
向日葵の咲く頃に(19)第1657幕
第19話(最終話) 向日葵

大きなお腹を抱えたお菊、臨月を迎えていた。
時々、お菊の母も手伝いに来てくれて、お菊の出産に向けての準備(洋服・おしめ・ベット等)は万全であった。
夫の宿六は、大工仕事も、お菊がいつ産気づいても仕事場から家に駆けつけられるように、遠くの現場仕事を断り、近所だけに絞っていた。
出産予定日は、6月30日。
今日が、その日だった。
朝食を食べ終わった頃、お菊は急にお腹に痛み(陣痛)を感じる。
そして、陣痛は周期的にくるようになり、その間隔も短くなってきた。
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お菊:
あなた、陣痛が来たみたい。
段々、間隔も短くなっている。
病院に行く準備をしてくれる?
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宿六:
ああ、わかった。
今、車を回してくる。
病院と実家にも、連絡しとくよ。
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宿六は、お菊を車の後部座席に乗せ、病院に着く。
お菊の両親も、別の車で病院に駆けつける。
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医院長の四葉先生が、お菊を診察した。
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四葉先生:
お菊、もう少しね。
破水したわ。
みんな、ベットをすぐに分娩室に移して。
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四葉先生:
お菊、大きく深呼吸。
さあ、息んで・・・
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お菊は、人生初、こんなにも苦しい経験をしたことのない程の痛みに耐え、出産に望んだ。
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お菊の父と旦那の宿六は、分娩室前で落ち着かず、ウロウロ歩き回っていた。
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お菊の母:
二人とも、落ち着きなさい。
大丈夫だから。
私の時なんか、双子だったんだから。
それでも、無事に生まれたのよ。
お菊は、強い子よ。
大丈夫!
お菊を信じなさい。
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やはり、母は強し・・・
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分娩室に入って、30分後。
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おぎゃあ、おぎゃあ・・・
分娩室から、赤ちゃんの鳴き声が聞こえる。
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四葉先生:
おめでとう。
元気な女の子よ。
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3人は、お菊と生まれた赤ちゃんと対面する。
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宿六:
お菊、よく頑張ったなあ。
お疲れさん。
ありがとうな。
かわいい、女の子だ。
お前に似て・・・
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お菊の父と母:
よく頑張ったわね。
かわいい孫を産んでくれてありがとう。
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お菊:
みんな、ありがとう。
大変だったけど、無事に生まれて来てくれてよかったわ。
この産みの苦しさを味わった今だからこそ、母さんの偉大さに気づいたわ。
母さん、ありがとう。
この子にも、感謝ね。
この小ちゃい手が私の指を掴むのよ。
愛しいわね。
子供を産んだからこそわかる、母性、愛を改めて感じたわ。
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お菊は、子供に母乳を与えた。
子供は、いっぱい母乳を飲んで、そして大声で元気に泣いた。
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1週間後、お菊は退院し、赤ちゃんと一緒に、家に帰ってきた。
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宿六:
お菊、この子の名前を考えたよ。
夏生まれ、お菊と花の子供ということで、花の名前を考えた。
『向日葵』と書いて、 『ひまり』 と読ませるのはどうだろう?
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お菊:
『向日葵』
まあ、いい名前ね。
どう、花ちゃん?
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花(二重人格として発現):
うん、いい名前ね。
私たちと同じ、花の名前でかわいいわ。
この名前にしましょう。
今日から、あなたの名前は『鈴木向日葵』よ。
ああ、そう、気に入ったの。
よかったわ・・・
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向日葵は、お菊(花)と宿六に向かって笑顔で答えた。
これから、宿六・お菊・花・向日葵の4人の新たな生活が始まる・・・
完 !
【あとがき】
『向日葵の咲く頃に』をお読み頂き、応援して頂きまして、有難う御座いました。
本物語は、前作『夜鳴き蕎麦屋のお菊さん』の続編として始まりました。
初の恋愛小説、初恋物語になります。
お菊と、宿六の出会い、別れ、再会、恋愛、結婚、出産までを、素敵なラブソングと共に、物語を紡いでいきました。
お楽しみいただけましたら、幸いです。
大切なあの人との出会いを思い出していただき、みなさんの心の中に灯った愛の炎を灯し続けて行ってください・・・
みなさんに幸在らんことを!