うまくいかなかった日の話
息子が幼稚園の年少だったころ、
こんなお題が出ました。
「今度の参観日に、お母さんの好きなテレビ番組を、みんなの前で発表してもらいます」
いつも一緒に「世界の果てまでイッテQ!」
を見ていたので、
「お母さんはイッテQが好きだな〜」
となんとなく話していました。
だから、聞かれたらきっとそう答えてくれるだろうと、当日はすっかり安心して構えていました。
参観日当日、発表は順番に回っていきました。
一番目の子は「ニュース番組」。
その後もドラマや情報番組など、大人が好きそうな模範解答が続きます。
「イッテQは子どもっぽかったかも💦」と、内心少し焦り始めた頃、息子の番が来ました。
「ぼくのお母さんの好きなテレビは、
警察24時です‼️」(ドヤッ😤)
教室の空気が凍りました。
会場が静かにどよめき、他のお母さんたちの視線が集まってくるのを感じました。
(私、普段そんなに真剣な面持ちで犯人を追い詰める番組ばかり見ていると思われてる……⁈)
「い、いや違うんです、イッテQなんです……💦」
思わず、誰も聞いていないのに、周りに向かって焦って言い訳をしてしまいました。
そんな私をよそに、
先生は息子に笑いかけました。
「先生も、警察24時好きよ❤️」。
息子は満足げな顔をしていました。
その隣で、私だけがまだ慌てていました。
家に帰って
「イッテQって言ったやーん💦」と言うと、
息子はきょとんとして
「え、そうだっけ?」
「警察24時」は私ではなく、
夫が夢中で見ていた番組でした。
毎週楽しみにしていた「イッテQ」よりも、
父親が気合を入れてテレビにかじりついていた
あの特番のほうが、
子どもの記憶には鮮烈に残っていたようです。
子どもというのは、大人が思ってもみないことを、あっさり言ってのける生き物です。
何を考えているかなんて、一緒に暮らしていても全然わかりませんでした。
それでも、あの日は、悪くない記憶です。
胸を張って「警察24時」と言い切った息子の誇らしげな顔は、今でもはっきり覚えています。
親の思い通りにいかなくて
「うまくいかなかった日」なんて思ったけれど、
息子の目線から見たら、あの日は最高の発表ができた記念日だったのかもしれません。
今でもふとした拍子に、
あの日のことを思い出します。
大きくなった今の息子に
「なんであんなこと言ったの?」と聞いたら、
きっとまた「え、そうだっけ?」
とすっとぼけた顔をするのでしょう。
