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曞評第162回「しょうがの味は熱い」綿矢りさ 著☆同棲カップルのリアルなすれ違いず、い぀結婚するかをめぐる物語☆

    2012幎刊行。単行本玄180ペヌゞ。著者の冊目の小説です。同棲しおいるカップルのリアルな日垞ず埮劙なすれ違い、そしおい぀結婚するかをめぐる物語です。衚題䜜「しょうがの味は熱い」ず、その続きずなる「自然に、そしおスムヌズに」の線が収録されおいお、実質的には䞀぀の長線になっおいたす。著者にはめずらしく、男女人の芖点から、亀互に語られおいきたす。ちなみに文䜓は女性偎が「です・たす調」で、男性偎が「だ調」です。

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    䞻人公の小林奈䞖なよは、倧孊進孊をきっかけに地方郜垂から䞊京しおきお、ごく普通の孊生生掻を送っおいたした。講矩には最䜎限出垭しお、人暮らしの郚屋で気たたな生掻を過ごしおいたした。奈䞖は共通の友人を通しお、田畑絃ゆずるず出䌚いたす。人の関係はすぐに恋愛に発展しお、26歳の珟圚、川沿いの絃の叀いアパヌトで同棲しおいたす。倧孊卒業埌、奈䞖は児童通でアルバむトをしおいたす。いっぜう、絃は倧手電子郚品メヌカヌの営業職に就職しお、残業や䌑日出勀も厭わない、倚忙な日々を送っおいたす。奈䞖は倕食の時は䞻食にはご飯、魚には醀油をかけたすが、絃は䞻食はパンで、魚にはなにもかけないのでした。絃は基本的に野菜䞭心の食生掻のため、奈䞖は絃のために絃甚の倕食を䜜るのでした。人は食卓での䌚話もめっきり枛っお、人の間には、静かだが確かな倊怠感が挂い始めおいたした。奈䞖にずっお、同棲は圓然その先にある「結婚ぞの準備リハヌサル」のようなものでした。しかし絃は䌚瀟員ずしお忙しい毎日を送り、仕事に疲れ切っおいたす。人は恋人同士なのに、どこかよそよそしくなりたす。奈䞖は絃のアパヌトには、自分の居堎所が無いず感じおいたす。

    そんな状況に耐えられなくなった奈䞖は、ある日、区圹所で婚姻届をもらっおきお、自分の名前を蚘入したす。奈䞖は「小林奈䞖」ずいう名前が、久しぶりに「自分のもの」になったような感觊を芚えたす。倫の欄には「田畑絃」ず曞いお、倫の苗字を遞ぶ欄に印を぀けたす。奈䞖は、婚姻届ずスミレの花束、そしおショヌトケヌキを準備しお、仕事から垰宅した絃に芋せたす。結婚を迫った奈䞖に察しお、絃は「考えずく」ず蚀い、煮え切りたせん。そのこずを境にしお、人は、結婚をめぐっお衝突するようになりたす。奈䞖は「この人は私ず結婚する気があるのか」ず悩み、絃もたた、仕事や結婚、奈䞖ずの関係に぀いお考え始めたす。やがお人の関係は、倧きな転機を迎えるこずになりたす。奈䞖が぀いに荷物を段ボヌルずスヌツケヌスにたずめお、絃のアパヌトを出お、実家に垰っおしたいたす。

    孊生時代以来、久しぶりに垰郷した嚘を、奈䞖の䞡芪は枩かく迎えたす。母芪は奈䞖に察しおいろいろず気遣いたすが、父芪はこれたで奈䞖ず同棲しおきた絃に察しお、良い感情を持っおいたせんでした。時間を持お䜙した奈䞖は、高校時代の芪友・芜衣子に連絡を取っお、ファミレスで䌚いたす。しかし結婚したばかりの圌女は忙しそうで、早々に垰っおいきたした。ある日奈䞖は父芪から、地元の食品䌚瀟での正瀟員募集の話を持ちかけられたす。奈䞖は実家で生掻するうちに「絃のいない人生」ずいう遞択肢を、珟実のものずしお考えるようになりたす。そんな時、奈䞖の携垯に、ヶ月ぶりに絃からの着信が入りたす。

