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Photo byvoice_watanabe

空からじいちゃんが降りてきた

    藤井るり


    私は3人兄姉の末っ子で、一番最後ということもあってか祖父母は私を可愛がってくれた。
    赤ちゃんの頃の私は、オムツのCMに出れそうなくらいべらぼうに可愛く、でも人見知りですぐ泣く子だったため、周りの大人は私から一定の距離をとっていた。
    そんなんじゃCM女王にはなれない。

    祖父母はもちろん、孫は全員可愛いと、みんなをとても可愛がってくれていたけれど、末っ子の私はいつまでも小さいイメージが抜けないのか、私が大きくなってからも小さい子をみるような目で私を見ていた気がする。


    私は霊感がある方ではない。
    霊感がある方々は普通に生活しているだけで大変と聞くので、私は鈍感で良かったと思う。
    むしろ心霊系とかホラーとかそういったものは苦手で、見ようともしないし、うっかりテレビで特集などされていたらすぐにチャンネルを変える。


    そんな私に今でも忘れられない不思議な出来事が起こった。


    我が家は転勤族で、その頃も転勤に伴う引っ越しで忙しくしていた。
    転勤に伴う引っ越しは、準備期間も短く、おまけに夫は通常の仕事に加えて引き継ぎ業務が忙しい。
    毎回、実質私1人で行う荷造り、開梱作業にほとほと嫌気がさしていた。

    平日1人で荷造りしていた時、突然背中が暖かい何かに包まれた。
    その時私は一瞬で、亡くなったじいちゃんが来たと思った。
    これは自分でも謎なのだが、本当に何の迷いもなくそう思ったのだ。
    そして次の瞬間には涙を流していた。
    流していたというより、流れていたという表現の方がしっくりくる。
    だってあの時、悲しいとか嬉しいとかそういった感情は何もなくて、
    ただ、あ、じいちゃんが来た。涙がツーって感じだったから。
    泣こうと思って泣いた訳でも、泣きたくて泣いた訳でもない。

    その時、涙が流れたことに驚きつつも、あぁ私だいぶ疲れてるのかもと思い、しばらく作業を中断した。


    じいちゃんが空から降りてきたのは後にも先にもこれっきりで、と言いたいところだが、
    もう一度じいちゃんは来てくれた。

    昨年だったか今年だったか、何月だったか覚えてない。
    また同じように背中がふわっと暖かくなって包まれる感じがした。
    お、またじいちゃんが来たとその時も一瞬で自然とそう思い、2回目という事もあって私は落ち着いていた。
    せっかく来てくれたなら話し掛けてみるかと思い、声に出して言ってみた。

    「じいさま、来たんか。」

    ………。

    返事は無かった。あったら怖いけど。

    私は続けて、
    「また新しい土地で頑張ることになったからまた見守っててな。よろしくね。よろしく頼んますね。」
    と言った。

    シーンとして静かだった。音がしたら怖いけど。

    そもそも寡黙なじいちゃんだったので、べらべら返事をされたら偽物じゃないかと疑ってしまう。

    今までじいちゃんが来たのはその2回。
    引っ越す前とか引っ越した後のタイミングで来てくれている。
    そして私が1人で部屋にいるとき。


    また来てくれるだろうか。
    私が今後どこに引っ越しても、じいちゃんはすぐに私の居場所を見つけてくれるだろう。
    私はじいちゃんを忘れない。
    私が忘れさえしなければ、じいちゃんの魂はずっと生き続けるから。

     
     
     
    30代専業主婦 クソ真面目。温厚だが、鬱憤を限界まで溜めて、些細なことがきっかけで噴火する。 友人からはマイナスイオンが出ていると言われる。自宅に招くと、皆寝る。 趣味は読書、可愛いものをコレクションすること。シール帳作り。 noteでは、日記として日々感じたことを書き連ねたい。

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