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㉘真田信繁、初めお䞻圹になる 真田䞞祝勝䌚、九床山真田庵の宎䌚芞が倧坂城を乗っ取る ハッタリ軍垫 真田信繁 第28話

    第28話 真田信繁、初めお䞻圹になる


    倧坂城の䞭は、ただ戊堎の続きだった。

    ただし、矢も鉄砲も飛んではいない。

    飛んでいるのは、噂だった。

    「真田䞞だ」

    「真田巊衛門䜐だ」

    「赀備えが出たぞ」

    「南の蜜柑が埳川を食った」

    「倧軍垫だ」

    人から人ぞ、廊䞋から広間ぞ、広間から台所ぞ、台所から門番の詰所ぞ。

    話は枡るたびに、少しず぀膚らんだ。

    真田の兵が出た。

    埳川が厩れた。

    倧坂城の兵も出た。

    埳川の倧軍が退いた。

    煙の䞭から赀備えが出おきた。

    みかんの銬印が揺れおいた。

    泥だらけの旗が、退けず瀺した。

    その旗たで、い぀の間にかありがたいもの扱いされおいた。

    内蚘は、それを聞いお露骚に眉を寄せた。

    「若。あの旗、早めにしたった方がよろしいかず」

    信繁は銖をかしげた。

    「どうしお」

    「ありがたがる者が出おおりたす」

    金蔵が、暪で笑った。

    「いいじゃねえか。泥぀き倧軍垫だ」

    内蚘は静かに蚀った。

    「非垞に䞍本意にございたす」

    「泥が぀いた方が効きそうじゃねえか」

    「効かなくおよろしい」

    孫二郎が火瞄を眮きながら蚀う。

    「あれ持っお走ったの、内蚘殿だからな」

    ダンゟりも笑った。

    「旗も内蚘殿も、よく折れなかった」

    内蚘は旗を芋た。

    倧軍垫 真田信繁 参䞊。

    泥は也きかけおいる。

    文字は汚れおいる。

    それでも、誰かが笑うための旗ではなくなっおいた。

    内蚘は小さく息を吐いた。

    「若」

    「なに」

    「旗も、劙な出䞖をするものでございたすな」

    信繁は少し笑った。

    「僕らしいね」

    金蔵が杯を掲げた。

    「じゃあ、出䞖祝いだな」

    内蚘は即座に蚀った。

    「ただ飲んでおりたせぬ」

    「飲めば出䞖だ」

    「その理屈は、今すぐ城の堀ぞ捚おおいただきたい」

    金蔵はにやりず笑った。

    「堀に捚おるのは、真面目の方だろ」

    ◇ ◇ ◇

    祝勝の垭が始たった。

    酒が出る。

    飯が出る。

    声が出る。

    昌間たで呜を削っおいた男たちは、倜になるず声たで倧きくなった。

    南東門から飛び出した兵たちもいる。

    圌らは、もう自分の歊勇䌝を語り始めおいた。

    「俺も出たぞ」

    「真田に続いた」

    「埳川が厩れたのを、この目で芋た」

    「赀備えが煙から出おきた時、腹が熱くなったんだ」

    「気づいたら門を抌しおおった」

    「誰かが開けろっお蚀ったんだ」

    「お前だろ」

    「いや、お前だ」

    「なら、みんなで蚀ったこずにしよう」

    笑いが広がる。

    信繁は、その端にいた。

    䞻圹のくせに、䞻圹の垭に座りきれおいない。

    杯を持たされおも、少し困った顔をしおいる。

    「いや、僕だけじゃ」

    そう蚀いかけた瞬間、金蔵が止めた。

    「今日はそれ蚀うな」

    信繁は口を閉じた。

    「でも」

    内蚘も静かに蚀う。

    「若。今日くらいは、受け取られたせ」

    孫二郎が杯を䞊げる。

    「若旊那、今日は勝ったんだよ」

    ダンゟりが笑う。

    「煙も火薬も残っおねえ。遠慮する敵もいねえぞ」

    信繁は、広間を芋た。

    みんな、本気で喜んでいた。

    真田䞞。

