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矩貞自害事

    、口語による曞き䞋し文䞀郚

    朝敵埁䌐の事、叡慮の向う所、偏に矩貞の歊功に圚り、遞んで他に求めず、殊に早速之蚈略を運めぐらすべき者なり。

    、矩貞自害事


    燈明寺の前にお、䞉䞇䜙階を䞃手に分お、䞃の城を抌阻お、先察城をぞ取られける。兌おの廃立には、「前なる兵は城に向ひ逢ふお合戊を臎し、埌なる足軜は櫓をかき屏を塗お、察城を取すたしたらんずる埌、挞々に攻萜すべし。」ず議定せられたりけるが、平泉寺の衆埒のこもりたる藀島の城、以倖に色めき枡お、軈お萜぀べく芋ぞける間、数䞇の寄手是に機を埗お、先察城の沙汰をさしおき、屏に著堀に぀か぀おをめき叫でせめ戊ふ。衆埒も萜色に芋ぞけるが、ずおも遁るべき方のなき皋を思ひ知けるにや、身呜を捚お是を防ぐ。官軍櫓を芆お入んずすれば、衆埒走朚を出お突萜す。衆埒橋を枡お打お出れば、寄手に官軍鋒を調お斬お萜す。远぀返぀入れ替る戊ひに、時刻抌移お日已に西山に沈たんずす。倧将矩貞は、燈明寺の前にひかぞお、手負の実怜しおをはしけるが、藀島の戊匷しお、官軍やゝもすれば远立らるゝ䜓に芋ぞける間、安からぬ事に思はれけるにや、銬に乗替ぞ鎧を著かぞお、纔に五十䜙階の勢を盞埓ぞ、路をかぞ畔を䌝ひ、藀島の城ぞぞ向はれける。其時分黒䞞の城より、现川出矜守・鹿草圊倪郎䞡倧将にお、藀島の城を攻ける寄手共を远払はんずお、䞉癟䜙階の勢にお暪畷を廻けるに、矩貞芿面に行合ひ絊ふ。现川が方には、歩立にお楯を぀いたる射手共倚かりければ、深田に走り䞋り、前に持楯を衝双お鏃を支お散々に射る。矩貞の方には、射手の䞀人もなく、楯の䞀垖をも持せざれば、前なる兵矩貞の矢面に立塞お、只的に成おぞ射られける。䞭野藀内巊衛門は矩貞に目加しお、「千鈞の匩は為錷錠䞍発機。」ず申けるを、矩貞きゝもあぞず、「倱士独免るゝは非我意。」ず云お、尚敵の䞭ぞ懞入んず、駿銬に䞀鞭をすゝめらる。歀銬名誉の駿足なりければ、䞀二䞈の堀をも前々茒く越けるが、五筋たで射立られたる矢にやよはりけん。小溝䞀をこぞかねお、屏颚をたをすが劂く、岞の䞋にぞころびける。矩貞匓手の足をしかれお、起あがらんずし絊ふ凊に、癜矜の矢䞀筋、真向のはづれ、眉間の真䞭にぞ立たりける。急所の痛手なれば、䞀矢に目くれ心迷ひければ、矩貞今は叶はじずや思けん、抜たる倪刀を巊の手に取枡し、自ら頚をかき切お、深泥の䞭に蔵しお、其䞊に暪おぞ䌏絊ひける。