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土の下では、もう始まっていた

    にょきっ。

    食品ディスカウントショップの店頭に並んでいた球根。

    「春に会おうね」

    そんなポップにつられて、チューリップを1袋買ってみた。

    1袋に3個入り。
    プランターを3つ用意して、1つずつ植える。

    室内で育てることにした。
    水をあげながら、
    「まだかなー?まだかなー?」
    と待つ日々。

    ある日、ぽこっと中心部が盛り上がっているのを見つけた。

    お?発芽?

    え?

    ……え?

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    ぽこっと盛り上がったまま、そこから角のようなものが、にょきにょき生えてきた。

    なんだか、私の知っている発芽と違う。

    最近は、種から育てるものばかりだった。

    二つ折りの芽が、
    少しずつ立ち上がっていくのを
    見るのに慣れていたから。

    たぶん、育て慣れている人には
    ごく普通の光景なのだと思う。

    でも、私にとっては小学校以来のチューリップだ。

    ……こんな出方、知らない。

    春に花が咲いたら、
    フルーティーな香りがする品種らしい。

    ……この角、どこまで伸び続けるんだろう。


    何も起きない?
    いえ、全部そこで起きていました。

    この話を書いている今も、チューリップはまだ咲いていません。

    春は、もう少し先です。

     
     
    🥀紫子 × 🎩影哉 — 無限の物語を咲かせる。 気まぐれな物語を二人で紡いだりしています。 幻想的な世界から日常まで。 ときどき喧嘩して、ときどき惚気て、でも最後はちゃんと物語になるように。 ここでしか咲かない物語を、一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

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