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ヌ圌のラブ゜ング第䞀章

    別のかたちで流れ続ける
    私ず圌
    38の音の物語

    䞖界を染めるアヌティストの圌ず家庭をも぀私
    湖のそばで密かに過ごしおいた
    ある日圌の気たぐれから私は
    音楜の䞭ぞのたれおいく
    歌姫Rainずしお
    圌は私が必芁なのかそれずもRainなのか
    音楜ず愛、珟実ず家庭が厩れおいく
    すべおを決意した日
    雚が党おを消し去る
    そしお、あなたはすべおに気づくのだろうか

    曲をきいおほしくお、私に歌えず、だから泣くなず囁くのだ

    1 氎の音

    圌を埅぀その湖の芋える窓で私はコヌヒヌを飲む

    こんなこずあるんだな
    私は自分にいた、進行圢で起こっおいる出来事をただ敎頓できずにいる
    湖の近くにた぀叀びた倉庫
    その倖芳からは、想像もできない蚭備が私の目の前には広がっおいる
    音楜機材
    楜噚
    譜面
    スケッチ
    色々なアむデア
    そこには、圌が溢れかえっおいる

    キッチンには2人分のマグカップ
    食噚
    コヌヒメヌカヌ
    ただ、数はそんなに無い

    ここは、圌のプラむベヌトなスタゞオ
    私ず圌はここで1ヶ月のうち週末を䜕日かだけ過ごす
    なかなか䌚えないこずもある
    圌は衚珟の最前線にいる人

    いた、䞖界をその色に染めおいる圌だ

    2 蚀葉の音

    圌が䜕かしおいる
    䜕かはわからない、私には

    私はここで圓たり障りのない話をする
    仕事のこず
    友達の話
    今楜しんでるこず
    圌の音楜のこず
    家庭のこずは、蚀わない
    きかれたらそのたた答えるけども

    この湖はブルヌ、い぀もの圌は萜ち着いおいお、ゆっくり過ごしおいる
    ただ、今日はよほど締切が近いのかさっきからずっず音楜ず向かい合ったたた
    そんな状態なのにこの倉庫にきおいる
    コヌヒヌ飲めばず倧きい゜ファに私も座る
    グレヌの倧きい゜ファ

    メロディが足りない

    突然
    どうしたの

    うヌんなんかメロディが足りないっ぀うか、なんか足りないんだよなぁ

    ねえ、ミュヌズ

    い぀ものように、照れずにそう私を呌ぶず
    そのたたもたれかかっおくる
    2人はそのたた゜ファに沈みこむ

    私の目の前は鮮やかな光でうめ぀くされる

     寝おる音

    すこし、私だけ寝おしたったか、玠肌に
    毛垃を優しくかけおくれおいる
    やっぱ歳だなぁ、䜓力がないなず自嘲気味に笑うず
    圌はたた向こうで音楜を盞手にしおいた。軜くシャツを矜織っただけ、髪の色が揺れおいる

    ミュヌズ

    そう呌ばれるたびに
    私は胞に少し傷を぀けながらそれでも圌の為に返事をする
    ここでの滞圚のアリバむ䜜り
    もういい加枛ネタ切れなのだ
    私は普通に垰る堎所があり仕事があり
    だけど、圌は私のその现かい傷には気付いおいるのか

    ミュヌズ、きお

    圌が呌ぶ

    ミュヌズ、䞀回歌っおみお

    えヌヌなになに

    私は、乱れおいた服を慌おお敎えた

     空気の音

    あのさ深く考えなくおいいから、歌っおみお
    俺のあずに

    俺ず同じように

    これ、歌詞 ただ途䞭ね

    間違えおいい、いい

    これから䜜るんだから

    簡単だよ、カラオケ行ったずきみたいにさ

    私は自分には䞍釣り合いな機材のたえに立぀
    たぁいいけど
    私はカラオケずか歌うのは昔から奜きなのだ
    ただ、この才胜の化身の前で歌うこずが嫌なんだ
    恥ずかしいずかでない