越䞭囜の䜏人氏家䞭務䞞重囜、畔を䌝お走りより、其銖を取お鋒に貫き、鎧・倪刀・々同く取持お、黒䞞の城ぞ銳垰る。矩貞の前に畷を阻おゝ戊ける結城䞊野介・䞭野藀内巊衛門尉・金持倪郎巊衛門尉、歀等銬より飛で䞋り、矩貞の死骞の前に跪お、腹かき切お重り臥す。歀倖四十䜙階の兵、皆堀溝の䞭に射萜されお、敵の独をも取埗ず。犬死しおこそ臥たりけれ。歀時巊䞭将の兵䞉䞇䜙階、皆猛く勇める者共なれば、身にかはり呜に代らんず思はぬ者は無りけれ共、小雚たじりの倕霧に、誰を誰ずも芋分ねば、倧将の自ら戊ひ打死し絊をも知らざりけるこそ悲けれ。只よそにある郎等が、䞻の銬に乗替お、河合をさしお匕けるを、数䞇の官軍遥に芋お、倧将の跡に随んず、芋定めたる事もなく、心々にぞ萜行ける。挢高祖は自ら淮南の黥垃を蚎し時、流矢に圓お未倮宮の裡にしお厩じ絊ひ、斉宣王は自楚の短兵ず戊お干戈に貫れお、修矅堎の䞋に死し絊き。されば「蛟竜は垞に保深淵之䞭。若遊浅枚有持綱釣者之愁。」ず云り。歀人君の股肱ずしお、歊将の䜍に備りしかば、身を慎み呜を党しおこそ、倧儀の功を臎さるべかりしに、自らさしもなき戊堎に赎お、匹倫の鏑に呜を止めし事、運の極ずは云ながら、うたおかりし事共也。軍散じお埌、氏家䞭務䞞、尟匵守の前に参お、「重囜こそ新田殿の埡䞀族かずをがしき敵を蚎お、銖を取お候ぞ。誰ずは名乗候はねば、名字をば知候はねども、銬物具の様、盞順し兵共の、尞骞を芋お腹をきり蚎死を仕候぀る䜓、䜕様尋垞の葉歊者におはあらじず芚お候。これぞ其死人のはだに懞お候぀る護りにお候。」ずお、血をも未あらはぬ銖に、土の著たる金襎の守を副おぞ出したりける。尟匵守歀銖を胜々芋絊お、「あな䞍思議や、よに新田巊䞭将の顔぀きに䌌たる所有ぞや。若それならば、巊の眉の䞊に矢の疵有べし。」ずお自ら鬢櫛を以お髪をかきあげ、血を掗ぎ土をあらひ萜お是を芋絊ふに、果しお巊の眉の䞊に疵の跡あり。是に匥心付お、垯れたる二振の倪刀を取寄お芋絊に、金銀を延お䜜りたるに、䞀振には銀を以お金膝纏の䞊に鬌切ず云文字を沈めたり。䞀振には金を以お、銀脛巟の䞊に鬌䞞ず云文字を入られたり。是は共に源氏重代の重宝にお、矩貞の方に䌝たりず聞れば、末々の䞀族共の垯くべき倪刀には非ず芋るに、匥怪ければ、膚の守を開お芋絊ふに、吉野の垝の埡实筆にお、「朝敵埁䌐事、叡慮所向、偏圚矩貞歊功、遞未求他、殊可運早速之蚈略者也。」ず遊ばされたり。さおは矩貞の頚盞違なかりけりずお、尞骞を茿に乗せ時衆八人にかゝせお、葬瀌の為に埀生院ぞ送られ、頚をば朱の唐櫃に入れ、氏家の䞭務を副お、朜に京郜ぞ䞊せられけり。

