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夕方4時半の学校図書館

    ちびたぬき

     夕方4時半。
     図書室の時計の針が、その位置を指すころになると、光の色が少しずつ変わってくる。
     西の窓から差し込む陽ざしが弱まり、カーテンの端が金色に透けて、棚の背表紙をやさしく照らす。

     私は司書室の自分の机で、明日の授業の準備をしている。
     図書委員が返却された本をカートに置きに行く音がする。
     遠くで、学校司書さんが「そろそろ閉館です」と穏やかに呼びかける声が聞こえる。
     その声を合図に、私はいつものように立ち上がり、図書委員に「お疲れ様。もう帰っていいよ。」と声をかけ、カーテンを少しずつ閉めていく。

     夕方の空気がカーテンの隙間からふわりと入り込む。
     本棚の間には、まだ数人の生徒が残っていて、名残惜しそうに本を抱えている。
     「もうちょっとだけ……」という気持ちが伝わってきて、こちらまで微笑んでしまう。

     机の上には、読みかけの小説、転がったままの鉛筆、ページの途中に挟まれたメモ。
     それぞれの小さな時間が、この場所に静かに残っている。


     最後の生徒が本を返却して帰っていくと、
    館内はすっかり静かになって、空気の音だけが残る。

     図書室というのは、人の気配が消えたあとにも、言葉の余韻が漂っている不思議な場所だ。

     私は最後の電気を消して、息をつく。
     ──今日もよく働いたな、と思う瞬間。

     外はまだ完全に暗くなる前の色。
     夕方4時半の図書室は、昼と夜のあいだにある静かな港のようだ。
     明日もまた、この場所に本の香りと生徒たちの声が戻ってくる。

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