見出し画像

このループ、何度目だっけ?

終わったのか、終わらせたのか、ただの活動休止なのかもしれない。
そもそもここにたどり着くのは何度目だろう。

振り返ると今回一番長く続いた人は高身長でマッチョだった。顔がお笑い芸人のはんにゃの金田に似た、今どきなシュッとした雰囲気。年も確か7つ下で、はっきり言えば私にはオーバースペックだった。

まだ20代だった向こうもその自覚があったのだろう、言葉こそ丁寧だったが扱いはかなり雑だった。
連絡は日程調整のみ、約束の時間に平気で遅れてくる。10分遅刻して逢瀬は15分、車内で私の口に出したら解散だ。前後の会話もお愛想程度で切り上げられる。2年ほど続いたけどホテルに行ったのは多分一回だけ。

それでも続いたのは、単純に私が肉欲に溺れた結果だ。あの胸板が、太ももが、二の腕が忘れられず連絡が来ると脊髄反射で予定を確認してしまっていた。ギブアンドテイクが成立していた。

しかし毎回終わってから帰宅途中に寄るスーパーやドラッグストアの店内で、次はもう返信しない、という誓いを繰り返していた。年下の見た目のいい男の筋肉に触れた満足を、凌駕するほどの虚無感に毎回襲われていた。

脊髄反射とスーパーでの誓いを繰り返した2年もやっと終わった。
終わった理由は次の依存先ができたから、というだけだ。

次のみうらさんも1年くらいは続いたと思う。同い年で友達みたいに気軽に接してくれていた。褒め上手で言ってほしい言葉をくれる辺り、それなりに遊んでる雰囲気があって、やっぱり私が釣り合う相手ではなかった。

それぞれに楽しい時間だった。
最中の「行為のことしか考えられない」あの瞬間の表情は私の承認欲求を深く満たしてくれた。恋愛市場では相手にされなかったような高スペックの人たちが私に夢中になる様を眺めることは、モテたかった頃の時間を取り戻すような作業だった。体の関係だけならば高望みも可能なのだ。

それもそろそろ卒業できそうな気配がしてきた。年齢を重ねて行為に対する興味や情熱が薄れてきたのも、原因としてあるだろう。ある程度楽しんで満足したのもあるだろう。
それだけでなく、承認欲求を満たすためには相手にとって都合の良い私でなくてはならないことを身を持って知ったのだ。要するに、重宝されようと思ったら都合のいい女を演じなければならなかった。「なんとなく気分じゃない」で断ったら急に冷たくなるような、その程度の位置づけだったのだ。体の関係しか結べなかったツケである。

私は夫にとって都合のいい妻として生活している、そのほうが波風立たず楽に過ごせるからだ。でもそんな生活に嫌気が差して外で人と会うようになった。その結果がこれなのだから、どこまで行っても「私」だ。

夫にとって都合のいい妻、なんて夫が聞いたら激しく反論しそうだ。夫から見たら自由気ままに生きている妻に見えてることだろう。それでも私は眠くても夫の話には耳を傾けているし、ラインもなるべくすぐに返信するし、何より夫の母との同居だってしている。十分夫に合わせて暮らしているつもりだ。

はんにゃやみうらさんとの時間は日々の不満を発散させられたと思っていたが、それはそれで別のストレスを生んでいたように思う。他人軸でしか自分を評価できていない私は、何度も同じことを繰り返してきたし今後も繰り返しそう。自分を愛し自分を認め自分を抱きしめる、なんてこと、本当にできる人いるのだろうか。

そんな立派な自分になれる気は今のところ全然しないけど、ここまで正直に書けたことはまあまあ褒めてやってもいい気がしてきた。あと、筋トレを始めるきっかけをくれたはんにゃには感謝もしている。

多少の筋肉を装備しつつある私なら、もしかしたら今度こそこのループを抜け出せるかもしれない。




いいなと思ったら応援しよう!