    、読み仮名付き

    矩貞自害じがいの事こず
    燈明寺ずうみやうじの前にお、䞉䞇さんたん䜙階よきを䞃手に分わけお、䞃なな぀の城を抌阻おしぞだおお、先たづ察城むかひじやうをぞ取られける。兌かねおの廃立はいり぀には、「前なる兵は城に向ひ逢あふお合戊を臎し、埌うしろなる足軜は櫓やぐらをかき屏ぞいを塗ぬ぀お、察城むかひじやうを取ずりすたしたらんずる埌のち、挞々ぜんぜんに攻せめ萜すべし。」ず議定ぎぢやうせられたりけるが、平泉寺ぞいせんじの衆埒のこもりたる藀島ふぢしたの城、以倖も぀おのほかに色めき枡わた぀お、軈やがお萜぀べく芋ぞける間、数䞇の寄手よせお是これに機を埗お、先たづ察城むかひじやうの沙汰をさしおき、屏に著぀き堀に぀か぀おをめき叫さけんでせめ戊ふ。衆埒も萜色おちいろに芋ぞけるが、ずおも遁のがるべき方のなき皋を思ひ知しりけるにや、身呜を捚すおお是これを防ぐ。官軍くわんぐん櫓を芆く぀がぞしお入いらんずすれば、衆埒走朚わしりきを出いだしお突぀き萜す。衆埒橋を枡わた぀お打う぀お出いづれば、寄手よせおに官軍くわんぐん鋒き぀さきを調そろぞお斬き぀お萜す。远おひ぀返かぞし぀入れ替かはる戊ひに、時刻抌移おしう぀぀お日已すでに西山せいざんに沈たんずす。倧将矩貞は、燈明寺の前にひかぞお、手負おおひの実怜じ぀けんしおをはしけるが、藀島ふぢしたの戊たたかひ匷぀よくしお、官軍くわんぐんやゝもすれば远立お぀たおらるゝ䜓おいに芋ぞける間、安からぬ事に思はれけるにや、銬に乗替ぞ鎧を著かぞお、纔わづかに五十ごじふ䜙階よきの勢を盞埓ぞ、路をかぞ畔くろを䌝ひ、藀島ふぢしたの城ぞぞ向はれける。其その時分黒䞞くろたるの城より、现川出矜ではの守かみ・鹿草かくさ圊倪郎䞡倧将にお、藀島ふぢしたの城を攻せめける寄手共よせおどもを远払おひはらはんずお、䞉癟さんびやく䜙階よきの勢にお暪畷よこなはおを廻たはりけるに、矩貞芿面おきめんに行ゆき合ひ絊ふ。现川が方には、歩立かちだちにお楯を぀いたる射手共いおども倚かりければ、深田ふけたに走はしり䞋おり、前に持楯も぀たおを衝双぀きならべお鏃やじりを支ささぞお散々さんざんに射る。矩貞の方には、射手いおの䞀人もなく、楯の䞀垖いちでふをも持もたせざれば、前なる兵぀はもの矩貞の矢面やおもおに立塞たちふさが぀お、只的たずに成な぀おぞ射られける。䞭野藀内巊衛門ずうないざゑもんは矩貞に目加めくはせしお、「千鈞せんきんの匩どは為錷錠けいそ䞍発機。」ず申たうしけるを、矩貞きゝもあぞず、「倱士独ひずり免たぬがるゝは非我意。」ず云いひお、尚敵の䞭ぞ懞入かけいらんず、駿銬しゆんめに䞀鞭いちべんをすゝめらる。歀この銬名誉の駿足しゆんそくなりければ、䞀二䞈の堀をも前々茒たやすく越こえけるが、五筋たで射立たおられたる矢にやよはりけん。小溝こみぞ䞀ひず぀をこぞかねお、屏颚びやうぶをたをすが劂く、岞の䞋にぞころびける。矩貞匓手ゆんでの足をしかれお、起おきあがらんずし絊ふ凊に、癜矜しらはの矢䞀筋ひずすぢ、真向た぀かうのはづれ、眉間みけんの真䞭たんなかにぞ立た぀たりける。急所の痛手いたでなれば、䞀矢ひずやに目くれ心迷ひければ、矩貞今は叶かなはじずや思おもひけん、抜ぬいたる倪刀を巊の手に取ずり枡し、自みづから頚をかき切き぀お、深泥じんでいの䞭に蔵かくしお、其その䞊うぞに暪よこたは぀おぞ䌏ふし絊ひける。越䞭ゑ぀ちゆうの囜くにの䜏人ぢゆうにん氏家うぢぞ䞭務䞞なかづかさのじよう重囜しげくに、畔くろを䌝぀たひお走はしりより、其銖そのくびを取ず぀お鋒き぀さきに貫぀らぬき、鎧・倪刀・々かたな同おなじく取持ずりも぀お、黒䞞くろたるの城ぞ銳はせ垰る。矩貞の前に畷なはおを阻ぞだおゝ戊たたかひける結城ゆふき䞊野かうづけの介すけ・䞭野藀内巊衛門ずうないざゑもんの尉じよう・金持かなぢ倪郎巊衛門さゑもんの尉じよう、歀等これら銬より飛ずんで䞋おり、矩貞の死骞の前に跪ひざたづいお、腹かき切き぀お重かさなり臥す。歀倖このほか四十しじふ䜙階よきの兵、皆堀溝ほりみぞの䞭に射萜されお、敵の独ひずりをも取ずり埗ず。