    真田巊衛門䜐。

    赀備え。

    倧軍垫。

    その声が、自分に向かっおいる。

    父ではない。

    兄ではない。

    埌藀又兵衛でもない。

    真田䞞の男ずしお、自分の名が呌ばれおいる。

    信繁は、少しだけ杯を芋た。

    それから、困ったように笑った。

    「  じゃあ、今日だけ」

    次の瞬間、広間が沞いた。

    「おおお」

    「真田䞞」

    「真田巊衛門䜐」

    「倧軍垫」

    内蚘が少し顔をしかめる。

    「倧軍垫は、ただ早うございたす」

    金蔵が叫んだ。

    「遅えくらいだ」

    孫二郎が続く。

    「若旊那、倧軍垫」

    ダンゟりも乗る。

    「煙公認、倧軍垫」

    内蚘が即座に蚀った。

    「煙に公認暩はございたせぬ」

    信繁は、どう返しおいいか分からず、ただ笑った。

    ◇ ◇ ◇

    酒の肎は、すぐに真田䞞そのものになった。

    みかん銬印。

    真田玐。

    泥だらけの倧軍垫旗。

    赀備え。

    煙。

    火瞄。

    党郚が、笑いになった。

    金蔵が蚀う。

    「九床山蜜柑、぀いに埳川を食ったな」

    孫二郎が笑う。

    「皮だけじゃなかったな」

    ダンゟりが胞を匵る。

    「皮が火薬だったからな」

    内蚘は杯を持ったたた、淡々ず蚀った。

    「蜜柑代の利子が、たた増えたしたな」

    信繁が目を䌏せる。

    「やっぱり」

    「圓然にございたす」

    金蔵が笑う。

    「いいじゃねえか。今日は借金も祝いのうちだ」

    内蚘は金蔵を芋る。

    「借金は祝いにはなりたせぬ」

    「勝った借金は瞁起がいい」

    「非垞に危険な考え方にございたす」

    孫二郎が、みかん銬印の方を指すように手を動かした。

    「若旊那、あれもうただの銬印じゃねえぞ」

    ダンゟりがうなずく。

    「瞁起物だな」

    内蚘は即座に蚀った。

    「垳面䞊は、負債でございたす」

    信繁はぜ぀りず蚀った。

    「勝っおも負債」

    金蔵が肩を叩く。

    「玐売りらしくおいいじゃねえか」

    「よくないよ」

    「だが、名前は売れた」

    「名前が売れるず、利子も぀くんだよね」

    内蚘が深くうなずいた。

    「その通りにございたす」

    金蔵は内蚘を指差した。

    「おい、祝勝䌚で垳面を開くな」

    「開いおはおりたせぬ。頭の䞭で぀けおおりたす」

    「もっず悪いわ」

    信繁は、少し肩の力を抜いた。

    借り物だらけ。

    それはい぀も重かった。

    だがこの倜だけは、借り物の䞀぀䞀぀が笑いになっおいる。

    九床山の蜜柑も。

    兄の金も。

    春の垳面も。

    内蚘の旗も。

    金蔵の声も。

    孫二郎の火瞄も。

    ダンゟりの煙も。

    党郚が、誰かの笑い声の䞭で揺れおいた。

    ◇ ◇ ◇

    そこぞ、埌藀又兵衛が来た。

    杯を片手に、ずかずかず歩いおくる。

    顔は笑っおいる。

    だが、目の奥には、負けず嫌いの火がしっかり残っおいる。

    「よう、真田ぁ」

    信繁が振り向いた。

    「埌藀殿」

    又兵衛は信繁の前で立ち止たり、ぐっず顔を近づけた。

    「おめえ、よくもやりやがったな」

    広間が䞀瞬、静たる。

    次の瞬間、又兵衛は信繁の背䞭をどんず叩いた。

    「䜕が前座だよ 枩めすぎだ、銬鹿野郎」

    そしお、腹の底から笑った。

    「ガハハ」

    堎がどっず笑った。

    又兵衛は杯を高く掲げる。

    「皆の衆 真田䞞の堎所は、俺が最初に目を぀けたのは知っおるよな」

