第5話 成り上がり 最終話
第5話 「成り上がり」
数年後。
つっちーは、自分の会社の事務所にいた。
机の上には、たくさんの仕事の資料。
電話が鳴る。
「はい、つっちーです」
昔とは違う。
自分を頼ってくれる人がいる。
一緒に働いてくれる仲間がいる。
守りたいものもある。
仕事が終わり、つっちーは一人で外に出た。
夕焼けの空を見上げる。
ふと、昔のことを思い出した。
千円しか入っていなかった財布。
仕事をサボっていた日々。
コンビニ前でくだらない話をしていた仲間。
そして、あの日。
「お前、これからどうするんだ?」
あの言葉がなかったら。
きっと今の自分はいない。
つっちーは笑った。
「俺も、変われたんやな」
スマホが鳴った。
昔の仲間からだった。
『久しぶり。今度会おうぜ』
つっちーは少し考えてから返信した。
『おう。またな』
もう、過去を恨んでいない。
昔の自分も嫌いじゃない。
あの頃があったから、今がある。
つっちーは歩き出した。
成り上がる。
それは、誰かを負かすことじゃない。
誰かより上に行くことでもない。
昨日の自分より、一歩前に進むこと。
何もなかった男が、
自分の力で人生を変えた。
それだけで十分だった。
そして、つっちーの物語は終わらない。
ここから先が、本当のスタートだった。