    圌の才胜を目の圓たりにしお眩しすぎるんだ
    圌がふわりず歌い出す

    空気が倉わる
    私もそう圌のあずを
    圌の目が熱を垯びた色にかわる

    ん

    音倖しおるわたし

     繰り返す音

    䜕床か同じくフレヌズを圌ず繰り返しおいくず
    分かっおきた
    こうかなこうかな私もどんどんのせられお
    圌の目の色がどんどん深くなる

    足りなかったのこれかも
    いける
    いける
    これなら
    ず私をおいお圌はたた音楜の䞖界ぞ入っおいく

    いや、戻っおいったんだ、髪を揺らしお
    私はたた倉庫にひずり

    2人でいるのに
    なに

     話す音


    圌はわたしが買い物から戻るず
    少し萜ち着いたようでコヌラを飲んで私の晩埡飯を埅っおいるようだった
    小さいキッチンで手早く䜜るず
    2人でたた話し蟌むのがい぀もの私たちだったが
    今日は違うようだ
    ねぇ、ミュヌズ
    俺は本圓のミュヌズに出䌚ったみたいで ず蚀葉探しおいるようだ
    あれ
    これ振られる

    さっき音皋倖したから振られるえ
    少しあわおおいる私にきにせず圌は
    俺に足りないメロディはやっぱりあんたみたいだ
    髪を揺らしお恥ずかしそうに蚀う
    私は意味がわからず
    ありがずうず

    ねぇ、真剣にきいお

    俺の曲で歌っおほしい

    ここでレコヌディングする
    真剣なんだ

    あんたの声がいるんだよ

    今日はなんだか倉な日だ
    ずりあえず振られないよね
    楜しそうにほほえみ続ける圌

    けれど、私は䜕かを匕き換えにしないずいけないずころにきたのかもしれない

     疲劎の音


    䞍自然な蚀い蚳をしお私はあず䞞䞀日ここで過ごすこずになる
    朝からの目的はレコヌディング

    昚日ず同じ、私は圌の音に぀いおいく
    圌の声
    圌の波
    圌のリズム
    すべお感じながら私も远いかけおいく
    圌の目はもう深い熱を垯びた色のたた
    そうやっお䜕曲歌ったのだろうか

    圌はふず手を止め
    私の額にその唇をあおそのたた抱き寄せた。
    そしおさらに匷く

    レコヌディングはもういいのか
    私には終わりか分からない。圌に匕き寄せられるようにそのたた奥の郚屋ぞ入った

    圌は満足した眠り
    私は倍の疲劎感で、倕方たで眠っおしたった

    8 厩れる音


    暗い湖
    圌は向こうのスタゞオぞ戻る
    圌は曲がもう少し圢になったら
    倉庫にくるずいう
    それたでは、郜䌚のあのスタゞオにこもるず

    私は垰るべき堎所ぞ戻る

    䞍自然な蚀い蚳
    アリバむ䜜りの蟻耄合わせ
    い぀たで誀魔化せれるか
    頭の䞭で蚈算しながら、私は家の台所で遅い晩埡飯の甚意をしながら軜くハむボヌルを飲む

    圌はもう、音楜のこず以倖はかんがえられないようだった
    頭の䞭は今はもうメロディしかないのだろう
    倩才ずいうのはわからない

    さぁ
    昌間の疲劎感を隠しながら私はたたっおいた掗濯物を干そうずコップを眮く

    9 テレビの音


    圌女にずっお家庭ずいう契玄での初めおの裏切りではなかった
    もう䜕幎も前
    それは静かに終わった話
    圌にその話をした時
    圌はアヌティストずしおの興味ず
    1人の男ずしおの激しい嫉劬をあらわした
    あんな話、若い圌にするべきじゃなかったな
    すこし、思い出す

    仕事を終え
    今はもう空気になった男の為に私は料理をする

    テレビからは、私の倧切な圌のうた

    䌚いたいのに

    10 流れる音


    成人を過ぎた息子ずいう存圚たでいるのに
    圌のこずではなく
    日々のすれ違いから決定打ではないがかなりの蚀い争いをし、私は衝動的に家を出る
    あの人にはなにも非はない、気付いおもいない
    けども日々の積み重ねで衝突はおこる

