第164食 | 敗者の町中華 | 八宝亭 | 東京グルメ
この日は東京で飲み会。
取引先との親睦会、といった感じのやつで、いったい何を親睦するのか全くわからない。
みんな日頃溜まっているストレスをアルコールで流したいだけ的な、なんの収穫もない会になりそうな予感がプンプンして少し気分が萎えていた。
仕事終わりからのスタートということで少し遅めの集合。私はというと、思ったより早く仕事が終わってしまった。
さて、どうするか。
ホテルに戻るほどでもないし、かといって時間を潰したい場所も特にない。
少し早いけど、とりあえず恵比寿に行くか。
電車に揺られながら、ぼんやり考える。
とりあえず、1人で0次会やるか。
そんな感じで、駅近くの町中華へ。
餃子専門 八宝亭 恵比寿店
東京都渋谷区恵比寿南2-1-12 サトウビル 1F

恵比寿駅から徒歩数分。
餃子専門店と掲げられているが、実際は餃子以外のメニューもしっかり揃っている。

カウンター席中心なので、1人でも妙に入りやすい。
席に座りふーっとひと息。今日そんなため息つくほど仕事してないやん。とか思いながら、とりあえずビールと酢もつをいただく。

喉が枯渇している時のビールはなんでこんなに美味いのだろうか。
酢もつのちょうど良い酸味も最高。
続けて餃子とにら玉も注文。


にら玉の、ちょっと雑なくらいの火力感。
そして餃子。
カリッと焼かれた皮。
中は熱々で、野菜多めの濃いめの餡。
親睦会があるのに、普通に晩飯くらい頼んでしまった。
まぁいいや。
酒を流し込みながら、町中華的メニューをつまむ。この時間、なんだか豊かになっている自分がいる。
軽く食べるつもりだったのに、気づけばどんどん箸が進んでいる。
ホッピーを追加。
取引先との飲み会の前なのに、それより先にアルコールを入れてしまっている。
まぁいいや。
店内は賑やかで活気があり、誰かの笑い声と、鉄鍋の音がずっと混ざり合っている。こういう空間にいると、東京の夜って感じがする。
肩肘張らずに飲める、良い町中華だった。
ごちそうさまでした。
店を出る。
まだまだこれからだぞ。みたいな感じを醸し出している夜の恵比寿。
そんな恵比寿とは裏腹に、しっかりと酔ってしまった。ホッピーが効いたのか、餃子が美味すぎたのか。
駅前を歩きながら、ふと思う。
親睦会、行きたくないな。
もちろん、仕事だというのは分かっている。
人間関係も大事だ。空気感もある。
けれど、今の私は、さっきの町中華の続きをやっていたい。知らない誰かの笑い声を聞きながら、適当に飲んでいたい。
気づけば、スマホを耳に当てていた。
「あー、すいません。仕事終わってなくて、遅れそうです」
我ながら、ひどい言い訳だと思う。
電話を切る。
少しだけ罪悪感。
どうせ私は世間で言う敗者なのだ。
だからどうした。この世は敗者で成り立っているんだから。
行こうか。
行かないでおこうか。
まだ時間はある。いや、厳密に言えばない。
けど、もう少しこのままでいたい。
うん。もう少し歩いて、考えよう。
時代の勝者が自らの功績を書として編纂する。この国だけでなく、古来大陸でも行われて来たことである。 そこでは、善きことは誇張され、悪きことは除かれる。時には事実が曲げられることも、全く無かった空事が記されることすらある。そうして伝えられるものが、この国の「歴史」となっていくのが現実であった。

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