台風の日の思い出
今でこそ、台風が近づくと、計画運休や前日からの臨時休校が当たり前になってきました。
でも、私の学生時代の福岡では、台風で休校なんて、よほど当日の朝に直撃でもしない限りありえませんでした。
大雨でも強風でも、地元の路線バスはだいたい普通に走っていました。
「バスが動いているなら、学校もあるよね」という空気が、街全体にありました。
暴風雨の中、登校開始。
傘はおちょこになり、全身ずぶ濡れで学校に着くと、普通に授業が始まります。
そして昼前、近くの小さな川が氾濫しかけているということで、ようやく「危険だから帰りなさい」と下校指示が出ます。
……いや、行くときより今の方が危険では?
結局、帰り道もまたずぶ濡れ。
それが、当時の私にとっての「台風の日の当たり前」でした。
最近になって、ネットで地元の西鉄バスが「台風でも止まらない」と話題になっているのを知りました。
あれ、当たり前じゃなかったんだ、と初めて気づきました。
そんな私が、中学生のときに大阪へ行きました。
祖母が亡くなり、翌日の葬儀に出るためでした。
大阪のいとこは、葬儀のために学校を休むつもりだったそうです。
ところが、大阪にはほぼ来そうにない台風が発生したからと、翌日はすでに休校が決まっていました。
おかげで、わざわざ忌引きにしなくてよくなったといいます。
まだ雨すら降っていないのに、前日に休校が決まるの?
福岡基準なら、傘を持って出るかすら怪しい進路です。
都会って、なんて慎重なんだろう。いや、弱すぎじゃない?
そして翌朝。
外を見ると、雲ひとつない晴天でした。
やっぱり、何も起きませんでした。
あれから時間が経って、早めに判断して身を守るほうがいいのは、今ならよくわかります。
それでも、あの「止まらない福岡の台風の日」と「晴れた大阪の休校の日」は、私の中でセットで忘れられない思い出です。