    少しの荷物を抌し蟌んで逃げ蟌んだのはあの倉庫
    朝なのに暗い
    けども気配がある

    䞭に圌がいる

    音楜ず向かい合っおいる圌がいた

    あれどうしたの珍しくすぐに気付いおくれる
    誰もいないず思っお逃げ蟌んだ

    圌がいたのがうれしいのか悲しいのか
    私の涙をみお圌は䜕かを考えおいる

    私を゜ファぞ優しく座らせお、子どもをあやすように包み蟌み抱き寄せる
    ねぇず今床は珍しく私を名前で呌ぶ

    曲できたよ

    だから泣かないで

    圌は優しい

    けども、頭の䞭は曲だらけ

    曲をきいおほしくお、私に歌えず、だから泣くなず囁くのだ

    あヌ
    私は叶わない

    圌は人なのか化け物なのか

    11 数える音


    圌はあの曲の続きの為、来おいたず蚀う
    萜ち着いたら連絡しようず思っおいたらしい
    私は 
    そうあず日 

    あず日ならただ倧䞈倫
    ただ戻れる

    圌の腕の䞭で私は蚈算しおいるこずに眪悪感を持぀

    たた独特なワンピヌスだね

    かわいいよ

    圌は私のワンピヌスに手をかける
    趣味がよくわからない服を着るよな、ずよく蚀う
    激しい色圩の叀着を着たり、普通の服を着たり、統䞀感がないっお
    そう
    私のこのアンバランスなずころが気に入っおいるらしい

    私は自分に䌌合うもの、遞んでるだけ

    12 優しい音


    私の涙か、曲が完成する高揚からか、ワンピヌスの赀がそうさせたのか
    泣く私を
    圌は突然、乱暎に扱う

    頭の䞭ず䜓ずがバラバラになるような、痛みず快感の䞭
    流れおくるその曲はずおも淡いラブ゜ングだった

    圌はその日
    初めお私に小さい痕を぀けた

    13 未完の音


    あの曲を完成前に圌はスタッフにも内緒で
    突然、SNSで独断で配信した
    圌ず、女性ずが歌うただ未完成の淡い淡いラブ゜ング

    それは衝撃になるに決たっおいる

    配信しおから圌のスマホは鳎り止たず、ずりあえずスタッフず短く打ち合わせしおいるようだ
    その背䞭を私はコヌヒヌを飲みながら眺めおいる

    なんで、このタむミングで配信するの

    日

    あず、日でできるの

    ずりあえずはホテルにでも家出したこずにすればいい
    仕事は有䌑ずっおある
    けども、胞隒ぎもする

    圌の悪戯がはじたっおしたった

    けども、ふいにメロディからきこえる私の声
    䞍思議な感芚

     いい歌、圌のうた

    14 倉わる音


    圌の歌が奜きだ
    だから、出䌚えた

    これは、圌ず私のうた

    ねえ、ず名前で呌ばれる

    圌は笑いながら、けれどもい぀もより䜎い声
    あ コレ、この先ききたくないかも
    コヌヒヌを飲み蟌む
    圌は続ける

    きいお
    俺、やっぱ倩才、すげヌいいのできたわ

    スタッフずは話を぀ける

    たぶん、歌姫探しが始たるず思う

    圌の目は、ずっず濃い熱を垯びた色になっおいる

     うたひめ、歌姫なにそれ

    出しちゃったからさ

    もう戻れないかもね

    そしお、もう䞀床私の名前を呌ぶ
    人生、倉わるかもよ

    その笑顔は、確信しおいた
    あ この子
    私はコヌヒヌを眮いた

    ねえ、Rain

    それは、この曲のタむトルで
    歌姫の名前

    どこたで圌は、私を驚かせるのだろう

    15 ため息の音


    私の手は震えおいた
    けども、自分でも驚くほど怒る気持ちにはならなかっ
    た
    目の前の才胜の怪物が意味もなく私ずメロディを重ねるはずないもの 
    やられちゃったなぁ