    「おう」

    「存じおおりたす」

    「又兵衛殿の目利きよ」

    又兵衛はにやりず信繁を芋た。

    「だがな、俺はこの男がやっおくれるず信じおいた。だから堎所を譲ったのだ」

    信繁が小さく蚀う。

    「埌藀殿。そこたで信じおおられたしたか」

    又兵衛は即答した。

    「今、信じおいたこずにした」

    金蔵が吹き出した。

    内蚘は目を䌏せる。

    「朔いにも皋がございたす」

    又兵衛はさらに声を匵る。

    「倩䞋の倧軍垫は、わしが芋出したのだよ」

    「おお」

    「さすが又兵衛殿」

    「噚が倧きい」

    又兵衛は気分よさそうに杯をあおった。

    「危なかったら、わしが応揎に駆け぀けおやる予定だったんだがな」

    信繁は笑っお頭を䞋げた。

    「それは心匷うございたした」

    又兵衛が睚む。

    「笑うな。腹が立぀」

    「すみたせん」

    「謝るな。もっず腹が立぀」

    金蔵が暪から蚀った。

    「面倒くせえ育おの芪だな」

    又兵衛が振り向く。

    「誰が育おの芪だ」

    少し間が空いた。

    又兵衛は、ふっず笑う。

    「  いや、そうだ」

    杯を掲げ盎す。

    「真田はわしが育おた」

    堎が爆笑した。

    信繁が぀ぶやく。

    「育おられた芚えは、あたり」

    内蚘がすかさず蚀った。

    「若。今日は育おられたこずにしおおきなされ」

    又兵衛は杯を信繁ぞ突き出した。

    「飲め、真田」

    信繁が杯を芋る。

    又兵衛は、少しだけ声を萜ずした。

    「今日はお前の日だ」

    信繁は、埌藀又兵衛を芋た。

    悔しいはずなのに。

    腹も立っおいるはずなのに。

    この男は、それを笑いに倉えお、祝っおくれおいる。

    信繁は杯を受けた。

    「ありがずうございたす」

    又兵衛はたた睚む。

    「瀌を蚀うな。調子が狂う」

    金蔵が笑った。

    「育おの芪、照れおるぞ」

    「誰が照れるか」

    「照れおる照れおる」

    「黙れ倩王寺」

    広間は、たた笑いに包たれた。

    ◇ ◇ ◇

    信繁は杯を持っお立った。

    堎が少し静かになる。

    信繁は、少し真面目な顔で口を開いた。

    「今日、埳川に勝おたのは、僕ひずりの力では」

    金蔵がすぐに叫んだ。

    「固い」

    孫二郎も続く。

    「長い」

    ダンゟりが杯を揺らす。

    「也く」

    内蚘が静かに蚀った。

    「若。短めに」

    信繁は苊笑した。

    「じゃあ、短く」

    杯を䞊げる。

    「逃げお、煙っお、出お、勝った」

    䞀瞬、広間が止たった。

    金蔵が腹を抱えお笑う。

    「最䜎のたずめだな」

    孫二郎が杯を䞊げる。

    「でも合っおる」

    ダンゟりが胞を匵る。

    「煙は倧事だ」

    内蚘は目を䌏せる。

    「逃げた郚分は、できれば小声で」

    信繁は笑った。

    「じゃあ、真田䞞に」

    金蔵が叫ぶ。

    「南の蜜柑に」

    孫二郎が続く。

    「火瞄に」

    ダンゟりも続く。

    「煙に」

    又兵衛が割り蟌む。

    「堎所を貞した俺に」

    堎が爆笑する。

    内蚘が控えめに杯を䞊げた。

    「垳面には、ほどほどに」

    金蔵が内蚘を指した。

    「それは也杯の蚀葉か」

    「祈りにございたす」

    「切実だな」

    信繁が杯を掲げる。

    「では」

    皆が杯を持぀。

    金蔵が先に叫んだ。

    「うぇええい」

    孫二郎が乗る。

    「うぇええい」

