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    <title>ぽつり</title>
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    <lastBuildDate>Thu, 08 Oct 2026 11:13:49 +0900</lastBuildDate>
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      <title>本当の素直</title>
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      <description><![CDATA[<p name="28C27E76-DF38-4A8E-9C18-55DF09D426F2" id="28C27E76-DF38-4A8E-9C18-55DF09D426F2">28歳は、大変な一年だった。<br>意気揚々と始めた配信もエッセイも、<br>結局何も手につかなかった。<br><br>頭が完全に真っ白になるのを感じていた。<br>心が完全に空っぽになるのを感じていた。<br><br>そう。今まさに、頭も心も働かない状態で、<br>無理矢理言葉を繋ぎ合わせている。<br><br>布団の中でずっと配信を見ていた。<br>TikTokではなく、Twitchで。<br><br>TikTokはアプリを削除した。<br>僕には合わなかった。<br>誓いの言葉まで書いたのに。<br><br>ガジュマルがどうなったかは、言いたくない。<br><br>何も感じなかった。<br>何も出来なかった。<br><br>どれだけnoteに素直な気持ちを書き殴ろうと、<br>最終的には、noteを書かなかった時間の素直さには勝てないと思う。<br><br>書くことで素直になろうとしていたけれど、<br>本当に飾らない時は、何も書けない。<br><br>こんな文章、世に出したくない。<br>でも、やっぱり自分の文章を世に出したい。<br><br>でも、こんな文章、世に出したくない。</p><br/><a href='https://note.com/potsuri01/n/n35f4073e41ed'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ぽつり</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 26 Sep 2026 04:00:09 +0900</pubDate>
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      <title>剪定</title>
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      <description><![CDATA[<p name="25B51E3C-1EE5-459F-9E85-0005E285C7DB" id="25B51E3C-1EE5-459F-9E85-0005E285C7DB">7月の始め頃、ガジュマルを植え替えた。その数週間後、そろそろ根付いてきたかなという頃合いを見て、剪定をすることにした。枝が不自然に長く延び、葉も散在してしまっていたので、思い切って枝葉を全て切り落とすことに決めた。形を整える為に、一度この子を丸坊主にしようと思った。<br><br>剪定は初めてだった。伸びている枝を切ることに一瞬躊躇いはしたが、一度ハサミを入れると拍子抜けするほどあっけなく、その作業は数秒で終わった。<br><br>切った枝は束にしてゴミ箱へ捨てた。そして僕は、ガジュマルの不格好だった過去を全て無かったことにした。<br><br>そこから数日間、少しだけ落ち着かない日が続いた。なかなか新芽が顔を出さなかった。胸がざわつき、本当に新芽が出てきてくれるのかと不安になった。<br><br>丸坊主になったガジュマルを眺めていると、ささやかな罪悪感が湧いた。<br><br>僕は、不格好なガジュマルが恥ずかしかった。誰に見せるでもないのに、何故か、長く延びた枝が恥ずかしかった。ガジュマルが徒長してしまったのはきっと自分の管理不足に原因がある。そう思うと、長く延びた枝は、その自分のずぼらな性格を象徴しているように見えて、目を向けられなかった。<br><br>だから、剪定は世話ではなかった。ガジュマルを綺麗な形に整えたのは決してガジュマルの為ではなく、僕の為だった。僕がずぼらに過ごした時間を、ただひた隠しにしたかった。<br><br>このまま新芽が出てこなければ、僕は自分のエゴの為にガジュマルを虐げたことになる。そんな風に思えた。<br><br>丸坊主のガジュマルから発せられる沈黙は、まるで僕の罪を静かに訴えているようだった。<br><br>人間は剪定できるのだろうか。