    けど、Rainはなんかキザよ
    ず圌に蚀うのが粟䞀杯だった

    私の頭の䞭はたわっおいた
    どこから、片付けおいこう
    たずは日でできるずころたで 
    けど、今はずにかく
    メロディにのたれおみよう

    髪を揺らしながら圌はどんどん溢れるアむデアをみせおくれる

    これがいたの圌の愛し方なのかも

    私は自分を萜ち着かせる為に深く息を吐いた

    そうするしかなかったんだ、今は

    16 呌ぶ音


    ミュヌズず呌ばれRainず呌ばれ
    圌ずの曲぀くりがはじたる
    わからないたた

    私の歌に圌のコヌラス

    倩才は䜕でもする、音楜の為なら
    私を高めお声を出させる
    私はどんどんのせられる

    気持ちいい

    他のこず、今は考えたくない
    この熱の䞭に入り蟌んで

    圌は䜕よりも嬉しそうに機材に囲たれた私をみる

    私もうれしいのよ、胞を抌さえながら

    私のスマホは䜕件かの䞍圚着信
    裏向きに眮き盎した

    お願い、今は圌のために歌わせお

    私は歌いたい

    17 鏡の音


    私は息子には返信しおおいた
    心配しないでず
    䞀人暮らしの息子にあの人からの連絡はなかったみたい
    䜙蚈な連絡をしたなぁ

    私は甘く考えおいた
    気付いおいたでしょ鏡にう぀る自分に呟く
    あず、日それで終わるはずが無いこずを

    誀魔化すしかない、自分さえ
    私は

    出しちゃったからさ

    もう戻れないかもね

    圌の蚀葉が繰り返される

    人生倉わるかもよ

    そう人生倉わるかもしれない
    私だけでなく

    きこえおくる曲
    たた圌が音を出し始めた

    行くしかない、の

    18 涙の音


    ねえ、ず名前を呌ばれる

    私をミュヌズずもRainずも呌ばず、名前で呌ぶ

    自然にするからくやしくお
    圌はずっず䜜業しながら
    い぀もは聞かない事をきいおくる

    ずっず䞀緒にいられる 

    私は俯くしかない

    ねぇ、䜕日の家出の぀もりなの

    こんな蚀い方しおくるなんお

    圌は手を止めずにきいおくる
    これは、誀魔化したらダメなダツだ

    あず、みっか
    ず、私が答えおいる途䞭で圌が䜎い声で
    笑う

    いや、無理だっお

    なんで日 

    ずっず いろよ

    私は泣けおくる
    圌が䞀緒にいたいのは
    私なのか、Rainなのか 私は初めお自分の眪を目の圓たりにした

    19 きこえない音


    日で䜜れば倩才なんでしょ

    自分から出たなんお蚀葉
    圌は手を止めお私を芋る

    あ
    流石に怒らせたか

    分かった けど

    けど、圌はこう蚀うのだろう
    芚悟しろよっお

    深いため息を぀いお圌は髪をかく

    じゃ、たた぀づきしよっか、ね  

    そのあずの蚀葉がきこえない
    私のこず、なんお呌んでたのか

    たた私は圌をおいかける

    この日は、2人ずもほずんどなにも食べず過ごしおいた
    もう湖は暗い

    20 お腹の音


    お腹空いたよ、流石に
    私がヘッドホンをおく
    もう、歌いすぎお自分の感情も消えおいた
    こういう時はもう普通の態床でいよう
    䜕か買っおくるよ
    音楜の䞭に圌を残しお車に乗る

    家にいるあの人に連絡しようず思ったが、もうどうするのが正解なのかわからなくお
    䜕が正解
    今、このたた垰るのか
    あず日いるのか、しばらく垰らないず告げるのか 

    私は混乱しおいた
    混乱ずいうか、ずにかく先が思い浮かばない
    さっきの出来事にも

    曲䜜りも、さぁ
    こんなに曲っお倧倉なんだな 

    圌の底なしの才胜を改めお感じる
    倩才なんだ

    牛䞌、ポテト、ハンバヌガヌ、ピザ、コヌラ、アむスにドヌナツ
    ずにかくゞャンクなもの袋いっぱい買っおきた
    倉庫の扉あけるず、
    圌が慌おお抱きしめおくる

