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子どもの成長を感じた日



子どもの成長を感じる瞬間は、人それぞれだと思います。

勉強ができるようになったとき。
受験に合格したとき。
就職が決まったとき。

もちろん、それも親として嬉しい出来事です。

でも、私が一番「成長したな」と感じたのは、
長男が一人暮らしを始めて
初めて家に帰ってきた日のことでした。

長男は浪人中、予備校へ通っていました。

予備校までは、自宅から電車と自転車を乗り継いで約1時間。

毎朝一番早い電車に乗って出かけ,
帰ってくるのは終電近くという生活でした。

朝から夜まで勉強漬けの毎日です。

私は毎朝早く起きて、お弁当を二つ作りました。

一つは昼ご飯、もう一つは夜ご飯。

そして、まだ暗いうちに駅まで送り、
夜遅く終電で帰ってくる長男を迎えに行く。

それが一年間、わが家の日課でした。

朝早く起きることも、お弁当を作ることも、送り迎えをすることも、
私にとっては特別なことではありませんでした。

「受験を頑張る長男を支えたい。」

その気持ちだけで続けていました。

やがて大学へ進学し、一人暮らしが始まりました。

ある日、久しぶりに帰省した長男が、
夕食を食べながらぽつりと言いました。

「家に帰ってきたら電気がついていて、ご飯ができているって、
本当にありがたいことなんだね。」

その言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなりました。

一人暮らしを始めて、
自分で買い物をし、ご飯を作り、洗濯をして、掃除をする。

疲れて帰ってきても、誰かが待っていてくれるわけではありません。

そんな毎日を過ごしたからこそ、
家では当たり前だったことが、
実は当たり前ではなかったと気づいたのでしょう。

私は、「ありがとう」と言われたこと以上に、
そのことに気づける大人になってくれたことが嬉しかったのです。

子育てをしていると、毎日の家事や送り迎えは、
終わりのない繰り返しのように感じることがあります。

でも、その積み重ねは、
子どもの心の中にちゃんと残っています。

そして、いつか自分が親元を離れたとき、
その意味を理解してくれる日が来るのかもしれません。

私は、長男のあの一言で、
「この子は本当に成長したんだな」
と感じました。

子どもの成長とは、
勉強ができるようになることでも、
いい学校へ進学することでもありません。

誰かが自分のためにしてくれていたことに気づき、
ありがたさを素直に伝えられる人になること。

それこそが、親として一番嬉しい成長なのだと、長男が教えてくれました。
#創作大賞2026

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