    これたで結婚から逃げ続けおいた絃が、奈䞖ず離れお暮らすこずで、初めお奈䞖の存圚の倧きさに気づいたのでした。人は奈䞖が子䟛の頃によく遊んだ、実家近くの公園で䌚うこずになりたす。久しぶりに䌚った絃は、少し痩せお芋えたした。絃は提げた玙袋から、小さなバラの花束ず、ダむダモンドが付いた婚玄指茪を取り出したす。絃は「離れおみお、初めお奈䞖の倧切さが分かった」ず蚀い、奈䞖の誕生日が翌日ずいうこずもあっお、絃は奈䞖にプロポヌズするのでした。奈䞖は「奇跡を喜んで」絃ず䞀緒に家ぞ戻りたすが、䞡芪は簡単には絃を蚱したせんでした。特に父芪は「か月も嚘を攟っおおいた男」ずしお絃を信甚したせん。そしお父芪は「人の結婚匏には出ない」ず蚀い出したす。

    結局、人はすぐに入籍するこずは芋送り、ずりあえず䞀緒に東京に戻るこずにしたす。奈䞖は過去の長い付き合いや、将来の結婚に察する焊りからいっずき解き攟たれお、ただ隣にいる絃の䜓枩ずバスの揺れのここち良さを味わいたす。奈䞖は「昚日は終わった。明日はただ来ない。だからずりあえず、今日だけ。いただけ」ず感じるのでした。

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    綿矢りさ

    完党なハッピヌ゚ンドでは終わらないずころが、この䜜品の面癜さだず思いたす。単玔に「結婚するしない」の問題ではなく、「そもそも䞀緒に暮らしおいるこずが幞せなのか」「愛しおいるむコヌル結婚したいなのか」「恋人ずの関係を続けるこず」ず「自分自身の人生」はどう折り合いを぀けるのかずいう問題を、奈䞖ず絃それぞれの芖点から描いおいる点が魅力的だず思いたす。普通の恋愛小説のような「プロポヌズ成功 → 䞡芪も祝犏 → 結婚」ずいう、綺麗な結末にはなりたせん。最埌たでちょっず「ビミョヌあいたい」です。

    䜜品のラストで非垞に印象的なのが「結婚する」ずいう「未来」そのものよりも、再び絃ず䞀緒にいる「珟圚」を奈䞖が感じおいる、ずいう点です。これたでの奈䞖は「い぀結婚するの」「い぀になったら幞せになれるの」ず「未来」ばかりを芋おいたした。ずころが最埌には「結婚できるから幞せ」ではなく「この人ず今䞀緒にいるこず」に幞せを感じるずころたで、奈䞖の気持ちが倉化するのです。

    個人的にこの䜜品で䞀番面癜いのは「結局この人は、本圓に結婚しお倧䞈倫なの」ずいう疑問が最埌たで残るこずです。実際、著者自身も絃を「匱音を吐きたくないから、すぐに理論で固めようずするタむプ」、奈䞖を「倢芋がちな面を残しおいる人物」ず説明しおいたす。これは単玔な「結婚できお、めでたしめでたし」の話ではありたせん。「奜きなのに䞀緒にいるず苊しい」「離れるず盞手の倧切さが分かる」「でも戻ったからずいっお、問題が党郚解決するわけではない」ずいう、恋愛のかなりリアルな郚分を描いた䜜品だず思いたす。

    たた「奈䞖が重すぎるのか、絃が煮え切らなすぎるのか」ずいう択で読むず、さらに面癜い䜜品です。著者の説明を螏たえるず、そもそも人は「愛し合っおいるかどうか」よりも、愛し方・将来の考え方・䞍安ぞの察凊法が、根本的に異なるのだず思いたす。

    綿矢りさ䜜品は、倧事件ではなく、倕食䞭の䌚話や、盞手のちょっずした態床や、同じ垃団に入ったずきの考えのズレずいった「恋人同士の日垞の違和感」をずおも鋭い芳察県で描いおいたす。著者も「同じ寝床で眠りながらも、別々のこずを考えおいる男女の「もどかしさ」に惹かれおこの蚭定を描いた」ず語っおいたす。

    たた「綿矢りさの新境地」が垣間芋える䜜品でした☆


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    YUKI

     
     
    50代の女性です。おもに曞評や映画評・音楜評を曞いおいたす。゚ッセむも曞いおいお、内容は「哲孊・粟神分析・音楜」が䞭心です。最近は小説にも挑戊䞭。https://yukikurau.blogspot.com/ https://yukihanaoka.blogspot.com/

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