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【灯りのカケラ:深雫】五十滴〜逃げ場がなかった」それだけで、壊れていった〜①

    翔雲


    「依存やぞそれ」

    そう言われたとき、言葉が止まった。

    仕事を休んで、家族に嘘をついて、
    借金してまで通っていた。

    でも私は、
    それを“ストレス解消”だと思っていた。

    ⸻

    スマホで調べたら、
    全部当てはまっていた。

    そのとき、やっと気づいた。

    私は、パチンコが好きだったんじゃない。

    「逃げ場」が欲しかっただけだった。


    いつから続いていたんだろう。

    逃げ場のない場所。

    始まっていたのは、  
    成人する前からだったのかもしれない。

    静かに、音もなく。  
    誰にも気づかれないまま——

    心は、少しずつ崩れていった。

    ⸻

    弱い立場の人が、家族の中にひとりいると、  
    そこが“はけ口”になることがある。

    やんわりと。  
    でも確実に。

    「あんたは反抗して物に当たるとこが父親に似てる」  
    「きょうだいであんただけ似てない」  
    「言うこと聞けないなら出ていけ」

    一つひとつは、  
    どこにでもあるような言葉かもしれない。

    ⸻

    でも——

    それが、  
    たった一人にだけ向けられていたとしたら。

    ⸻

    「そんなの、その子が悪いからじゃないの?」  
    「どの家族でもあるあるやん」

    そう思われることも、分かっている。

    だからこそ、気づかれない。

    壊れていく心は、  
    いつも静かに始まる。

    上の姉は、しっかりしているから何も言われない。  
    下の弟は、男の子だからと許される。

    真ん中の私は——

    「あんたはお姉ちゃんだから」

    その言葉を、何度も聞いてきた。

    ⸻

    本当は、仕掛けてきたのは弟の方だった。

    でも叱られるのは、いつも私。

    「お姉ちゃんなんだから」

    その一言で、  
    理由も関係なく、役割だけが押しつけられる。

    ⸻

    何も悪くないのに叱られる役。  
    何をしても許される側と、許されない側。

    その違いは、  
    ただ“生まれた順番”だけだった。

    ⸻

    その言葉は、  
    大人になるにつれて形を変えていく。

    でも意味は変わらない。

    ——あなたが我慢しなさい、という合図。

    「我慢しなさい」は、  
    いつの間にか——

    「どうせあんたは○○だから」

    に変わっていった。

    ⸻

    これをするのは当たり前。  
    できないのは、なんで?

    少しでも自分の気持ちを言えば、

    「嫌なら出ていけ」  
    「親の面倒見たくないなんて冷たい」  
    「暇なんやから、あんたがやるのが当たり前やろ」

    ⸻

    暇、なんて——

    自由を奪われた結果だった。

    友達と遊べば文句を言われる。  
    会わなければ、

    「どうせ友達いないやろ?」

    と言われる。

    ⸻

    どこにも、逃げ場がなかった。

    ⸻

    だから気づかないうちに、  
    “逃げる場所”を探すようになっていた。

    あの頃の私は、  
    それが何かも分からないまま。

    ただ——

    心は、ずっとSOSを出していた。

    もともと、思いやりのある家族ではなかった。  
    (祖母だけは、少し違ったけれど)

    ⸻

    離婚する前、私はもう限界に近かった。

    年子で出産して、  
    ホルモンバランスも崩れて、  
    ただ日常をこなすことすらしんどかった。

    「やらなきゃ」  
    「ちゃんとしなきゃ」

    その思いだけで動いていた。

    気づけば、過呼吸を起こすようになっていた。

    ⸻

    それでも返ってきたのは、

    「怠けたいだけやろ」  
    「それは怠け病や」

    という言葉だった。

    ⸻

    苦しかった。

    ただ、逃げ場がほしかった。

    ⸻

    気づいたら、パチンコ店に入っていた。

    あの場所だけは、  
    現実を忘れられた。

    ⸻

    勝てば、少し楽になる。  
    負ければ、取り返そうとする。

    終わらないループ。

    ⸻

    家に帰る頃、ふと我に返る。

    「どうしよう…またやってしまった」

    「バレたら、叱られる」

    ⸻

    その繰り返しだった。

    もし、あのとき——  
    少しでも寄り添う言葉があったなら。

    何かは、違っていたのかもしれない。

    ⸻

    理解がない場所で、  
    人は逃げ場を探す。

    自分でも気づかないまま。

    ⸻

    依存は、簡単に抜け出せるものじゃない。

    苦しいのに、やめられない。  
    お金がないのに、借りてしまう。

    分かっているのに、止められない。

    ⸻

    そして返ってくるのは、

    「迷惑をかけるな」  
    「ちゃんとやることやれ」

    ——責める言葉だけ。

    ⸻

    なぜ、そうなったのか。

    そこに目を向けられることは、なかった。

    ⸻

    それでも私は、

    少しずつ離れていった。

    ⸻

    5年前から、通う回数は減っていった。  
    3年前には、ほとんど行かなくなった。

    ⸻

    誰かに救われたわけじゃない。

    じゃあ、その“きっかけ”は、どうやって生まれたのか。

    なぜ私は、あの状態から抜け出せたのか。

    その過程には、
    自分でも気づいていなかった“変化のポイント”があった。

    ⸻

    ここから先は——

    私がどうやって、
    あの状態から抜け出していったのか。

    「やめよう」と思ってもやめられなかった私が、
    なぜ自然と離れていけたのか。

    その“流れ”を、
    できるだけそのまま書いています。



     
     
     

    翔雲

     
     
    翔雲|心を灯す物語を紡ぐnote作家🕯️ しずくシリーズ💧癒し・灯り・祈りをテーマに 週1更新/オリジナルグッズも販売中🛍️ LINEスタンプはサイトマップから飛べます https://shizukumori.stores.jp

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