ノンの暮らし手帳「好きを仕事にしている人 〜3年越しの再会〜」
こんにちは。ノンです。
「この財布は、育てる財布なんですよ。」
今でも忘れられない一言があります。
3年前、アウトレットへ財布を探しに行きました。
ブランドの財布もたくさん見ましたが、なかなか「これだ」と思えるものに出会えません。
そんな時、ワゴンで革製品を販売していたお店で、一人の女性スタッフさんに声をかけられました。
「何をお探しですか?」
私は、
「長く使える財布を探しています。」
そう答えました。

すると、お姉さんは棚の下から一つの財布を取り出してくれました。
深い紫色に染められた革の財布。
見た瞬間、
「きれい…。」
思わず声が出ました。
そして、お姉さんは優しく教えてくれました。
「この財布は、使う人によって色や風合いが変わっていくんです。」
「深い茶色のようになったり、手になじんだり…。育てる財布なんですよ。」
"育てる財布"
その言葉に、私は心を奪われました。
その日から、この財布との暮らしが始まりました。
毎日使い続けるうちに、革は少しずつ艶をまとい、深い紫は、茶色にも見える美しい色へと変わっていきました。
財布だけではありません。
気づけばバッグ、手帳、カードケース、キーホルダー…。
私の毎日に、このお店の革製品が少しずつ増えていました。
でも、不思議なことがありました。
あの日接客してくれたお姉さんに、その後何度お店へ行っても会えなかったのです。
気になって尋ねてみると、
「普段は二階の工房で作品を作っているんですよ。」
と教えてもらいました。
そして、それから3年。
偶然、お姉さんと再会できたのです。
私は大切に使ってきた財布を取り出しました。
「3年前、この財布を選んでいただいたんです。」
すると、お姉さんは少し驚いた表情!それはそうです。3年前の記憶なんて忘れていますよね。ひとしきり話をしていたら、新作のこの色が出た日に接客していたのを思い出されたようです。
「あっ、覚えています。」
そう笑ってくださいました。
さらに財布を見ながら、
「この紫色、もう今は作っていないんです。」
と教えてくれました。
今では、とても貴重な色になっているそうです。
そこから気づけば、1時間(笑)
財布のこと。
革の手触り。
使い心地。
この財布がきっかけで、バッグや手帳も使うようになったこと。

そして、大好きな紫色の革手帳が発売された日に、本店へ行って迷わず買ったこと。
全部、お話ししました。
すると、お姉さんが静かに話してくれました。
「工房にいると、人と話す機会があまりないんです。」
「作品を使ってくださる方が、どんなふうに思っているのか…。使い心地はどうなのか…。そんなことを、いつも考えていました。」
その言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなりました。
私が大切に育ててきた財布。
その向こうには、心を込めて作ってくれた人がいたんだ。

お姉さんも少し目を潤ませ、
私も思わず、うるっとしてしまいました。
革は、使う人の手で少しずつ育っていきます。
でも、育っていたのは財布だけではありませんでした。
3年前に始まったご縁も、
作り手と使い手の想いも、
時間をかけて、ゆっくりと育っていたのです。
私は、革製品を買いに行っているのかもしれません。
でも、本当は少し違います。
革を愛する人たちに会いに行っているのです。
好きなものを楽しそうに語る人の笑顔は、不思議とこちらまで幸せにしてくれます。
だから今日も、また足を運びたくなる。
財布を育てながら、
人とのご縁も、少しずつ育てているような気がしています。
あの日出会った職人さんは、 革を売っていたのではありませんでした。
革が好き。 ものづくりが好き。
その「好き」を、まっすぐ届けてくれていました。
だから私は、また会いに行きたくなるのです。
好きなものを楽しそうに語る人の笑顔は、 不思議と、こちらまで幸せな気持ちにしてくれます。
私もいつか、
「ノンさんの作品に出会えてよかった。」
そう思ってもらえるような作品を、 一つひとつ、心を込めて育てていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
宜しければこちら私の暮らしと生活の扉になります。遊びに来てください。