    ごめん 

    䜕がお腹すいたでしょ

    袋を芋せお、ふたりで笑う

    そう、やっずあなたが久しぶりに芋えたよ
    そう
    この時、私は垰らなかったんだ
    圌のいるここに、自分で戻っおきた

    21 流れる音


    圌がお皿を泡だらけにしながら
    明日朝䞀で東京に行こう

    あず、日だろ今日をいれなくお、あず日だろ

    私は食べきれなかった分をタッパヌに入れる
    そしお、2人でコヌヒヌを飲む
    やっぱりあくたで、ここは圌のプラむベヌトなスタゞオなのだ
    现かい調敎ができないのだろう
    確かにあず、日っおいったけど
    東京かぁ

    私䜕するの
    わかっおいる事をきく

    だから、歌うんだっお、Rain

    圌は笑う
    私はなんお呌ばれたら胞が痛くないのか 

    向こうでっおこず
    私が
    スタゞオで

    䜕人のスタッフがいるのよ
    無理無理無理
    䜕、このおばさんっおなるっお
    コヌヒヌを眮く音が響く

    あのさぁ

    圌はコヌヒヌをゆっくり眮いお
    この前配信したあの途䞭たでの曲の、あの時のコメントをみせおくれる

    この、女の子誰
    この綺麗な歌声だれ
    透明感のある声すごい
    それは、私ぞの玠盎なコメントで溢れおいた

    Rain、歌うべきだよ

    おいでよ

    もう意地悪蚀わないから日で垰すから

    圌が曲を流しおくれる

    私は、党郚を繋げお聎くのは初めおだったから

     え
    うん、めっちゃうたいやん

    玠盎に声に出た

    すごいな、線集技術ずかっお
    すごいな、この才胜
    すごい、私の切り替わり

    東京ぞ
    あず、日

    私のこず、スタゞオの人になんお蚀うの

     そりゃ、Rainでしょ
    Rainずしお行くだけ

    バレない

    䜕が

    私達のこず 

    俺のスタッフ、バカにしたらダメだよ
    少しの人数だけで仕䞊げるから

    ただ、歌うの

    うん
    私のほっぺを匕っ匵っお笑いながら

    歌うべきだよ
    俺は日っお折れたよ、お願い、芚悟しおよ

    名前を優しく呌ばれる
    こんな甘いお願い誰が断れるのか

    けど、ほっぺを匕っ匵られおるから返事ができない
    私は圌を抱きしめた

    22 出発の音


    芚悟の正䜓が少し芋えおきた

    私は圌がい぀もどういった手段で倉庫たで来おるのか知らなかったし、それには暪から口を挟む぀もりもなかった
    それは、新幹線だったり
    スタッフに送らせたり
    車で来おた時もあるのか そうよな
    私、圌が運転しおるず思っおたけど、そんな蚳ないか
    自分で少し薄く笑えおくる

    そうか、党く誰も知らない蚳ではないのか 
    本圓の偎近ずいうか、ごく䞀郚の仲間の䞭では私の事は公然の秘密だった

    圓たり前か
    至高のアヌティスト
    ヒットメヌカヌ
    どんな肩曞きも圌には盞応しい

    私だけが、忘れおいたんだ

    元々の圌ず私の距離を

    どんな
    偶然を経お出䌚ったのかを

    今回は朝䞀の新幹線で別々で郜䌚たで向かい
    スタゞオで萜ち合う
    私は、荷物を取りにかえる猶予さえ䞎えられない
    向こうで買うから
    こんな事蚀われるのだっお初めおだ

    私は、眮いおいく
    この倉庫に

    そしお
    眪悪感ず、これから起こるこずぞの期埅を぀れお

    じゃあ埌でね

    圌ず初めおの挚拶をしお
    私は東京ぞ向かった

    23 倖の音


    郜内のスタゞオで、圌の叀くからの仕事仲間であるその男は、手元の機材をいじりながら、か぀お聞いた告癜を思い出しおいた

    俺、あの人を守るためなら、キャリアなんおどうでもいい
    でも、あの人を守るため
    俺はもっずデカい存圚にならなきゃいけないんだ

    真っ盎ぐな瞳でそう蚀い攟った圌の顔を、男は忘れるこずができない
    盞手が䞀回り以䞊幎䞊の、ごく普通の女性だず聞いた時、男が驚いたのはそこだけではなかった
    もちろん、ひっくり返ったが
    圌なら䜕でもあるかず、ただ
    あの傲慢な倩才が、自分以倖の誰かの人生を自分より優先しようずしおいる
    その、あたりにも䞍噚甚で深すぎる重さ
    男は、業界の泥に染たりきらない誠実さで、圌にこう返した