<br>ふと、そんな疑問が頭をよぎった。<br><br>植物は、剪定すれば徒長したところをなかったことにできる。丸坊主にしてしまえば、一から仕切り直すことだってできる。<br><br>では、人間はどうか。<br>植物のように、ハサミで一瞬にして過去をちょん切ることはできない。失敗した経験も、無駄に過ごした時間も、決して無かったことにはできない。<br><br>なんだか、やるせなくなった。<br>僕は、自分の過去を無かったことにしたいのかもしれない。全て仕切り直して、一から始めたいのかもしれない。<br>だからきっと、人間の剪定なんかについて考えた始めた。<br><br>当たり前だけれど、人間は自分の過去を無かったことにはできない。<br>その事実に改めて気付いて、やり切りきれない思いが胸に居座った。<br></p><p name="05102F5B-A6F3-4EDE-96C2-0248FF58813C" id="05102F5B-A6F3-4EDE-96C2-0248FF58813C">上手く働かない頭で、無理くり言葉を連ねてみた。布団から一歩も動けない僕は今、きっととても疲れている。<br><br>今は難しいことを考えるのはやめて、ただぼーっとしていたい。<br>「自分の過去を受け入れて前向きに」というような文章で終わろうと思ったけれど、どうやらそんな元気もない。</p><br/><a href='https://note.com/potsuri01/n/naeaf6b1671a3'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ぽつり</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 15 Aug 2025 20:39:31 +0900</pubDate>
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      <title>誓いの言葉</title>
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      <description><![CDATA[<p name="B400D65B-C9D8-4521-BBC4-818181CA7BA5" id="B400D65B-C9D8-4521-BBC4-818181CA7BA5">2025年、28歳を目前に意気揚々とTikTokの世界へ飛び込み、華々しく配信デビューを飾った。そんな自分に対して思う。<br>あまりにも、時代遅れ過ぎる。<br><br>本当は華々しくも何ともなく、誰にも気付かれないところで、慎重にゆっくりと足を踏み入れた。正直、配信を始める前の僕にとって、TikTokは縁もゆかりもない遠い世界の話だった。<br><br>本当に何も知らないところから始めたから、配信をするにあたって他の人達がどんな振る舞いをしているのか学びたくなった。おすすめに出てきた人たちの配信を男女問わず見学し、参考にできるところを探した。<br><br>人が集まっている配信者さん達は皆とても元気で、常に笑顔で、堂々としていて、ハキハキと話していて、リアクションが大きくて、ずっと楽しそうだった。そうした姿を眺め続けていくうちに、少しずつ、誰も彼も同じに見えてくるようになってしまった。<br><br>営業マンが皆一様に不自然な清潔感を手に入れるように、インスタ女子が皆一様に作為的な自然体を纏うように、配信者もまた、皆一様に、おのずと奇妙な明るさを振り撒いてしまうものなのかもしれない。<br><br>本来自己表現をする為の配信という場で、好印象を得る為に段々とテンプレート化していき、個性を失うのは、なんだか皮肉で滑稽なことだなと思った。<br><br>勿論、もっと突き抜ける人がいるのも分かる。それに、僕は自分のおすすめばかり見ていたから、似た人たちが偏って出てきていた可能性もある。配信者の卵どころかまだ産まれてすらないような奴が偉そうに言えることなんて何一つ無いけれど、ただ率直に、なんとも言えない違和感を抱いてしまった。<br><br>また、タイムラインのおすすめにも、配信者が投稿した動画が流れてくるようになった。その中には、「ギフトを送れないリスナーに優しい言葉をかける動画」や、「金に目が眩んだ配信者に苦言を呈する動画」などがあった。その動画の中の人たちはリスナーと同じ目線に立って話をしていて、とてもリスナーに寄り添っていた。<br><br>「お前、それ本当か？」と、思った。<br>BGMにわざとらしく切ないピアノの旋律を流して、その上甘ったるいような声で語りかけて。<br>それは本当にお前の本心なのか？ 誰でも言えるような体裁の良い言葉を並べて、気持ち良くなってんじゃねえぞ、と思ってしまった。<br><br>配信者というのは、おそらく腹黒い生き物なのだろう。ただ、自分を売るという行為に腹黒さが入り込むのは、避けては通れない道だということも理解できる。