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時のぬるみ


    空は霞みて色定まらず
    風はそよぎて行方を告げず
    雨ともならぬ雲の下
    昼は長く 音遠し

    急ぐべきことも思い出せず
    忘るべきことも忘れ得ず
    ただ、ぬるき湯に身を浸すが如く
    時のみゆるりと流れゆく

    かつて交わせし言の葉も
    今は水面の月影の如し

    掬えば崩れ
    追えば遠のき
    されど胸の底にはなお
    淡き波紋を残したり

    世はしばし夢と現のあわいにて
    無理に心を奮い立たせずともよし
    無理に憂いを追い払わずともよし

    ただ縁に身を預け
    移ろう雲を眺めつつ
    名もなき思いとともに
    静かに刻を送りたりけり


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