メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【創䜜倧賞2026】台所でせかいを぀なぐ 第話 䜕でも薔薇子ずバラ子

    〈架空ず珟実の間で 薔薇は気高く咲いお〉

    1. バラ子カタヌル出身 ― たぶん

    バラ子さんは、たしかカタヌルからやっお来た人だった。

    薔薇奜きだずいう共通点ですぐに仲良くなったけれど、正盎に蚀えば、「カタヌル」ず聞いおも、䜕ひず぀思い浮かばなかった。

    それが少し残念で、
    同時に、申し蚳ないような気持ちにもなった。

    ずいうのも、ここにいる人たちは、
    日本のこずをずおもよく知っおいるのだ。

    バラ子さんの提案で、
    これから開かれる倕食䌚では、

    「出身囜を名乗らずに䌚話を楜しむ」

    ずいうルヌルが決たった。

    バラ子さんは、バラが倧奜きだった。

    最初は、響銙ず話しおいた架空の人物――
    「䜕出茂薔薇子なんでもばらこ」に重ねお、
    自然ず圌女を「バラ子さん」ず呌ぶようになった。

    1. 䜕出茂薔薇子なんでもばらこ ― 架空の䞭の情熱

    䜕出茂薔薇子《なんでもばらこ》は、
    か぀お響銙ず恵庭のステンドグラスずいうカフェで、その人生を深掘りした架空の人物である。

    圌女は人生を、
    たるごずバラに捧げた人だった。

    朝から晩たで、
    頭の䞭は薔薇でいっぱい。

    子どものころの圌女は、
    前の垭の戞川䞀ずがわはじめが
    十問すべお解き終えおも、
    圌女はただ名前を曞いおいる途䞭だった。

    それでも倧人になっおからも、
    圌女は倉わらず薔薇を愛し続けた。

    雚が降ればバラに傘を差し、
    颚が吹けば毛垃をかけ、
    バラのためなら車庫も明け枡す。

    車は、積雪䞀メヌトルでもおかたいなしに野ざらし、
    車庫は肥料や腐葉土の眮き堎になっおしたう。

    冬は、
    バラ関係の本をすべお読みあさり、
    研究に䜙念がない。

    尊敬する人物は、
    ナポレオンの皇劃ゞョれフィヌヌ。

    圌女は、その名を
    「じぇせふゅヌゆ」
    ず呌んでいた。

    ただひず぀困った点は、
    すべおのガヌデナヌが、
    自分ず同じであるべきだず
    信じお疑わなかったこずだ。

    「寒いのに、どうしおバラをほっずくの」

    そう真顔で問われ、

    「いや、人間が寒いから」

    ず返しおも、
    その意味は䌝わらない。

    けれど、
    努力の䞊に築かれた圌女の庭の矎しさは、
    䜕より雄匁にその偉倧さを物語っおいた。

    圌女の“バラの惑星”に足を螏み入れた者は、
    みなバラのしもべずなっおしたう。

    ゚ンゲル係数ならぬその園芞係数は、
    きわめお高い。

     バラ子ず䜕出茂薔薇子 ― 愛され、育おられるずいうこず

    架空の䜕出茂薔薇子を、
    響銙ずずもに䌞子はずっず尊敬しおいた。

    けれど、バラ子には、
    たた別の違う“尊さ”を感じた。

    バラ子は、
    バラを育おたずいうよりも、
    バラそのものに育おられたような人だった。

    薔薇がこの䞖に生たれた理由を、
    たるで肌で感じ取っおいるようだった。

    そしお薔薇に泚がれた、
    さたざたな人生の思いたでも、
    圌女は慈しんでいた。

    圌女が議長を務めるず、
    䌚議は䞍思議ずスムヌズに進んだ。

    誰に察しおも偏芋がなく、
    沈黙を恐れず、
    自然な笑顔で、
    い぀のたにか皆をたずめおいた。

    「さお、呜名は䌞子がしおくれたわ。
     わたしはバラ子。それでいいかしら

     トレヌナヌ、あなた、日本語はどれくらいできるの」

    「いっ぀、パヌフェクト」

    「パヌフェクトっお、英語じゃない」

    「完璧さ」

    「じゃあ、䌚議は日本語で進めたしょう
     いいわね」

    䌞子に向けお、

    「最埌の䞉十分は、議事録を芋お、
     倉な日本語がないか確認しお。

     翻蚳アプリはフル掻甚したしょう。
     それなら、みんな倧䞈倫よね」

    「おっけいOK。了解」

    ず、トムずゞェリヌが返す。

    トレヌナヌも肩をすくめ぀぀、

    「たあ、期埅しおるよ。バラ子」

    そしお、
    昚日ギタヌを奏でおいた圌にも尋ねた。

    「ギタヌは」

    「僕の呌び名はギタヌだね。
     君のいうずおりに僕はするさ〜♪
     なあ、ダビデ」

    「ああ」

    この二人は、
    ギタヌを通しお䞀晩で打ち解けたようだった。

    倕食䌚のあず、
    䞻圹はギタヌになった。

    圌も日本語が堪胜で、
    「いずしの゚リヌ」を
    よく歌っおくれた。

    昌間、
    䌚議で倚少ギスギスした空気になっおも、
    この歌を聎けば、
    翌朝にはたた爜やかな気持ちに戻れる。

    やっぱり、
    歌の出だしっお倧事なんだ。

    “barako”ずいう響きも、
    どこか音楜のように心に残った。

    ◇

    この物語は連茉です。

    次話
    第話 「数滎に映る未来――暪浜氎道に芋る、驚異の数倀 」ぞ぀づく


    画像
    この物語はフィクションです。実圚する颚景や蚘憶を思わせる描写が含たれる堎合がありたすが、登堎する人物・出来事・堎所は物語ずしお創䜜されたものです。
     
     
    キッチンに立ちながら、生たれた物語。 長線連茉小説『台所でせかいを぀なぐ』 「離れおしたったものの間に、小さな橋をかける物語です。 忘れかけた぀ながりを、そっずだれかに手枡しおいけたら幞せです。

    あなたぞのおすすめ