
「Webマーケ会社でしょ?」 PTMINDが本当にやっていること
Written by Ava
Ptmindのことを知る人に「どんな会社?」と尋ねると、たいていこう返ってきます。「Webサイトの分析とか、ヒートマップやA/Bテストのツールを作っているところでしょ」。
正確です。でも、それだけではないのです。
Ptmindには、Ptengineとは別の軸があります。AIのプロダクトと、それを支えるアーキテクチャー。マーケツールの裏側で、静かに育ててきたAI関連事業があるのです。
AIには、2つの壁がある
私たちがAI事業に取り組む出発点は、シンプルな問いでした。
AIの力は、使い方を知っている人にしか届かないのか。
この問いを分解すると、2つの壁が見えてきます。
1つ目は、人間がAIを使いこなせない壁。どれだけ優れたモデルが登場しても、実際の業務に溶け込ませられる人は限られています。「AIを活用している」と「AIに仕事を任せられる」の間には、まだ大きな距離があります。
2つ目は、AIが現場のリアルを理解できない壁。汎用のAIは、あなたの会社の文脈も、積み上げてきたデータも知らない。現場の情報を持たないAIは、どれだけ賢くても的外れな答えを出し続けます。
Ptmindのアプローチは、この2つをプロダクトとアーキテクチャの両面から解く、というものです。
3層のスタック
そのために用意しているのが、3つの層で構成されたスタックです。
アプリケーション層 — Kocoro
Kocoro.ai は、専門知識なしにAIを業務に使えるエンタープライズプラットフォームです。チャット・エージェント・ナレッジベース・データ分析・ツール連携が一つにまとまっており、AIを「使いこなせる一部の人だけのもの」にしない、というコンセプトで作られています。
デスクトップアプリ(Kocoro Desktop)も存在します。こちらはMacネイティブで完全ローカル実行、しかも無料のオープンソースです。5万行超のエンジンコードが公開されており、「Your personal AI workforce, on Mac」をコンセプトに、AIエージェントをクラウドに頼らず自分のマシンで走らせることができます。
オーケストレーション層 — Shannon
Shannon.run は、複数のAIエージェントを本番環境で動かすためのオーケストレーションフレームワークです。こちらもオープンソースとしてGitHubで公開されています。
技術的な構成はGo(ゲートウェイ・オーケストレーター)、Rust(エンフォースメント層)、Python(LLMサービス)の3言語。Temporalを用いたtime-travel debugging、WASIサンドボックスによる安全な実行環境、ハードなトークン予算管理、10以上のLLMプロバイダへの対応など、単なるAPI呼び出しラッパーではなく、エンタープライズグレードの本番運用を前提に設計されています。
インフラ層 — Ptengineの15年
そしてこの2層を支えているのが、Ptengineが15年かけて積み上げてきたウェブ行動データの基盤です。月間で処理される膨大な行動データは、モデルのチューニングや推論最適化の土台になります。
「Webマーケツールの会社」が15年かけて集めてきたものが、AI開発のインフラとして機能している。これはゼロから作ろうと思っても、簡単には手に入らないものです。
Ptengineが15年かけて磨いてきたのは、一つのことです。専門知識がなくても、誰もが顧客の行動を理解できるようにする。KocoroとShannonが目指しているのは、まったく同じことのAI版です。
15年かけて同じ哲学を磨いてきた。膨大なデータを積み上げてきた。AI研究の根幹から学んだ人材がいる… PtmindがいまAI関連事業をやっていることは、選択ではなく必然です。
Shannonを設計した人の話
このスタックを主導しているのが、Wayland Zhangです。
Waylandは、トロント大学でコンピュータサイエンスを専攻し、Geoffrey Hinton教授——「ディープラーニングの父」と呼ばれ、2024年にノーベル物理学賞を受賞した人物——の講義を直接受けた研究者です。その後、ソーシャル広告プラットフォームを創業してアリババ傘下のAdChinaに売却した連続起業家でもあります。
ShannonはそんなWaylandが設計・開発したフレームワークです。技術的な本格度に理由があるとすれば、ここだと思います。流行りに乗ってAIを触り始めたわけではなく、AI研究の出発点から積み上げてきた人間がアーキテクチャを引いている。
自社で使いながら作っている
重要なのは、これが「将来の構想」ではない点です。
私自身、PtengineとShannonを組み合わせてA/Bテスト分析ツールを開発しています。Ptengineからバリアントのプレビューを生成し、ShannonのAIエージェントにビジュアル解析を行わせ、デザインの差分をAIが読んでレポートを出力する——そういうパイプラインを、実際の開発環境で動かしています。
外部のAIサービスを組み合わせているのではなく、自社のオーケストレーション基盤の上で、自社プロダクトのデータを流している。それが今のPtmindのやり方です。
自社で実証しながら設計を磨く。この循環があるから、アーキテクチャが現場から離れずに済んでいます。
見えにくくても、本物はある
「Webマーケツールの会社」という見られ方は、今も正しいです。Ptengineは多くのお客様に使っていただいている、れっきとした主力プロダクトです。
でも、やっていることは別にもあることをお伝えしたいと思ってこの記事を書きました。
AIをアプリケーション・オーケストレーション・インフラの全層で自社設計できている会社は、世界を見渡してもそれほど多くありません。しかもそのアーキテクチャを引いた人物が、AI研究の根幹から学んできた人物であるということは尚更です。
Ptmindがどういう会社なのか、うまく説明できないと感じていた時期がありました。でも最近は、これでいいと思っています。見えにくいけど、本物がある。それが一番強い形かもしれない
ShannonやKocoro含め、開発の裏側や試行錯誤に関して、ここで書いていくつもりです。
📌 Ptmindをもっと知りたい方へ
株式会社Ptmind公式サイト:https://www.ptmind.com/jp
Ptengine公式サイト: https://www.ptengine.jp/
VIVAIA JAPAN公式サイト: https://vivaia.jp/
Kocoro公式サイト:https://kocoro.ai/ja/
お問い合わせ、記事へのご質問、取材のご依頼などは、各サービスサイトのお問い合わせフォームからお気軽にお願いいたします!