<br><br>何故こんなことを書いたのかというと、<br>「じゃあ、お前はこの先どうなっていくんだ」<br>と、自分にナイフを突き付けたかったからである。僕も、これから先、腹黒さを身に付けてしまうかもしれない。<br><br>僕だって、沢山の人に見てもらいたい気持ちがある。最近は特に、多くの人に自分のことを見つけてもらい、最終的に自分の文章に辿り着いてほしいという願いが強くなっている。<br><br>その為に、あの手この手を使って自分を魅せようとする。どうしたら人の目に留まるのか、どうしたら興味を持ってもらえるのか、そんなことばかり考えている。就活生が面接練習を繰り返すように、僕も、好印象を得る為のシミュレーションを頭で何度も繰り返している。<br><br>僕の武器の一つに、素直さがあると思う。ただ、それを武器だと自覚している。なんてあざとい奴なんだ、と流石に自分でも嫌気がさす。<br><br>僕は、素直でいることの価値を知っている。だからこそ、素直であろうとする自分の飾らなさは、もはや“素直”とは呼べないとも思う。等身大でいようとするその姿勢は計算と取られても仕方ないし、実際それが、僕を演出する一つになっている。<br><br>素直でいることを褒められると、心の中でほくそ笑む。僕は自分の飾らなさをみんなが食べやすい大きさに切って、綺麗に盛り付けて提供しているだけに過ぎない。美味しく食べてくれてありがとね、と思う。<br><br>僕は、飾らなさを飾っている。自分の等身大を探しながら、その形に自分を整えている。<br>「この人、ありのままだな」と思ってもらう為に、必死にありのままを演じている。<br><br>自分に突き付けたナイフでゆっくりと皮膚を裂き始める。けれど、これすらも演出の一つになっている。<br><br>僕は、人の内臓を見たがる人がいるのを知っている。内臓をひっくり返した時の血生臭さに、人が群がるのを知っている。だからこうして、自分で自分の皮膚を裂いている。<br><br>痛いし、臭いし、本当はこんなことやめてしまいたい。でも、ドロドロの血塗れになりながら内臓を曝け出している僕の顔は、おそらくヘンテコに笑っている。<br><br>黙っていると、腹の底に黒いものが溜まっていくような感覚がある。それを掻き出す為に、自分の皮膚を裂きたくなる。痛いし臭いけれど、その臭みにはどこか、心地良さも孕んでいる。自分を実感できる安心感と、人の目を引けるのではないかという高揚感は、特に病みつきになる匂いがする。<br><br>けれど、それだけではない。僕が自分にナイフを突き付ける本当の理由は、別にある。それは、ただ怖いからである。当たり前だけど、単純に、人にナイフを突き付けられるのがどうしようもなく怖い。<br><br>人に握られたナイフなんて、いつ、どこを、どれだけ切られるか分からなくて怖過ぎる。自分の持ったナイフなら、切り口も、傷の深さも自分で決められる。<br><br>自分の素直さがどうだなんて、自分の飾らなさがどうだなんて、自分を斬ったように見せるパフォーマンスでしかない。皮膚を少し裂いただけで、骨には一切届いていない。</p><p name="7EEDA30A-C5F1-457B-AD09-B5FBC7D9E8E5" id="7EEDA30A-C5F1-457B-AD09-B5FBC7D9E8E5">僕は、誰かにナイフを突き付けられる未来にひどく怯えている。怖くてたまらないから、先に自分で皮膚を裂いて、見せびらかして、「もう刺さないでくれ」と懇願している。<br><br>今46人いてくれているフォロワーのみんな、そして、その中でもこうして今、これを読んでくれている物好きなあなた。僕はこれからどうしようか。もし僕がこの先奇妙な明るさを振り撒いても、見守ってくれるだろうか。ナイフを持たないでいてくれるだろうか。<br><br>僕は、覚悟を決めて配信をするしかない。<br><br>僕はこれから、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、皆様に楽しい配信を届けるために真心を尽くすことを誓います。<br><br>その道中、もし僕の腹の底が真っ黒になる時がきたら、また血を見せにくるからさ。</p><br/><a href='https://note.com/potsuri01/n/n696c1e6385fa'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ぽつり</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 21 Jul 2025 23:06:34 +0900</pubDate>
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      <title>執着心</title>
