
#1 神様の耳栓
これは宇宙開発が盛んになった時代の話。
ある国が国の威信をかけてロケットを開発した。科学者や技術者など7人の精鋭がロケットにのって宇宙に旅立った。木星までやってきた彼らは、ある奇妙な現象と出会う。
小惑星がつぎつぎと消滅する現象だ。まるで、目に見えない穴に吸いこまれて消えていくように、小惑星が消えていくのだ。
彼らはその見えない穴の中を探索することにした。
穴の奥まで行くと、いくつもの小惑星がひと塊になって穴を塞いでいる。
その塊をどけて、さらに奥に進むと、白髪と白髭の老人が不機嫌そうに椅子に座っていた。
「あなたは誰ですか?」と科学者が問うと、
「わしは神じゃ」と老人は言った。
「どうしてこんな場所に?」
「わしはこれまで何千年も人間どもの願いを聞いてきた。じゃが、最近は人間が増えすぎて、もう願いを聞いていられん。願いが聞こえないように、小天体で入り口を塞いで、この穴にこもっておったのじゃ。さあ、出ていけ。もうお前らのことは知らん」
仕方なく探索者たちは穴から出て、ロケットに乗り込んだ。
すると、地球から連絡が届いていた。
「大変だ。今すぐ帰ってきてくれ。つぎつぎと天変地異が起こって、飢饉や伝染病や戦争で地球が大変なことになっている」