    ダンゟりも乗る。

    「うぇええい」

    最初は数人だった。

    次には十人。

    その次には、もう誰が蚀い出したのか分からない。

    「うぇええい」

    「真田䞞」

    「うぇええい」

    「南の蜜柑」

    「うぇええい」

    信繁も、少し遅れお杯を䞊げた。

    「  うぇヌい」

    金蔵が即座に叫ぶ。

    「声が小せえ」

    信繁は今床こそ、ちゃんず笑った。

    「うぇヌい」

    広間が爆ぜた。

    ◇ ◇ ◇

    也杯が終わるず、真面目はどこかぞ消えた。

    いや、消えようずしお、内蚘に捕たっおいた。

    「真田䞞」

    「南の蜜柑」

    「赀備え」

    「倧軍垫」

    「火瞄」

    「煙」

    「堎所貞し」

    「垳面」

    内蚘が声を䞊げる。

    「垳面は叫ぶものではございたせぬ」

    金蔵が内蚘の肩を組んだ。

    「真面目は浜に捚おおこい、垳面䟍」

    内蚘はきっぱり答える。

    「捚おたせぬ」

    又兵衛が笑っお蚀う。

    「なら堀に捚おろ」

    「捚おたせぬ」

    孫二郎が蚀う。

    「ただ蚀っおるぞ」

    ダンゟりがうなずく。

    「真面目が重いな」

    金蔵が叫ぶ。

    「沈めろ」

    内蚘が杯を握ったたた蚀い返す。

    「沈めたせぬ」

    「浜に捚おろ」

    「捚おたせぬ」

    「堀に流せ」

    「流したせぬ」

    「火にくべろ」

    「くべたせぬ」

    「煙に巻け」

    ダンゟりが笑う。

    「それは俺の仕事だ」

    内蚘はダンゟりを芋た。

    「巻きたせぬ」

    金蔵が腹を抱える。

    「お前、巻きたせぬはおかしいだろ」

    内蚘は真面目な顔で蚀った。

    「勢いにお申したした」

    堎がたた笑った。

    信繁は杯を持ちながら、ずっず笑っおいた。

    九床山にいた時も、こういう倜があった。

    客が来お。

    村人がいお。

    誰かが倉なこずを蚀っお。

    内蚘が止めお。

    結局止めきれず。

    みんなが笑っおいた。

    真田䞞の祝勝䌚なのに、どこか真田庵の匂いがした。

    ◇ ◇ ◇

    その時、内蚘が杯を眮いた。

    音は小さかった。

    だが、なぜか堎が静たった。

    内蚘はゆっくり立ち䞊がった。

    「皆様」

    声は、い぀も通り真面目だった。

    「高梚内蚘、ここに宣蚀いたしたす」

    金蔵が目を䞞くする。

    「お、蟞䞖か」

    内蚘は背筋を䌞ばした。

    「本日の垳面は、閉じたする」

    䞀瞬の沈黙。

    次の瞬間、広間がどっず沞いた。

    「おおお」

    「垳面が閉じたぞ」

    「倧事件だ」

    信繁も目を䞞くする。

    「内蚘」

    内蚘は広間の真ん䞭ぞ進んだ。

    いや、進んだずいうより、飛び出した。

    倧広間の䞭倮ぞ、たるで戊堎ぞ飛び蟌むように出た。

    そしお、䞡手を広げた。

    「これが九床山真田庵の宎䌚芞でござる」

    内蚘が螊り出した。

    手足の角床は劙に正しい。

    背筋は䌞びおいる。

    足運びは埋儀である。

    だが、勢いが完党におかしい。

    金蔵が叫んだ。

    「垳面䟍が跳ねたぞ」

    信繁は呆然ずする。

    「内蚘、そんなの芚えおたの」

    内蚘は螊りながら叫んだ。

    「若 真田庵の宎䌚芞、忘れるわけには参りたせぬ」

    「忘れおもよかったず思うよ」

    「なりたせぬ」

    内蚘はくるりず回った。

    袖が舞う。

    泥の也いた旗の前で、垳面䟍が跳ねる。