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      <description><![CDATA[<p name="8295911F-410A-4C75-9AAC-9F94DC408392" id="8295911F-410A-4C75-9AAC-9F94DC408392">きっかけは、何の変哲もない日常だった。<br><br>いつも通り洗濯物を干していた時、ふと気が付いた。僕は、順番に、そして向きにこだわって洗濯物を干している。左から順に、タンクトップ、Tシャツ、シャツ。そしてどれも、首元がきちんとこちらを向くように同じ向きで綺麗に並べられている。<br><br>あまりの規則正しさに、少しだけ不気味さを覚えた。それにこの干し方は、今日に限った話ではない。<br><br>でもこれは、本棚に漫画を左から順に並べるのと同じくらい必然なことではないだろうか。その並べ方が一番自然だし、寧ろそうでないと誰しも妙に落ち着かないものだと思う。<br><br>実際に自分の本棚を確認すると、やはり漫画は当たり前のように、左から巻数順に並べられていた。そして小説は驚くべきことに、出版社ごとにまとめられ、その中で作者の五十音順に並んでいた。<br><br>やはり、不気味だった。出版社ごとの同じ背表紙がずらりと並んでいる様は圧巻だったが、その整然さからは、異常なまでの執着心が感じられた。<br><br>この、自分の中にある、定型に対する異常なまでの執着心の原因は何なのか。そう考えた時、どうしても真っ先に浮かぶのは母親だった。<br><br>僕は、自分の持つ執着心の起点が気になり、自分自身の記憶を辿ろうと思った。これから、僕は過去の出来事を再体験することになるだろう。それはきっと、深い海に潜ってわざわざ海底にあるものを掘り起こしにいくようなもの。それでも、記憶を辿りたいという気持ちは止められなかった。<br><br>暗い海の中で海底を見つめる自分を想像して、少しだけ、身体が震えた。<br><br><br>母親は、僕に特別を求めなかった。けれど、普通であることは、当たり前のように求めた。「特別でなくていい。でも、普通であることは、決して何一つ取りこぼさないでいてほしい。」そんな母親の願いが、静かに、だけど確かに、僕に伝わってきた。<br><br>そして僕は、その母親の願いを叶えてあげられるような子ではなかった。<br><br>コップにお茶を注げば時々こぼしてしまうし、ノートに字を書く時は下敷きを忘れてしまうし、親戚などと集まって話せば、皆がたった今話し終えたばかりの話題をまた話し出してしまう、そんな子だった。<br><br>失敗した僕を見て、母親の言うことは決まっていた。<br><br>「あんた、何が出来るの？」<br>「私、そんなに難しいこと言ってる？」<br><br>そう問われると、自分でも自分に何が出来るのか分からなくなったし、母親の言う簡単な事すら出来ない自分を酷く嫌いに思った。<br><br>僕はいつからか、母親の顔を伺って生きていくようになった。母親の思う普通な子でありたいと強く思った。でも同時に、失敗ばかりの僕も、どうかそのままで愛してほしいと心のどこかで願っていた。<br><br>朝、布団の中で、テレビの音を聞いていた。朝から楽しげな、いつものニュース番組の音だった。目覚ましが鳴るまであと数分。僕は、緊張していた。<br><br>目覚ましが鳴った。三十秒ほど待って、音を止めた。今のは、自然だっただろうか。本当に寝ていたら大体何秒で音を止めるのか知らないから、毎朝不安だった。僕は今、ちゃんと自然を装えているだろうか。母親に、目覚ましが鳴る前から起きていたと見破られてはいないだろうか。<br><br>目覚ましを止めて、部屋から出る。なんとなく、それが出来なかった。僕みたいな奴は、きっと二度寝をする。そう思うと、まだ布団の中にいるのが自然な気がした。二度寝は大体何分くらいするものなのだろう。また一つ、不安が増えた。その不安を抱えたまま、瞼の裏をじっと見つめた。そのまま、時間が過ぎていくのをただただ待った。<br><br>母親が僕を呼ぶ声が聞こえた。怒鳴るような大きな声だった。本当はもうとっくに起きている。そして、出来ることなら早くこの不安から解放されたいと思っている。それなのに、やっぱり部屋から出られなかった。今ここで部屋を出たら、「やっぱり起きていたんじゃないか」と、見破られそうで怖かった。<br><br>部屋を出るタイミングを見失って、まだ布団の中にいた。そろそろ起きないと間に合わない時間になっているのは気付いていた。母親が部屋の扉を開け、ベッドのすぐそばまで来たのが分かった。足音が、「いい加減にしろ」と怒鳴っていた。気配だけで、母親が自分を見下ろしているのが伝わってくる。僕は、自然な寝顔を作れているだろうか。<br><br>洗い物で冷えた小さな手で口を塞がれ、もう一方の手で、鼻を摘まれた。段々と息が苦しくなって、やっと、今目が覚めたような振る舞いで身体を起こした。<br><br>これが、小学生の僕の、毎朝の日課だった。