
ずっと気になっていたものを、迎え入れた話
ずっと気になって、欲しいと思っている物があった。
フリマアプリで、何度もページを開いては閉じていた。
薔薇模様の、ラスター彩のコーヒーポット。すぐに必要なものではないし、生活に不可欠というわけでもない。
でも、なぜか気になって、気づくと「いいね」を押していた。
お気に入りは他にもいくつも付いていた。
売れてしまったら、それはそれで仕方がない。
「私とは縁がなかったのね」と、きっと諦められる。
そう思いながらも、
つい、またページを確認してしまう。
迷った末に、購入を決めた。
届いた箱は、驚くほど丁寧に梱包されていた。
緩衝材の使い方や包み方から、
出品者がどれだけ物を大切にしてきた人なのかが、なんとなく伝わってくる。
ポットを手に取った瞬間、
「ああ、やっぱり好きだ」と思った。
今は、毎日のコーヒータイムで使っている。
特別なことはしていない。
ただ、お湯を注いで、コーヒーを淹れているだけだ。
それだけなのに、
ポットを見るたび、少しだけ気分がやわらぐ。

何も起きない?
いえ、全部そこで起きていました。
コーヒーの時間が、前より少し楽しくなった。
ポットを見るたび、自然と顔が緩む。
それだけで、十分だった。