犬死いぬじにしおこそ臥ふしたりけれ。歀この時巊䞭将さちゆうじやうの兵䞉䞇さんたん䜙階よき、皆猛たけく勇める者共ものどもなれば、身にかはり呜に代かはらんず思はぬ者は無なかりけれ共ども、小雚こさめたじりの倕霧ゆふぎりに、誰を誰ずも芋分わかねば、倧将の自ら戊ひ打死うちじにし絊たたふをも知らざりけるこそ悲かなしけれ。只よそにある郎等らうどうが、䞻の銬に乗替のりかぞお、河合かはひをさしお匕ひきけるを、数䞇の官軍くわんぐん遥はるかに芋お、倧将の跡あずに随したがはんず、芋定みさだめたる事もなく、心々にぞ萜行おちゆきける。挢かんの高祖かうそは自ら淮南わいなんの黥垃げいほを蚎うちし時、流矢ながれやに圓あた぀お未倮宮びあうきゆうの裡うちにしお厩じ絊ひ、斉宣王せいのせんわうは自みづから楚の短兵たんぺいず戊たたか぀お干戈かんくわに貫぀らぬかれお、修矅堎しゆらばの䞋に死し絊たたひき。されば「蛟竜かうりようは垞に保深淵之䞭。若もし遊浅枚有持綱釣者之愁。」ず云いぞり。歀この人君の股肱ずしお、歊将の䜍に備そなはりしかば、身を慎぀぀しみ呜を党た぀たうしおこそ、倧儀の功を臎さるべかりしに、自らさしもなき戊堎に赎おもむいお、匹倫ひ぀ぶの鏑やじりに呜を止ずどめし事、運の極きはめずは云いひながら、うたおかりし事共こずども也なり。軍散じお埌のち、氏家うぢぞ䞭務なか぀かさの䞞じよう、尟匵をはりの守かみの前に参たゐ぀お、「重囜こそ新田殿に぀たどのの埡䞀族ごいちぞくかずをがしき敵を蚎う぀お、銖くびを取ず぀お候ぞ。誰ずは名乗なのり候はねば、名字みやうじをば知しり候はねども、銬物具もののぐの様やう、盞順あひしたがひし兵共぀はものどもの、尞骞しがいを芋お腹をきり蚎死を仕候぀かた぀りさふらひ぀る䜓おい、䜕様いかさた尋垞よの぀ねの葉歊者はむしやにおはあらじず芚おがえお候。これぞ其その死人のはだに懞かけお候さふらい぀る護たぶりにお候。」ずお、血をも未いただあらはぬ銖くびに、土の著぀きたる金襎きんらんの守たぶりを副そぞおぞ出いだしたりける。尟匵をはりの守かみ歀この銖を胜々よくよく芋絊たたひお、「あな䞍思議ふしぎや、よに新田巊䞭将さちゆうじやうの顔぀きに䌌たる所有あるぞや。若もしそれならば、巊の眉の䞊に矢の疵きず有あるべし。」ずお自ら鬢櫛びんくしを以お髪をかきあげ、血を掗すすぎ土をあらひ萜おずしお是これを芋絊ふに、果しお巊の眉の䞊に疵きずの跡あずあり。是これに匥いよいよ心付぀いお、垯はかれたる二振ふたふりの倪刀を取寄ずりよせお芋絊たたふに、金銀を延のべお䜜りたるに、䞀振ひずふりには銀を以お金膝纏きんはばきの䞊に鬌切おにきりず云いふ文字を沈しづめたり。䞀振ひずふりには金を以お、銀脛巟ぎんはばきの䞊に鬌䞞おにたるず云いふ文字を入いれられたり。是これは共に源氏重代の重宝にお、矩貞の方に䌝぀たぞたりず聞きこゆれば、末々すゑずゑの䞀族共いちぞくどもの垯はくべき倪刀には非あらずず芋るに、匥いよいよ怪あやしければ、膚はだの守たぶりを開ひらいお芋絊ふに、吉野の垝みかどの埡实筆ごしんぎ぀にお、「朝敵おうおき埁䌐事、叡慮所向、偏圚矩貞歊功、遞未求他、殊可運早速之蚈略者也なり。」ず遊ばされたり。さおは矩貞の頚盞違さうゐなかりけりずお、尞骞しがいを茿こしに乗のせ時衆じしゆ八人にかゝせお、葬瀌さうれいの為に埀生院わうじやうゐんぞ送られ、頚をば朱の唐櫃からひ぀に入れ、氏家うぢぞの䞭務なかづかさを副そぞお、朜ひそかに京郜ぞ䞊のがせられけり。

    䞲呂哲孊研究ノヌトバックナンバヌ総合

     
     
     
    青幎時代に、神皇正統家に極秘で䌝承された神颚䞲呂を孊ぶ神瞁に恵たれ、爟来、现々ず䞲呂哲孊の研究を実斜しお参りたした䞀孊埒です。神颚䞲呂を玹介しながら、日本神界の神経綞かみしくみを研究考察しお参りたす。䞀人でも倚くの方々に䞲呂哲孊の存圚を知っお頂ければ望倖の喜びです。

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