<br><br>どのタイミングで目を覚ますのか、どのタイミングで部屋を出るのか、何時何分、いつが正解なのか。僕はずっと、そこに一つの答えがあると思っていた。そして、その答えからズレないよう、必死に自然を装おうとしていた。<br><br>でも、普通であろうと思えば思うほど、どんどん普通から逸脱していった。<br><br>いつの間にか、記憶の海をかなり深くまで潜っていた。今、目の前に見える海底の岩を、少しだけ動かしてみようと思う。子どもの頃は動かせるとも知らなかった岩。昔より、腕が太くなったから動かせる岩。今まで陽が当たらなかった、自分でも気付くことが出来なかったところを、覗いてみる。<br><br>僕は、わざと失敗していたのかもしれない。<br><br>普通でいることで得られる安心感よりも、普通でないのに受け入れてもらえる安心感の方が、断然強く感じられる。その脳が溶けるような安堵を求めて、抱き締められるような快楽を求めて、僕はきっと何度も失敗に手を伸ばしていた。<br><br>ということはつまり、僕は、普通でないのに受け入れてもらえる安心感を知っていたのだ。<br><br>毎朝普通に起きることすらできない僕を、母親は、最後には受け入れてくれた。<br><br>失敗ばかりの僕もどうかそのままで愛してほしい、という心のどこかにしまった願いは、きっと密やかに叶い続けていた。<br><br>大袈裟に言えば、僕は、愛されていた。<br><br><br>長い間、呼吸を止めていたような感覚だった。僕の瞼は少し濡れ、干した洗濯物は乾き始めていた。<br><br>結局、僕のこの執着心はどこから始まったのか。その答えは、はっきりとは分からなかった。<br><br>ただ一つ言えるのは、あの時応えられなかった母親の期待に、まだ応えようとし続けているのかもしれないということ。<br><br>今の僕は、わざと失敗に手を伸ばすのではなく、ただ正面から認められようとしているのかもしれない。<br><br>もしそうだとして、自分のしていることが本当に正しいのか、まだ分からない。<br><br>ただ、間違いないこともある。<br>普通でも、普通でなくても、僕は僕。<br><br>僕は、腕を大きく回し、自分で自分を抱きしめてあげた。その腕は、綺麗に左右対称だった。</p><br/><a href='https://note.com/potsuri01/n/nf5c4061f516d'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ぽつり</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 19 Jul 2025 14:37:02 +0900</pubDate>
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      <title>ドスケベ野郎</title>
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      <description><![CDATA[<p name="8F0A78C3-2383-41D2-8F14-06B5F0A20B16" id="8F0A78C3-2383-41D2-8F14-06B5F0A20B16"><br> 「文章を書きたい」<br>なんて気取ったことを思った。<br><br>今となってはそれがいつ頃から姿を現した感情なのか分からないが、おそらく、僕の中にもう長いこと住み着いている。<br><br>今週、自分への新たなチャレンジとして配信を始めた。今まで自分が配信をするなんて露ほども思っていなかったけれど、実際にやってみると楽しくて、案外自分に合っているんじゃないかとさえ思えた。<br><br>新しいことを始めるのはわくわくして、気持ちが上向きになる。事実、ここ数日の僕はびっくりするほど調子が良い。<br>「文章を書きたい」という長年内に宿していた憧れに挑戦するなら、きっと今このタイミングだ、と確信した。<br><br>よし始めよう！と思い立って僕がまず最初に取り掛かったのが、掲載するプラットフォームを探すことだった。<br>そう、文章を書き始めることよりも前に、プラットフォームを探すことだった。<br>恥ずかしくなった。<br><br>その見当違いな行動をしている自分に気付いてから、僕の中に潜む下心に次々と目が行くようになった。<br><br>どうしたら出来るだけ多くの人に読んでもらえるだろうか。配信を見た人が、流れで僕の文章も読んでくれないだろうか。逆に、文章から入った人が「この人、喋ってもいるのか」と配信に遊びに来てくれないだろうか。<br><br>悲しいことに、僕はとんだむっつり野郎だった。僕が「文章を書きたい」だと思っていた内に宿していた感情は、そんな無邪気な憧れではなく、「多くの人に文章を読まれたい」という下心満載の煩悩だった。<br><br>自分に興味を持ってもらいたい。