
「ブス」は芸か?
子供の頃から「可愛い」と言われたことが一度もない。
なぜならブサイクだからだ。
しかし、褒めるところを探すのが大人というもの。「背が高いね。クラスで何番目?」「しっかりしてるね〜」などど当たり障りのない社交辞令でその場を平和におさめる。
自分でも良く解っていた。
幼稚園の集合写真では困り顔のこけし。
小学校の修学旅行写真では当時流行りの榊󠄀原郁恵ちゃんカットの大型犬。
そう、中途半端な『ブサイク』なのである。
しかし親の欲目とはよく言ったもので、私の母は両親がいない上に貧しい幼少期で苦労した分、娘に可愛いワンピースを着せることが大好きであった。
あまりにも可愛い洋服を着せるので、その頃の写真はなかなかの仕上がりである。
短大に入る頃には化粧も覚え、私なりに可愛くなるよう全精力を傾けた。
その結果、学生証の写真は聖子ちゃんカットの前川清というキセキが起こった。
我ながら捨てるに惜しい一枚である。
さて、本題である『ブス』は芸かの話だが、ブサイクが生きていく上で必要なスキルの一つが私の場合『いじられ上手』になることだった。
ブスいじりをされて傷ついてないかと言えば、そんなことはなく、しっかり傷ついている。
だが『いないもの』として扱われる辛さよりはよっぽど良い。
美人と比較されてイジられても、ノリツッコミで返しまくった方がまだマシなのである。
「おまえ明るいから助かるわ~」とよく言われたものだ。
こうして何とか生きてきた私が前々から疑問に思っていること…。
それは『ブス』『ハゲ』『デブ』をキャラに使う芸人さんが今だにいることである。
憧れを持たれるほど売れ続けている芸人さんは奇をてらった髪型や、わざとピチTからお腹がはみ出すような服装はしていない。
なんならファッションアイコンになるほどお洒落で素敵な方が多い気がする。
そんな良い見本があるにもかかわらず、なのだ。
カッコよくて面白い、それで良いではないか。
まずはインパクトを残して名前を覚えてもらう戦略はアリだとは思うが、見てる私は「またか」と何とも言えない気持ちになる。
私は小さい頃から『ブス』ネタでも笑ったことがない。
特にお客相手に見た目いじりが始まると、自分の事を言われてるようで子供ながらにキューッと体の芯が苦しくなった。
決してルッキズムを言いたいのでは無い。
どんな仕事や商売も、時代に合わせて進化してきたものが第一線で残っている。
なのに昭和の頃からしつこく使われてた『ブス』『ハゲ』『デブ』で笑いを取ろうとする芸人さんが、まだまだいることが不思議でならない。
見た目で笑いを取るという感性は、もうそろそろ進化しても良い時期ではないだろうか。