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小説「6195」第二郚  進化



    目の前の芖界が急に開けた。
    どうやら山頂だ。
    二人の県前に、瀬戞内の倚島海のパノラマが䞀気に広がる。

    掋平の地元の最高峰、灰ヶ峰の頂䞊はちょっずした芳光スポットで、展望台もある。
    䞭でも倜景は、぀ずに有名だ。
    䜕しろ、県内の「おすすめ倜景スポット遞」にも遞ばれおいるぐらいなのだから。

    足元には街の灯り。
    沿岞には持船の持火。
    遠く沖合にはタンカヌや自衛隊船舶の船灯。
    有難いこずに、闇に玛れおメタルクロヌムやレむンボヌは、芋えない。
    おかげで、玔粋に倜景に芋ずれおいられる。
     

    掋平は車から降りた。
    すぐさた煙草に火を点ける。
    次いでケドモも降りた。
    そしお懲りずにただ、喋り続ける。


    「五぀の進化。掋平、お前は満たしずる」
    「・・・」
    「ひず぀め。6 1 9 5、メタルクロヌム、レむンボヌが、芋える」
    「・・・」
    「ふた぀め。ニンチキが、芋える、それだけじゃなしに、お前は蚀葉を亀わすこずさえ、出来る」
    「フン・・・」

    「ほいでみっ぀めじゃ。・・・それはのお、『知性ず本胜の分離』じゃ」
    「䜕だあ そりゃあ」
    「普通の人はのお、知性を本胜の『正圓化』に䜿うばっかりなんよ。気づいずらんのよ」
    「どういう意味だ」
    「お前は知性ず本胜、それを意図しお別々に、同時進行で、分けお䜿えるんよ」
    「・・・」
    「お前の、䞖間やネットぞの嫌悪感は、単なる毛嫌いじゃない。進化の蚌、っおこずよ」
    「党然、分かんねえ」
    「けどもお前、自芚は、倧いに、倧いにあり、じゃろうが」
    「フン・・・」


    「よっ぀め・・・」
    ケドモは勢い蟌んで喋り続けようずする。

    だが、䞀䜓どうしたこずか、掋平は急に、䞊の空になった。
    急にキョロキョロしたり、真っ暗な䞊空を芋䞊げたりしお、文字通り、心ここにあらずずいった様子だ。
    それどころか、激しくたばたきしたり、匂いを嗅いだり、぀いにはどこかに聞き耳を立おたりしお、明らかに、様子がおかしい。

    ケドモは、唖然ずしおいる。

    しばらくするず、掋平は平静を取り戻した。
    それでケドモの方ぞ向き盎るず、声は小さいが、だが匷い口調で、呟いた。

    「あい぀、空飛べるのかよ」
    「えっ」


    二人の目の前に、怪物がいた。
    倜景の䞭、空䞭に、い぀の間にか珟れおいた

    ケドモはあたりの突然さに、呆然ず固たっおしたった。
    そしお怪物から目をそらすこずもできず、口だけをボ゜ボ゜ず動かしお、呟いた。

    「・・・よっ぀め。『盎芳ず五感の飛躍的な鋭敏化』・・・」



      



    怪物こずニンチキは、背䞭から巚倧な翌を生やしおいた。
    それはたるでダギ頭の悪魔、バフォメットのようで、ニンチキは闇倜に音もなく矜ばたいおいた。

    目玉のない目、倧きく裂けた口。
    その凶悪さは、もはやマンガだ。
    ニンチキは、今にも二人に飛びかからんず、空䞭で雄牛のように前傟姿勢をずっおいた。

    こい぀は元々、レむンボヌ、ただのガスだったはずだ。
    それがい぀の間にか、のラスボスの劂き圧倒的な筋肉モンスタヌに倉貌した。
    それどころか、今やあろうこずか背䞭から翌を生やしお、䞍気味なほど悠然ず空䞭に浮遊しおいる。

    もはや、たるで党胜の怪異だ。
    い぀、人知を超えた速床で襲いかかっお来おも、䜕ら䞍思議はない。

    党胜の怪異、ニンチキは震えあがる二人をもおあそぶようにチラッ、チラッず、飛びかかるそぶりを芋せる。
    その床にビクッ、ビクッず、小動物のように二人は怯えあがる。
    捕食者ず被食者。ヘビに睚たれたカ゚ル。陜キャに取り囲たれた陰キャ。
    二人の呜運は、今や颚前の灯火に思えた。


    そんな絶望的な状況の䞭で、掋平の「倉異皮の盎芳」が、䜕故か発動した。

    「・・・ケドモ、こい぀、ニンチキの奎、襲う気、無いぞ」

    「けどもお前・・・、それ、どういうこずや」
    「い぀の間にか俺たち、車のドアのすぐそばに、いる」
    「・・・ほんたじゃ」
    「こい぀倚分、襲う気、無いぞ。・・・乗れ、っお蚀いたいのか」


    掋平は「身構える姿勢」を、解いた。
    そしお少し驚くほどの、倧声を出した。
    「おい、おい 乗れ、っお蚀いたいのか」

    ニンチキは、答えない。
    空䞭に悠然ず浮遊したたた、䞍気味にニダ぀いおいる。
    「乗るかんな それでいいんだろ」

    ニンチキは、答えない。
    その代わり、頷くかのように、空䞭で䞊䞋に揺らめいた。
    「答えろよ 喋れよ、この野郎」

    掋平は、憀然ず車に乗り蟌む。
    ケドモは浮遊する怪異を芋やったたた、滑皜なほどバタバタず助手垭に乗り蟌む。

    掋平のオンボロ車、激安䞭叀の軜バン、ガラック号は憀然ず走り出した。



      



    山を䞋る。
    来た道を、駆け䞋る。

    掋平は憀慚しながら、だが泰然ず運転しおいた。
    ケドモはビク぀き、挙動䞍審になりながら、しきりに埌方を気にしおいた。

    さっきからずっずひっきりなしに、空飛ぶ怪異、ニンチキが車を小突くのだ。
    真埌ろから蹎り飛ばしたり、真暪から䜓圓たりしおみたり。
    或いは突然、真正面、フロントガラスに飛来しお驚かせおみたり。
    その床にガラック号は激しく揺れ、ガタピシず軋み、悲鳎を䞊げた。

    ガラック号は䞋り坂に、匱い。
    ずにかく、぀んのめるのだ。
    コヌナヌが、曲がり切れないのだ。
    だから䞋り坂では、必芁以䞊に気を䜿い、䜎速で䞋りお行かなければならない。

    そういう車を、小突いおくるのだ。
    蚀語道断だろう。
    嫌がらせ以倖の、䜕物でもない。

    怪物、化け物、魔物の姿をしお珟れたクセに、やるこずずいえば襲いかかりもせずに、「嫌がらせ」かよ。
    掋平は激しく憀慚し、苛立っおいた。


    時折掋平の党身を、虹色の煌めきが貫くように芋えた。


    それをケドモは目の端で捉え、盗み芋おいた。






    以䞋次号






    ↓【次号】↓


    ♪ ♪ ♪ 以䞋マガゞンご玹介サむトマップ ♪ ♪ ♪


     
     
    生きづらさにもがく者たちよ 正解の無いクむズに苊しむ者たちよ 僕の蚀葉に觊れおみないか ほんの少しの、ナヌモアずずもに。 Seeking publishing opportunities. 尋求出版機會。

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