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植物たちが繋ぐバトン〜幼な子が見つけた梅の木の赤ちゃん〜


昼下がりの静かな家の中。農作業から戻った主人が毎日朝4時起きの作業から疲れをとるように
心地よさそうにお昼寝に入ったのを見届けながら、私は今朝、胸に満ちた温かい感動を忘れないうちに、こうして文章を紡いでいます。

今、私の娘は毎日、さくらんぼの手入れを一生懸命に習っています。

山形のさくらんぼの収穫時期といえば、街全体が賑やかなお祭りムードに包まれる季節。目が回るほど忙しいけれど、それ以上に言葉にできない楽しさがあります。

かつて、その賑わいの中には、私の生母、母方親戚、友人たち、息子たち、ご近所の方々、そしてお客様……さらには、私が宝石商として共に歩んできたメーカーさんやデザイナーさんまで、本当にたくさんの方々からさくらんぼ🍒を収穫する楽しさや、喜びを贈答のお品物として注文を頂きました。マリア様や、天使の彫刻デザイナーの先生から 〝さくらんぼ🍒はロマンだね〟と言葉をかけられたシチエーションは今でも忘れられない思いと、歳を重ねる度に思いに深みが増してくる不思議な言葉です。

「一体、どれだけ多くの人が、この場所に長い間関わってきてくれたのだろう」

振り返れば、私はいつも時代とともに、そこへ集う人々のお手伝いをしてきました。何より、汗を流して働く方々の身体を気遣いながら、心を込めて飲み物や食事を用意すること。それが私の役割であり、喜びでもありました。

そんな我が家に、娘が帰郷しました。

彼女が掲げた目標は「梅の仕事」をすること。

娘はまず、飾らない農業の現場をその目で見つめ、そして有言実行の通り、t (トン)を超える驚くべきキロ数の梅を出荷してみせたのです。

彼女が梅に寄せる思いは、とてもシンプルで、だからこそ強い。

「青梅から、やがて美しい梅干しを漬けるとき、その梅干しを世の中の人に、心から堂々とお渡ししたい」

その真っ直ぐな覚悟に応えるように、ありがたいことに、私たちの梅にはもうすでにたくさんの方から予約が入っています。

果実をお届けするだけでなく、私たちが真に必要とする加工場を設えるための構想には、丸2年の歳月を費やしました。

その間、彼女は青果物としての梅の魅力や、この地に息づく歴史を貪欲に調べながら、まだ幼い自分の息子と一緒に、泥にまみれ、畑や樹木に触れ続けてきました。まさしく、〝現場を観る〟ということを実行しました。

その姿を見ていると、ふと胸が熱くなります。

それはまるで、彼女がまだ15歳のとき、自分自身の限界に挑戦するために、ひとりで遠い場所へと旅立ってしまった、あの日の凛とした背中に重なるのです。

私たちが選んだ加工場は、新しく建てるのではなく、昔、先人たちが生活を営んできた建物の一画をリフォームするという形でした。

ずっと以前からここで暮らし、さまざまな樹木や草花を育ててきた。そこにある想いや願い。

よそからこの地に嫁いできた私にとっては、最初は思いもよらなかった先人たちの気配が、今では愛おしく、確かに脈々と繋がる「縁」の中に生かされているのだと実感します。

歴史は、本や文章、古い写真の中だけにあるのではない、、、

今朝、私は確かな歴史のきらめきを目にしました。

草むしりをしていた5歳の孫の小さな手が、生い茂る草木の中から、小さな「梅の木の赤ちゃん」を発見したのです。


小さな苗木
谷沢梅苗木を見つけた!

今朝一番、その小さな苗木を、そっと植木鉢に寄せようとしました。泥んこになりながら優しく動くおさなごの手。私はその姿に、涙が出るほどの感動を覚えました。

孫はまだ5歳ですが、大人が見落としてしまうような、さまざまな植物を不思議と見分けることができる子です。

振り返れば、私自身、娘とこんな風に愛おしい時間をじっくりと紡ぐ時期は、これまでなかったに等しいものでした。そしてそれは、私と母の間でも同じだったのかもしれません。

けれど、今、こうして娘や孫に伝えられることがある。時間が早く通り過ぎるけれど 幼い子供に合わせて歩調をゆるめ立ちどまり 一生懸命に伝えてくれる言葉に耳を傾ける。その源泉となるものは 路傍の石だったり、名もなき草花だったりする。すべては自然界が教えてくれることです。

人間が立ち止まろうと、時代が変わろうと、いつだって植物はそこにただ在り、私たちを導いてくれます。

幼い孫は、時々楽しそうに「ドラゴン」の話を私にしてくれます。

私たちが太古の地球のエネルギーを借りて、命の根本を整えるために命を吹き込んだ「谷澤梅ドラゴン」。

おさなごの目には、その姿がもう見えているのかもしれません。


ジュウニヒトエとふき
フキとジュウニヒトエ

フキの大きな日傘に守られて咲く紫色のジュウニヒトエのように。

孫の小さな手で救われた、梅の赤ちゃんのように。


梅の古木の下


谷沢は水の豊かな場所
寒河江川

目に見えない温かいバトンをしっかりと受け取って、私たちの「谷澤梅ドラゴン」は、もう未来へ向かって力強く動き始めています。

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