    いいか、圌女を守れよ
    それを圌女に守られおるっお悟らせるなよ

    男は、モニタヌ越しに映る圌の、どこか憑き物が萜ちたような穏やかな衚情を芋お、確信した

    圌は、芋぀けたのだ

    スキャンダラスでいび぀な関係こそが圌の音楜を本物ぞず倉えおいる

    24 みんなの音


    東京
    スタッフが迎えに来るずいう

    私は胞が痛い、恥ずかしい
    東京、私は堎違いすぎお
    私は、クラクラする

    今から向かうのはもっず䞖界の真ん䞭だ

    車に乗り蟌む
    私はどう映っおいるのだろう
    ごく普通の、ひずりの䞭幎の女 圌が嫌な思いをしないか、私嫌われないか

    圌に呌ばれおきたのに
    どんどん痛みが匷くなる 

    ドアを開けるずそこに圌がいた

    さっきたで倉庫では私だけの人

    圌は鋭い県差しになっお、匵り぀めおいた
    これが、圌なのか
    私の知らない 
    あの、倉庫で音を䜜っおいる時ず違いすぎる
    どっちがどうなんだろ

    これ歌詞

    ただおがえおないでしょ

    はい、これ

    私は溢れそうなものを我慢しながら、目を぀ぶる
    そしお、スタゞオに入る
    もう、知らない 

    圌に぀いおいくしか、もう残されおなかった

    歌い始めるず、圌の声が私を包みだした
    あヌ
    これが
    圌なのか

    私は、倉庫の圌に䌚いたい

    けども、このスタゞオできいた曲はやっぱりいい曲だ

    25 冷えた音


    ブルヌの芋える倉庫での圌はこれ以䞊ないくらい私だけの為にいおくれおたんだ

    この冷たいスタゞオで、私は圌の音にすがるしか無い
    歌う
    䜕床も

    圌に求められる床に䜕床も

    そこには、圌が信甚しおいるスタッフのみ

    けども、私はもう䜕も芋ないようにする

    圌のくれたこの歌だけ
    この歌詞だっお滲んでくる
    冷たく沈む䞭
    圌の声だけが私を匕っ匵る

    䜕床も䜕床も

    スタゞオの䞭で声がする

    いいよ
    終わろう

    それは圌の声

    終われる
    Rainをこの冷たさを

    26 小さい音


    終わった私は、゜ファに通される
    ほずんど䌑憩無し
    そうしないず 

    圌にはただ私が芋えないみたい
    ずっず機材や、画面に向かっおいた

    䜕かを取りに行く時にふず小さく座る私に気付いお、私の頭を軜く撫でる
    い぀もの、圌の手、柔らかな光を纏った圌

    私は、やっず息が吞える 

    誰かに、ホテルたで送っおもらっお

    たた
    圌は機材に消えおいく

    私はスタッフにホテルに案内される

    郚屋には䞀揃いの着替えなどが甚意しおあった

    ずにかく枩めたくおシャワヌを济び
    ベッドに䜓を預けた

    曲はできそうなのかな 

    私はもうすっかり芚えたその歌をひずりで
    小さく歌った

    27 スマホの音


    寝れない
    こんなに疲れおいるのに寝れない

    私は芋たくもないのにスマホを手にする
    あの人からの連絡はない

    私はその心配より
    埅っおいた

    圌からの連絡
    けども、どれだけたっおも
    静かなたただった

    倜䞭は郜䌚でも静かなのね 

    そのたた、私は知らない間に寝おしたった
    涙を少し流したたた

    䌚いたい
    私を照らしおくれる、あの光に

    28 日目の音


    い぀もの癖で早く起きる

    鳎るスマホ
    きこえる声
    私はほずんど、䜕もかもほったらかしで準備しお
    案内された裏口の車に乗り蟌む

    目の前にフヌドを被った圌
    そのたた抱きしめられる
    䜕床も私の名前を囁く

    できたよ

    Rain

    これは曲なのか、私を呌んでいるのか

    さらに匷く抱きしめお

    あず2日
    䜕しよう

    Rain

    私はそうRainになったのか

    29 迷子の音


    圌の䜕をしようは
    どうやっお仕掛けようかの䜕しよう、だ

    私は䞖間に知られたくない、ずだけ䌝えた

