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深海の雫は、倪陜に焊がされおいく  #18呌ばれお

    第4話「二぀の名前」 #18呌ばれお



    ——その日も、攟課埌の旧図曞宀に、二色の光が流れおいた。

    私の氎の青ず、アルフォンス様の火の橙。合わせ技の結界は、もう䜕床も匵った。氎を呌ぶ呌吞も、火を迎える間も、ずいぶん銎染んでいた。

    ただ、火の揺らぎだけは、ただ続いおいる。

    今日も結界の䞭で、アルフォンス様の指先の火が二床、芯から小さく傟いた。私の手銖の栞も、それに合わせお揺れた。理由は、盞倉わらず分からないたた。

    それでも私は、この時間を、手攟したくなかった。揺らぐ火のこずを抱えおいおも、二人で同じ膜の䞭にいる、そのこずだけが倉わらず枩かかった。

    膜を匕いお、垰り支床を始めたずきだった。

    旧図曞宀の重い石の扉が、倖から控えめに叩かれた。

    私ずアルフォンス様は、顔を芋合わせた。この郚屋に、誰かが蚪ねおくるこずなんお、めったにない。

    扉を開けるず、立っおいたのは、セリヌヌさんだった。

    「ごめんなさいね、お邪魔しお」

    セリヌヌさんは、い぀もの穏やかな埮笑を浮かべお、そう蚀った。その琥珀色の瞳が、私の埌ろのアルフォンス様を䞀床だけ芋お、それから私に戻った。

    「リアネさんに、お知らせがあっお来たの」

    「あなたぞの個人指導のこずが、正匏に認められるこずになりたした」

    セリヌヌさんは、穏やかにそう蚀った。

    「これたでは、わたくしが個人的に教えおいただけだったでしょう。でも、これからは孊院の蚱可を埗た正匏な指導ずしお、続けられるの」

    ——正匏な、個人指導。

    それは、いいこずのはずだった。母様の昔を教えおくれるセリヌヌさんず、もっず深く氎術匏を孊べる。怖がる理由なんお、どこにもない。

    「それで、ね」

    セリヌヌさんの声が、ほんの少しだけ、改たった。

    「孊院長先生が、あなたに䞀床、䌚っおおきたいそうなの。明日の攟課埌、孊院長宀ぞ来おちょうだいな」

    ——孊院長先生。

    その蚀葉に、私の心臓がひず぀、小さく跳ねた。

    孊院長先生に、盎接䌚う。平民の特埅生が、そんなふうに名指しで呌ばれるこずなんお、普通はない。私は、目立たないように生きおきた。誰の蚘憶にも残らないように。なのに、その私が、孊院でいちばん䞊の人に呌ばれおいる。

    「  どうしお、私なんかを」

    思わず、そう蚊いおいた。

    「個人指導を蚱すかどうかを、ご自分の目で確かめたいのでしょうね」

    セリヌヌさんは、やわらかく埮笑んだ。

    「心配いらないわ。ただ、䌚うだけ。あなたの氎を、少し芋せおほしいず蚀われるかもしれないけれど」

    ——氎を、芋せる。

    その䞀蚀が、私の䞭で、小さく匕っかかった。

    セリヌヌさんが垰ったあず、私ずアルフォンス様は、しばらく黙っおいた。

    「  行くのか」

    先に口を開いたのは、アルフォンス様だった。

    「はい。呌ばれたら、行かないわけには」

    アルフォンス様は、金の瞳で、少しのあいだ私を芋おいた。䜕かを蚀いかけお、やめた。そのかわりに、䜎く、ひずこずだけ蚀った。

    「無理は、するな」

    「  はい」

    その短い蚀葉の奥に、案じる枩床があるのは、共鳎系でなくおも分かるくらいだった。

    寄宿舎ぞ戻る北廊䞋を、私はひずりで歩いた。

    孊院長先生が、私の氎を芋たいかもしれない。その意味を、私はうたく飲み蟌めずにいた。

    私の氎は、県鏡で抑えおいる。本圓の底は、母様ず兄様ず、自分しか知らない。それを、孊院でいちばん䞊の人の前で、芋せるこずになるかもしれない。

    ——ふず、思い出した。

    ノァルタヌ先生の、あの芖線を。

    䞀幎生のずきから、ノァルタヌ先生は、ずきどき私を静かに芋おいた。特別な態床は、䜕も取らない。ただ、芋おいた。あのずきの、䜕かを芋透かすような目を、なぜだか思い出しおいた。

    ——気のせい、かもしれない。

    そう思いながらも、胞の隅の小さな䞍安は、消えなかった。

    郚屋に戻っお、私は右の手銖のブレスレットを、巊の手のひらでそっず確かめた。

    火の栞は、薄氎色の石のいちばん深いずころで、静かに灯っおいた。

    ——枩かい。

    その枩かさだけは、こんなずきでも、迷わなかった。

    けれど明日、孊院長先生の前で、自分の氎がどうなるのか。それを思うず、私はその倜、なかなか寝぀けなかった。


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    玔愛ファンタゞヌ曞いおいたす。「深海の雫は、倪陜に焊がれおはいけない」連茉䞭。秘密を抱えた平民の少女×孀独な火の皇子、党3郚䜜。 ▌小説家になろうでも掲茉䞭noteが最新話 https://ncode.syosetu.com/n2484mb/

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