白黒つけないパンダ
のそり…のそり…
弛んだ腹を少し恨めしそうに抱えながら、
背中の竹籠から長いトングを取り出した。
ヒョイっと摘み上げたのは、
ダレかのナニカ。
不思議な事に汚れているようにも輝いているようにも見える。
まぁ、いつものこと。
トングなんかで摘んだくせに、傷がつかないように黒い手で拭いてみた。
いつもの「違和感」ってヤツだ。
其処彼処に転がっていて、もう誰も見向きもしない。
むしろ、邪魔くさそうに道端に追いやる者もいる。
また、ポツリと
まぁ、いつものこと…
黒い両手で落とさないように、クルクルと回してよく見てみる。
違和感が薄ぼんやりと浮かび上がってきた。
すりガラスの向こう側の景色のように。
鼻がナニかに触れていることにも気づかずに、白黒の顔を近づける。
表情は全く変わらない、いや表情はそもそもあるのだろうか。
だけど、見えてきたのだろう。
真っ黒な瞳が少しだけ揺らめいていた。
白黒の顔とは違う顔も鼻が触れるほどにこちらを覗き込む。
気づいて欲しそうにも見え、拒絶のようにも見える。
真っ黒な瞳の揺らめきは変わらない。
ただ、違和感だけを感じ取っている。
そう、感じ取っているだけだ。
特に何を解決しようとは考えない。
答えを持ちわせていないのだから。
右と左、ハレとアメ、光と闇。
ましてや善と悪なんて決めようもないのだ。
自身は白黒のカラダなのに、
白黒をつけることはきっとない。
だけど、ダレかのナニカを背中に背負い込むことはきっと終わらないだろう。
