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おまえは邪悪なベイマックス

いろいろわかる体重計を買った。

いままで長いこと、針が振れるアナログタイプのものを使っていた。数字に囚われるより「大体〇kgくらいだよん」程度に寛容なほうがありがたい。

数年前に初めて試みた本格的なダイエットをきっかけに、食への異様な執着と探究の道のりが始まった。パン屋にハマり、1日で7店舗巡るような変態生活を続けていた時期もあった。幸い運動が苦ではなく、なんやかんやで食欲と体型維持を無理やり両立する日々が続いていたのだが。

山形に引越して1年、ヨガ・ピラティスの解約、車生活、デスクワーク。パン屋は少ないが豊かな大地の恵みすべてがわたしを身も心も豊かにした。

長らく「まだセーフだよん♪」という顔をしていたはずのアナログ体重計が、そのアバウトさをもってしても「もうだめです」とわかる数字を指すようになっていた。重量のみでさえ雑な判定しかできない、重くて野暮ったい体重計がどうも自分と重なった。

しゃあなし、重い腰(物理)をあげる。 

メタリックでスタイリッシュな体組成計が届いた。
連携したスマホアプリに表示された基礎代謝1106kcalという数字を見て、絶望に天を仰ぐ。適当言ってんじゃねえだろうな……
コメダのたまごサンドたったひとつで1日の枠をほとんど使い切ってしまう。
この世は不条理で不平等だ。身長180cmの筋肉質な大男に生まれていればみそカツパンをまるまる食べたって余裕でおつりがくるじゃないか。
そんなのはずるい。ゆるせない。コメダもコメダでゆるせない。たまごサンド1食1057kcalて。

同時にこのペラペラの板が測れる項目の多さと性能に感動した。

おまえ、乗るだけでなんでもお見通しなのか。

そのうち貯蓄額とか黒歴史とかスマホの検索履歴とかクレカのパスワードなんかが表示されるようになってもおかしくない。
ああ、暴かれる。

暴くだけ暴いてケアしないヘルスメーターなんて、邪悪なだけのベイマックスじゃないか。
とはいえ、こいつに怯んでわたしがベイマックス体型になるわけにはいかない。許容できる体に戻るまで、わたしはこれから毎日律儀におまえに暴かれる。

ベイマックス、もう大丈夫だよ。

1日でも早くそう言える日が来ることを祈りながら、ひとまず冷蔵庫を開けようとする無意識な手を食い止めた。


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