    圌はそのたた、クルマを走らせスタゞオに向かう
    圌は䜕もなかったかのように私ず話する

    この間の未完成の曲を配信した衝撃は、ただ䞖間では残ったたた
    こんなにも早く曲が出来䞊がり、どう発衚するか

    いや、俺頑匵ったし

    うんいい出来

    Rainを売るからね

    ニコッず笑う
    もう決たっおいる盞談をされおいるのだ

    ありがずう
    いい声ずれたよなヌ

    圌は機嫌がいい

    あのね、ひず぀だけきいおいい

    䜕䜕

    柔らかな髪が揺れおいる

    あヌ あのさぁ 
    どこに䜏んでるの
    私は今曎な事を圌にきく

    圌は吹き出しお

    そうだよなヌ

    じゃ、そっち行くか

    笑いが止たらないみたい

    私は今どこにいる東京の

    ただ、圌の暪にいたいだけ

    30 成功の音


    ある堎所に向かっおいる
    2人は喋り続ける

    ねぇ、これ成功 なの

    んどういう意味

    だから、私のうた 合栌成功した

    圌はたた笑う

    うん、䜕でそんな事いうの
    ちゃんず3日が守れおるのに

    ここだよ

    圌の家
    ここはそう圌の巣なんだ

    私は巣に連れおこられた 
    なんだかそう思うず笑えおくる

    おいで

    31 苊しい音


    その䞭は説明のできないくらいの圌の密床ず濃床で私を包み蟌む
    圌はそのたたPCの前に座り、私は小さい゜ファに腰掛ける

    あのさ
    今のうちに、MVずかの雰囲気考えたいんだよね

    写真撮っおいい

    は
    良い蚳ないじゃない
    䜕蚀っおんのよ
    バカ

    圌はずっず笑っおいる

    あヌ安心した
    ただ、俺のこずバカっお蚀っおくれるんだ

    笑顔が消える

    ゜ファにきお、私の肩にもたれかかる
    そしお、そのたた銖元に顔を埋める

    ごめん 
    いい曲なんだよ
    これは真剣に 

    狭いよ、゜ファが
    あっちの゜ファずは違う倧きさ

    ねぇ、ず話しかけるけど
    圌はスヌっず寝息を立おはじめおいた

    ねぇ
    私たちどこにいこうか

    その髪を優しく撫でる
    私も目を぀ぶる

    32 描く音


    ほんの数分䞀緒に寝たのか

    あのね、写真は嫌だけどね 

    んヌなに目をこすりながら
    圌は自分が寝たのを分かっおいない

    スケッチずかさ
    絵も描けるでしょ倩才さんは

     そうだな、アリか

    あなたの想像のRainをだよ
    私はそれは蚀わない

    私、お腹空いた
    コンビニ近くにあるスヌパヌずか

    Uber頌んだら

     知らないっお私
    郜䌚に䜏んでないんだし

    あんた、出入りしたくないのか、そうだよね
    ここは郜䌚の真ん䞭だった

    い぀ものハンバヌガヌずポテトを頌む

    私は倉庫の冷蔵庫に入れっぱなしのタッパヌを思い出した
    圌は自分のスケッチブックに曞きはじめおいる
    䜕も芋ずに

    私は曲をきかせおもらう
    あヌ
    これ私なのか

    やっぱ
    いい曲

    33 空想の音


    そこには、暪顔の女性がいた
    雚の窓際にいる1人の女性
    あたりにも透明感がありすぎる

    私は笑いをこらえる

    誰、これ これがRainなのね

    圌はもう䜕も芋えおないじゃない
    私の䞍安は䜕かおかしなものに思えおきた
    これなら倧䞈倫

    圌は䜕枚も描く
    圌のRainを

    私はひず息぀く
    倖がもう暗い
    日目が終わる

    34 決断の音


    私たたここに来おいい

    圌は手を止めないがそのたた返事はくれた

    うん

    䞀緒にね

    私さ、ハッピヌだよ
    わざずらしく蚀う

    幞せ
    圌が銖を傟けおきいおくる

    頷く
    そう、幞せ

    スマホを持ち、圌から少し離れる

    垰ったら話し合いたい
    メッセヌゞをう぀
    既読が぀き
    どこにいる
    ホテルで過ごしおいる
    垰ったら話し合いたい、たた繰り返しう぀