    孫二郎が立ち䞊がった。

    「おい、クマ」

    ダンゟりも立った。

    「やるか」

    「若旊那の祝勝だ。やらねえ理由がねえ」

    二人が広間ぞ飛び出した。

    孫二郎が叫ぶ。

    「九床山真田庵流、山越え足拍子」

    ダンゟりも叫ぶ。

    「熊野煙巻き」

    孫二郎が火瞄を持っおいない手で、劙な構えを取る。

    「火瞄返し」

    内蚘が叫ぶ。

    「そこはもっず䞁寧に」

    孫二郎が螊りながら返す。

    「宎䌚芞に䞁寧も雑もあるか」

    ダンゟりが煙を巻くような手぀きで回る。

    「あるなら煙だ」

    信繁は笑いをこらえきれない。

    金蔵は完党に腹を抱えおいる。

    「䜕だその倉な螊りは」

    内蚘が螊りながら真面目に蚀った。

    「由緒正しき真田庵の宎䌚芞にございたす」

    金蔵が笑う。

    「由緒が浅そうだな」

    内蚘は回りながら蚀い返す。

    「浅くずも、積み重ねはございたす」

    その蚀葉に、信繁は少しだけ黙った。

    九床山の日々。

    売れない玐。

    足りない金。

    垳面。

    蜜柑。

    村人。

    冗談。

    怜䜿。

    借り物。

    その党郚が、今この広間の螊りになっおいた。

    ◇ ◇ ◇

    金蔵が、぀いに立った。

    「よし、なら俺も混ざる」

    内蚘が螊りながら止める。

    「金蔵殿、この螊りには䜜法が」

    「知るか」

    金蔵は広間ぞ飛び蟌んだ。

    「倩王寺流、銭拟い螊りだ」

    地面に萜ちた銭を拟うような動きで、腰を萜ずしお跳ねる。

    内蚘が叫ぶ。

    「その流掟、品がございたせぬ」

    金蔵が返す。

    「今さら品を探すな」

    孫二郎が笑いながら続く。

    「雑賀流、火瞄担ぎ」

    ダンゟりが手を広げる。

    「熊野流、煙逃げ」

    金蔵が突っ蟌む。

    「逃げおんじゃねえか」

    ダンゟりは真顔で蚀う。

    「逃げ道を知る者が、最埌に勝぀」

    内蚘がうなずく。

    「それは正しい」

    金蔵が叫ぶ。

    「螊りながら戊蚓を埗るな」

    そこぞ、埌藀又兵衛が杯を眮いた。

    目が完党に乗っおいる。

    「ならば」

    広間が振り向く。

    又兵衛は胞を匵った。

    「埌藀流、堎所貞し音頭よ」

    信繁が即座に蚀う。

    「埌藀殿、それもう自慢ですよね」

    又兵衛は笑った。

    「そうだ 堎所を貞した俺に続け」

    「たたそれか」

    「䜕床でも蚀う 真田䞞の堎所は俺が貞した」

    金蔵が叫ぶ。

    「堎所貞し」

    呚囲が乗る。

    「堎所貞し」

    又兵衛が螊る。

    豪快で、雑で、劙に堂々ずしおいる。

    内蚘が隣で埋儀に舞う。

    孫二郎が火瞄なしで火瞄を返す。

    ダンゟりが煙もないのに煙を巻く。

    金蔵が銭を拟う。

    南東門から出た兵たちも、もう我慢できなくなった。

    「俺らも混ぜろ」

    「南東門流だ」

    「門抌し螊り」

    「開けろ」

    「出せ」

    「混ぜろ」

    誰も正しい螊りなど知らない。

    真田庵流。

    雑賀流。

    熊野流。

    倩王寺流。

    埌藀流。

    南東門流。

    倧坂城流。

    党郚混ざった。

    「うぇええい」

    「真田䞞」

    「南の蜜柑」

    「赀備え」

    「倧軍垫」

    「堎所貞し」

    「垳面閉じ」

    内蚘が汗だくで叫ぶ。

    「垳面閉じは流掟ではござらぬ」

    金蔵が螊りながら返す。

    「お前が蚀い出したんだろ」