文章を読んで、配信を見て、思い違いでも「この人、気になるかも」と思われたい。あわよくばそのまま引き摺り込んで、人として魅力がある人間だと思わせたい。<br><br>自分に近付いてきた人の視線を無理矢理にでも奪って、なんとしてでも僕に向けさせたい。そのまま凝視させて、なんでもいいから、その人の中に僕の言葉を残したい。ぶち込みたい。そして自ずと、目を離せなくしてやりたい。<br><br>諸々の余計な言葉を削ぎ落とせば、「自分を見てほしい」という、ただそれだけのことだった。単純に、ただその一つの欲求に渇望しているだけだった。<br><br>本当は、「プラットフォームなんてどこでもいいから早く文章を書きたい！」という綺麗な心を持っていたかった。心から湧いて出てきたインスピレーションがそのまま衝動的な創作意欲になり、その意欲に素直に従っていたら何とはなしに形になっていき、結果として自然とクリエイティブをしているような、そんなピュアさを持ち合わせていたかった。もっと、穢れを知らない、純粋無垢な顔をしていたかった。<br><br>プラットフォームを探していた時の僕は、一体どんな顔をしていただろう。厭らしく口角が上がっていたかもしれない。鼻の穴が大きく広がっていたかもしれない。気付かぬ内に、涎をだらだらと垂らしていたかもしれない。思い返して、醜い姿になっていなかったかと恐ろしくなる。<br><br>自分が今実際どんな顔をしているのか気になって、鏡で確認してみた。途轍もなく、つまらない顔をしていた。目は座っていて気力が無く、口元は、真一文字に結ぶでも軽く緩ませるでもなく、ただ曖昧に歪んでいた。<br><br>何故だか、ふと、全力で変顔をしてみたくなった。その衝動に身を任せて、目を大きく見開き、口も大きく開き、舌を力いっぱい前に突き出してみた。鏡の中の化け物みたいな顔は、本当に気持ち悪かったけれど、間違いなく僕の顔だった。<br><br>一秒後、苦笑いをしている自分にじっと見つめられていた。初めに見た自分の顔よりも、口角が上がっていた。<br><br>隠していたものは果たして「自分を見てほしい」だけなのか。まだ何かが見つかる気がして、「文章を書きたい」が住み着いていた部屋にガサ入れをした。<br><br>もう腹の底に隠している穢れがないか、徹底的に調べ尽くしたかった。下心を丁寧に洗い出し、証拠品として一つ残らず自分に突き付けてやろうとした。言い訳の余地を与えたくなかった。都合の良い逃げ場なんて、与えたくなかった。<br><br>僕はまだ何か自分自身に嘘をついていないか。</p><p name="9E337E7B-6B50-4CF2-9921-122CB57195F4" id="9E337E7B-6B50-4CF2-9921-122CB57195F4">それを確認する為、完膚無きまで暴こうとした。隅々まで、容赦なく暴こうとした。<br>そして、僕はとんでもないものを見つけてしまった。<br><br> 「僅かでもいいから、金に結びつけたい」<br><br>僕はもう、むっつり野郎なんかとうに超えて、ただのドスケベ野郎だった。<br><br>ここまで書いて、自分が怖くなった。僕はこんなにも欲深く、知らず知らずのうちに飢えていたのか。<br><br>でも、ここまで自分と向き合った今の僕は、「文章を書きたい」という感情にちゃんと誠実でいられている。そんな気がした。<br><br>結局、こんなことを書いてしまった。<br>本当はそう思い込みたいだけだ。<br><br>ここまで自分を追い込み、問い詰めたのに、それでも僕はまた自分を撫でてしまった。最終的に、都合の良い逃げ場を与えてしまった。<br><br><br>書き終えて、初めから読み返した。<br>まるで欲の見世物小屋だった。<br>注目も、承認も、金も、丁寧にそこに並べられていた。<br>でも、その欲たちの顔を改めて見てみると、どこか満足気な表情をしていた。<br><br>普段は見られたくないはずの欲たちが、文章の中でどこかイキイキとしていた。むしろ、堂々としているようにすら見えた。文章という舞台の上で、サーカスをしているみたいに輝き、飛び回っていた。<br><br>やはり僕は、どうしようもなく自分を見てほしいのだと思う。<br>自分の恥部をわざわざ舞台に立たせて、その上これ見よがしに照明まで当てて、拍手されるのを待っている。<br><br>本当に、僕はどうしようもないドスケベ野郎だ。</p><br/><a href='https://note.com/potsuri01/n/n53a67d73c7e9'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ぽつり</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 12 Jul 2025 10:12:00 +0900</pubDate>
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