🎧 深堀ミュージック ほぼDaily|Beyoncé - Irreplaceable
Beyoncéには、Destiny's Childの頃から定期的に驚かされる。
ずっと熱心に追いかけているというより、しばらく普通に暮らしていると、向こうから突然、
「はい、これ。」
と名曲を私の脳に送り込んでくるのよ。
困った人です。
2006年の「Irreplaceable」も、そんな一曲だった。
イントロから鳴っているのはアコースティックギター。
Beyoncéという名前から想像するような、圧倒的な声量や激しいダンスで押してくる曲でもない。
むしろ軽い。
そして有名な、
「To the left, to the left」
男の荷物は左にある。
さっさと持って出ていきなさい。
あなたの代わりなんて、すぐに見つかるから。
失恋の歌ではあるけれど、泣いて縋る歌ではない。
もう結論は出ているのよね。
この曲を書いたのはNe-Yo。
当時すでにMarioの「Let Me Love You」を書き、自身も「So Sick」をヒットさせていた優秀なソングライターだった。
面白いのは、最初からBeyoncéのために書かれた曲ではなかったこと。
Stargateたちが作ったアコースティックギターを軸にしたトラックに、Ne-Yoがメロディーと歌詞を書いた。当初は自分で歌うことも考えていたという。
でも男が歌うのと、女が歌うのでは意味が変わる。
「お前の代わりなんている」と男が歌うのと、浮気した男を家から追い出す女が歌うのでは、同じ言葉でも景色が違う。
そして、それをBeyoncéが歌った。
ここからが、この人の凄いところだと思うのよ。
Beyoncéは、なんでもBeyoncéの曲にしてしまう。
人が書いた曲だから借り物っぽくなる、なんてことがほとんどない。
自分流に持っていって、しかも毎回きっちり精度の高いものに仕上げてくる。
「Irreplaceable」でも必要以上に歌い上げない。
もちろん本気を出せば、いくらでも声は出る。
でも、この曲ではそれをやらない。
淡々と男を追い出す。
だから余計に強い。
今回選んだライブ映像では、それがさらに面白い。
Beyoncéの後ろを固めているのは、女性を中心としたバンド。
彼女はこの時期、女性ミュージシャンを集めたバンド「Suga Mama」を率いていた。
女性が歌う自立の歌を、女性ミュージシャンたちが演奏する。
そして観客まで一緒になって、
「To the left, to the left」
と歌う。
スタジオでは一人の女性が男に別れを告げる歌だったものが、ライブになると妙な連帯感まで生まれている。
こういうところまで含めて、Beyoncéは曲を自分のものにしてしまうのよね。
それは今でも変わらない。
私はそもそもカントリーをそれほど得意としていない。
ところがBeyoncéがカントリーへ踏み込むと、
「いや、そこまでの精度で持ってこられたら聴くしかないじゃん」
となる。
好きなジャンルだから聴くんじゃない。
完成度で聴かされる。
考えてみれば、Destiny's Childの頃からずっとそうだったのかもしれない。
こちらの好みなんてお構いなし。
忘れた頃に、とんでもなくよく出来た曲を送り込んでくる。
「Irreplaceable」は、私の脳内に送り込まれたBeyoncé定期便の中でも、かなり長く居座っている一曲です。
そして困ったことに、その後も定期便は止まりません。
まあ、受取拒否する理由もないんですけどね。😎🎤
今日はこのへんで。
きっとまた明日。🎧
©️深堀ミュージック