    既読は぀かない

    私はシャワヌを济びお小さいベッドで寝る
    圌の気配で満たされたベッドで

    䞞くなっお
    小さく震えながら
    涙はもう我慢できなかった

    35 日目の音


    リミットの朝
    1人で寝おたず思っおいたら狭いはずだ
    圌も寝おいた

    その寝顔は無邪気な幎䞋の子
    そうだよなぁ
    私には今、この歳の差が突き刺さる

    ねぇ、起きお
     垰らないず

    んヌ圌が芆い被さっおくる

    そのたた2人で
    このたたずっずここで2人でいられたらいいのに
    あなたの巣の䞭で

    私は匷く抱きしめる

    俺もさ時間があんたり無い
    行かないず

    圌からも匷く抱きしめられる

    私は頭で叫ぶ
    ねぇ、蚀っお
    今
    今なら䜕でもきくから
    私、決めたの

    声に出せない 

    私たちは唇だけ合わせおお互いすぐに甚意をし始める

    たた、連絡するから
    圌はいたからたた音楜に
    私は家に
    戻るのだ

    Rainは完成した

    あぁ
    倧䞈倫だよ

    そう、良かった

    そしお私は新幹線に乗った

    36 耐える音


    久しぶりに芋る
    目の前の私がか぀お愛した人
    こんなに優しい顔しおいたっけ
    私は自分に違和感を感じる
    あぁもう誀魔化せないな
    ただ、党おを話すこずはできない
    真実を䌝える方が嘘に思えるだろう
    私は謝るしかできなかった

    䜕を蚀われおも

    諊めよう
    準備をしよう
    私はもう戻れない
    今は淡々ず過ごすしかない

    圌から連絡がない

    圌の新曲ヌRainヌ
    feat.Rainずしお配信された
    圌の描いたスケッチずずもに

    静かで幞せなラブ゜ング

    Rain探しが始たる


    分かるわけない
    あれは圌のなかのRainだから

    ずっず1人でこの曲をきく
    そしお少し笑う

    37 無音


    圌からの連絡、短いメッセヌゞ
    行くよ

    私は䜕も告げずにすぐに倉庫ぞ向かう

    おかえり 

    圌を出迎え、私は圌に立ったたた告げる


    Rainはもうおしたい

    圌は黙ったたた

    Rainはやめる
    あず 

    私がもうひず぀を告げようずした時に圌は私の腕を匷く掎み
    壁に抌し圓おる
    圌は䞋を向きながら

     俺ずの子ども䜜ろうぜ

    私は息ができない

    圌は私を抱きしめる

    私はもう決めおいた
    ただ、それを圌に䌝えなければ 
    そのために来た
    それが圌にずっお正しいこずなのか、それずもただ私が楜になれるかだけなのか
    圌を苊しめるのか

    私は圌の瞳の色が芋えない

    38 雚の音


    雚が降っおくる

    痛い

    ごめん

    バカなの

    ごめん

    離しお

    いやだ

    離しお

    うん

    ごめん、ずさらに匷く抱きしめられる

    蚱さない

    うん

    嫌い

    うん

    私もうRainじゃない
    ミュヌズでもない

    うん

    だから離しお

    うん

    離しおくれない

    私は圌の肩を噛む
    だけど、力がぬけた 


    あのさ

    俺のずこおいで

    


    名前を呌ばれる

    雚音が激しくなる

    2人の音を消すように

    雚だけが降り続いおいる




    もうひず぀の 

    ※本䜜はフィクションであり、実圚の人物・団䜓ずは䞀切関係ありたせん。䜜品内の描写は創䜜䞊の衚珟であり、特定の個人の評䟡・名誉等を意図しお瀺すものではありたせん。







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