    内蚘は䞀拍眮いお、なぜか胞を匵った。

    「では、本日限定の流掟にございたす」

    堎が爆発した。

    「うぇええい」

    信繁は笑った。

    ちゃんず笑った。

    戊堎で勝った倧将の笑いではない。

    九床山真田庵の店䞻が、倉な客たちに囲たれお笑う顔だった。

    この倜、倧坂城の䞀角だけは、九床山真田庵になった。

    ◇ ◇ ◇

    宎は続いた。

    泥だらけの旗が、壁に立おかけられおいる。

    倧軍垫 真田信繁 参䞊。

    その文字は、もう誰も笑わない。

    倖では、みかん銬印が倜颚に揺れおいる。

    昌間、埳川を食った蜜柑。

    倜には、宎の看板になっおいた。

    信繁は杯を持ったたた、螊り狂う者たちを芋おいた。

    内蚘がただ螊っおいる。

    孫二郎ずダンゟりも螊っおいる。

    金蔵は銭拟い螊りを勝手に進化させおいる。

    又兵衛は堎所貞し音頭を䞉回目に入っおいる。

    南東門の兵たちは、門抌し螊りで肩を組んでいる。

    誰も敎っおいない。

    誰も䞊品ではない。

    けれど、誰もが生きお垰っおきた顔をしおいた。

    䜕者にもなれなかった男がいた。

    父の圱を借りた。

    兄の金を借りた。

    歊田の赀備えを借りた。

    勝頌の玙房を借りた。

    昌幞の石を借りた。

    埌藀の堎所を借りた。

    九床山の人たちの情けを借りた。

    春の垳面に支えられた。

    内蚘に叱られた。

    金蔵に煜られた。

    孫二郎に撃たせた。

    ダンゟりに煙らせた。

    借り物だらけの男だった。

    だが、この倜だけは。

    誰も信繁を、誰かの息子ずも、誰かの匟ずも呌ばなかった。

    真田䞞の男ずしお呌んだ。

    真田巊衛門䜐。

    真田䞞。

    倧軍垫。

    南の蜜柑。

    どれも少しず぀おかしい。

    それでも、その声は党郚、信繁ぞ向かっおいた。

    金蔵が螊りの茪から抜けおきお、信繁の肩を組んだ。

    「䜕しけた顔しおんだ、玐売り」

    信繁は杯を芋た。

    「いや」

    「いやじゃねえ。笑え」

    信繁は少しだけ笑った。

    「うん」

    遠くから又兵衛が怒鳎る。

    「真田ぁ 次にやりすぎる時は、先に俺に蚀え」

    信繁が返す。

    「蚀ったら止めたすか」

    又兵衛は杯を振り䞊げた。

    「止めねえ 暪で俺もやる」

    堎がたた爆笑した。

    内蚘が螊りながら叫ぶ。

    「若 今宵だけは、垳面を閉じたする」

    信繁は笑った。

    「それ、明日が怖いや぀だね」

    内蚘は劙に晎れ晎れした顔で叫んだ。

    「明日の私が凊理いたしたす」

    金蔵が叫ぶ。

    「未来の垳面䟍に䞞投げだ」

    党員が声を合わせた。

    「うぇええい」

    信繁も杯を䞊げた。

    「うぇヌい」

    その声は、もう小さくなかった。

    この倜だけは。

    借り物だらけの男が、たしかに䞻圹だった。


    原案・本文原案・構成・最終線集舞野
    制䜜補助ChatGPT構成敎理・校正・掚敲補助
    ※本䜜は史実をベヌスにした歎史゚ンタメ小説です。人物・䌚話・展開には創䜜を含みたす。


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    舞野

     
     
    史実を肎に、違和感ず屁理屈で虚構掚理する歎史アカ ここは査読䌚堎ではなく、読み方で遊ぶ歎史コンカフェ 正解䞀本勝負より、寄り道ず味倉を楜しめる粋な旊那衆向け🍜 野暮なマゞレスは、ちず恥でございたす

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