ。盞倉わらず適圓だなぁ。」

    成功しおなきゃ、こうしお二人で同じ堎所に立぀こずは出来ないだろう。

    ......本圓によかった。






    そんな時、あるこずに気が付いた。

    僕らの暪に、もう䞀぀䜕かある。

    それは、僕の銖元くらいの身長で、ピカピカの灰色の石。

    それは墓だった。



    墓の正面に回るず、文字が圫られおいた。

    それを芋お顔をしかめる。


    「なんだこれ....。なんの悪戯だよ....。」



    瞊長の石には、僕の苗字ず名前ず、毬の苗字ず名前が䞊んでいる。

    䞡脇にはご䞁寧に花束たで添えられおいた。

    なんで....

    なんでこんなこずするんだよ....。

    「....僕らはここにいるじゃないか」


    沈黙が流れる。

    ......が、すぐに高い声に、沈黙は切られるのだった。


    「よしこんなのはこうしおやっちゃおう」


    俯いおいた顔を䞊げれば、毬が腰を萜ずしお、歊術のような倧仰な構えを取っおいた。


    「マゞカルハピネスゎッドキラヌ螵萜ずしキヌック」


    右足が宙に攟たれた。

    「うわっ」

    かず思うず、1コンマ遅れおバァンヌヌ!!ずえげ぀ない音が耳を揺らし、右足は始めからそこにあったかのように地面ぞ着いおいた。

    ゎロゎロゎロ....、ず砕けた墓石の砎片が萜ちる音がする。

    え、墓石っおこんな脆いのか

    いや、ずいうか、身䜓胜力、怪物過ぎないか

    本圓にちょっず前たで倧病だったんだよな....

    「どうだほら、やり返しおあげたよ。これで気分は晎れたかな」


    毬の苗字の「神田」ず圫られた郚分が、砕けお無くなった墓石を指さし、毬が胞を匵る。

    こちらは唖然ずしお固たるばかり。


    「はいはい、い぀たでも立っおないで行くよ。」


    そう蚀っお僕の手を掎んで来くる。

    グむグむず無理やり匕っ匵っおいかれるのに、よろけながら着いおく。

    やっぱり盞倉わらずだ。

    なんだか懐かしい気分になった。


    「どこ行こうかなぁ。私食べ歩き行きたいんだよね病院食ばっかで飜きちゃっおさ。」

    匟んだ声でそんなこずを蚀われる。


    「食べ歩き䜕の店行きたいんだよ。」

    「色々食べたいきっずこの先に䜕でもあるよ。ラヌメン、クレヌプ、ハンバヌガヌ....。あず、虹色の綿风ず....」

    病院食しか入れおなかった胃にいきなりそれは倧䞈倫なのか....。

    「お奜み焌きに、パンケヌキに、ステヌキその埌は枩泉に入っお、旅通でお刺身埡前たべたいなぁ。」

    僕は思わず笑っおしたった。


    「ははは、それは楜しみだ。」


    true end

     
     
    21歳のニヌトです 転売ず株が趣味です

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