フルフルからpublicoへ。銅板で焼くホットケーキが生まれるまで

2025年9月、publicoのカフェメニューに「銅板で焼くホットケーキ」が新たに加わりました。そこには、地域のご縁から生まれた物語があります。
記憶を受け継ぐ、40キロの「重み」

きっかけは、publicoのご近所で長年愛されていた「ホットケーキパーラー Fru-Full(フルフル)梅ヶ丘店」が、建物の老朽化により一時休業することになったことでした。
その際、フルフルさんより「ホットケーキを焼く銅板をpublicoで継承できないか」という打診をいただいたのです。
その銅板は、60センチ四方、厚み30cm、重さは40キロ近くあり、お店の歴史が詰まった大物でした。
この重みを受け継ぎ、持続可能な運営を目指すpublico設立3年目の大きな挑戦が始まりました。
銅板が主役の「育つカフェカウンター」づくり

既存のキッチンへの設置が難しい大きさの銅板をどう収めるか…。
publicoを設計してくれたtantable丹治さんから提案されたのは、アール(曲面)の壁。
壁を丸くすることで出っ張りの圧迫感を減らし、表面の仕上げには銅板を貼る(!)という、なんとも面白くて、手間のかかるデザイン。

ご近所の大工さんといつものお助けメンバーが深夜に及ぶ作業を重ね、苦労しながらも0.4mm厚の屋根用銅板を貼り付け、温かみのある丸いブースが誕生しました。
銅板には、訪れる子どもたちの手の跡が少しずつ重なってゆきます。時間とともに色や艶を変えていく「育つ壁」として、訪れた人々の気配をこれからも記録していくことでしょう。

キッチンの中と外が自然につながり親しみやすい雰囲気に。
タブノキカウンターも生まれ変わる

フルフルさんから譲り受けたのは、銅板だけではありません。
もうひとつ、お店の象徴ともいえる厚さ7センチ、長さ2メートルのタブノキのカウンター。
今回の改修での活用を諦めかけていましたが、「カウンターをいくつかに切り出せば、テーブルになるのでは?」というアイデアが飛び出し、譲り受けた厚さ7センチのタブノキカウンターをカフェテーブルとして再加工することになったのです。
表面に空いた穴は、かつてカウンターを支えていたボルトの跡。
キッチンブースのアールの壁に合わせ、有機的な曲線を描くテーブルに仕上げました!フルフルさんの軌跡を受け継ぎ、publicoで記憶を繋ぐもう一つの営みが生まれました。
「ホットケーキ部」発足ー数稽古の日々ー

ハード面だけでなく、ソフト面での準備も粛々と。
2025年7月より、フルフルの其田シェフによる直接指導のもと、スタッフ数名がフルフルの味を守る「焼き手」として実技研修を重ねました。
銅板で焼くホットケーキは、材料はごくシンプルでありながらも、家庭で焼くものとは全く別物です。
水の爆ぜる音で銅板の温度を見極め、返した時の焼き色を想像しながら、生地の状態をじりじり見つめる緊張の連続です。

うまくいっては喜び、失敗しては奮起し、何枚も何枚も焼き続け、日々ホットケーキタワーができていきました。
その繊細さゆえ、一枚ずつ丁寧に向き合うことが要されます。

一つずつの工程を丁寧に重ねることでようやくお客様にお出しできる「ホットケーキ」に仕上がるのです。
新章スタート|publicoが受け継ぐフルフルのホットケーキ

こうして準備を重ね、2025年9月にpublicoのグランドメニューに「ホットケーキ」が加わりました。
今は、月・水・土曜日に、香ばしく甘い香りがpublicoの空間を満たしています。
誰かの「美味しい」という笑顔のために。
そして、受け継いだ”まちの記憶”を未来へ繋ぐために。
フルフルの味を継承し、一枚一枚、大切に焼きあげるホットケーキをぜひpublicoで味わってみてください。
