
阿鼻地獄からFor A Better Day
EDMという音楽に興味はない。
それは個人的な趣味なのでEDM好きの人には申し訳ない。
EDMにアレコレいちゃもんつけるものではないが、気分を害したらごめんなさい。
先に謝っておきます。
EDMと言えばAvicii。
彼のことは知っていたし彼のオリジナリティにリスペクトしつつもハッキリ言って好きなタイプの音楽ではない。
しかし彼の楽曲。
歌はあくまでAメロ、サビというかピークはインストという展開は新しいと思ったし、その後こぞってマネされ続けてるので凄いとは思う。
一種の発明かもしれない。
でも、有名なWating For LoveやWake Me Upも別になんとも思わなくてよく出来たチャラめのダンスミュージック、昔のトランスやユーロビートからの流れみたいなもんだな、と思っていた。
昔、友達に付き合ってEDMのデカイイベントに行ったことがあるがAviciiもDavid Guettaもなんとも思わなかった。
EDMの「DJ」とは言うものの、エディットされた自身の曲をメインにかけるカタログ紹介、ショーケース的プレイ、いわゆるアンダーグラウンドなハウスやテクノのDJの創造性あふれるソレとはまるで違った。
まあ「DJ」の形態を取ったライブ、いや、ショーなのだろう。
バンバン花火が上がったりド派手な演出であればあるほどこちらの気持ちは冷えて、退屈で早く帰ってウンコして寝たいとしか思わなかった。
んが、しかし。
先日、北海道の海岸線を車を運転していたときこの曲が流れてきた。
昔、数少ない好きだったAviciiの曲。
For A Better Day
始めた聴いたとき、あ、いいじゃん!って思った。
キラキラしたEDM感はなく、ハウスにも使えそうなブルージィなピアノリフが好きだった。
「あー、才能あるんだな、やっぱ」ってこの曲を聴いて思い知らされた。
彼は過酷なDJツアー生活やプレッシャーでアルコールとドラッグにヤられ自ら命を絶った。
カラダと心を蝕まれ、DJという名のショー活動からは引退していた。
EDMのキラキラDJ界隈のことはよく知らないが、街から街へ飛んで毎晩パーティをして、一晩で数千万円のギャラを稼ぐ世界がマトモなワケがない。
彼の音楽は好きではないがオリジナリティ、メロディセンスを感じるだけに、もう少しマトモな生活をしていればもっと良い音楽を作ったのではないかと残念に思った。
いや、For A Better Dayを聴き返して、以前より強く残念に思っている。
*
ここからはハウス好きでEDMが好きではナイ、わたしの独断的な意見である。
メロディメーカーとして、才能のある彼はソングライティング能力は非常に高いと思う。
しかし彼に目をつけたのがTiëstoというトランス界隈の超トップアーティストだったこともあり、そちら方面のテイストが強くなってしまったのだと思う。
あくまで想像だが。
現にデビューシングルはジョン・ダールバックとのハウスの曲だった。
(ジョン・ダールバックも初期はDefected Recordsなどからハウスの曲をリリースしていたが、EDM方面に行ってしまった)
タラレバだが、彼がEDM/トランス界隈ではなく、ハウス界に進み地に足のついた地道な制作活動とクリエイティブなDJの道を歩けば、長生きして、良い楽曲を作り続けたのではないかと思う。
また、EDM界隈でもずっと作り続けていれば作りたいものが変わったり、面白いことが起きたかもしれない。
Mauro PicottoというイタリアのトランスのDJ/アーティストがいる。
彼はPrimateという名門テクノレーベルから素晴らしいハードテクノをリリースしたことがある。
(Mauro Picotto & Riccard Ferri 名義のAlchemist EP)
これを聴いてトップアーティストというのはやはり才能があって、複数の音楽的ルーツや引き出しを持っていて、舵取りや方向性ひとつで、素晴らしい音楽を作れる人もいるのだと心の底から感心したことがある。
EDM好き、Avicii好きの人からすると
「オマエ何言ってんの?Avicii最高やろがい!」
と怒られそうだが、彼のオリジナリティあふれるリフやメロディを聴くたびに彼の死が、純粋なファンの人とは少し違った感覚で、わたしには残念でならない。
先にあげたFor A Better DayのMVを観て貰えばわかるが、児童虐待に強いメッセージを送った彼は悪い人だったとは思えない。
ちなみにこのMVは彼が監督も担当した。
R.I.P.
ちなみにAviciiとはサンスクリット語で無間地獄という意味。
無間地獄は阿鼻地獄とも言う。
阿鼻地獄、阿鼻叫喚の阿鼻はサンスクリット語Aviciiからの音訳。
とても繊細でピュアで彼の精神が耐えられなかったEDMのショーや過酷なDJツアーといったエンターテイメントビジネスの阿鼻叫喚の無間地獄から抜け出して、よりよい日々を送っていることを願う。
アルバム「Stories」は才能を感じさせる曲が多い。
(いずれもEDMっぽくない)