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シュガヌ・ハむ・パラダむス

珟代人にずっおも比范的アクセス良奜な私のお気に入りの楜園の話をしよう。その楜園の䜕が奜きかっお人間の䞉倧欲求の䞀角をなす食欲をあの手この手でよしよしず満たしおくれるずころだ。䞀面を埋め尜くす皮類豊富な食べ物は党お私のもの。あなたも奜きなものを奜きな分だけ奜きなタむミングで食べるこずができる。たいがい制限時間が蚭けられおいるけれどそれもたたいいスパむス。掻き蟌むように食べおは採逌のためにひっきりなしに垭を立぀この短呚期のサむクルがドヌパミンの攟出を促進する。最埌にはフワフワず幞せな気分になっお垰っおくるわけだがこれは急激な血糖倀の䞊昇によるずころが倧きいだろう。昔から自称・よく食べる人間の私にずっお「食べ攟題」ずいう堎所はこの通り゚ンタヌテむンメント芁玠が匷く正しく倢を芋させおくれる楜園であった。

5月のある日長い付き合いの友人に声をかけられおスむヌツの楜園こず某食べ攟題の店に行った。赀ず癜が基調の内装はさながら䞍思議の囜を連想させる。そしおテヌブルに぀いお目にするのは期間限定のコラボ䌁画ずしお流れる「瀟䌚の荒波に揉たれながら生きる」キャラクタヌ動画。䞭高生やファミリヌがボリュヌム局ず思しき店内でなかなかの図匏である。理䞍尜な扱いにドス黒いオヌラを攟っお怒り絶望するキャラクタヌ。途䞭でモニタヌ内を包䞁が暪切っおいったのが芋えた。え刺したそしお私も軜く絶望した。スむヌツ食べ攟題の店で䞀床もスむヌツのお代わりに行けなかったのである。ファヌストラりンドだっお腰抜けたもので小さめのケヌキを23個平皿の隅に眮いおそれでお終いだ。どちらかずいうず塩気のきいたポテト䞀぀ず぀぀たむので党然枛らないずか生パスタもちもちでお腹にたたる感じがするので䞀床にちょっずしか食べられないずかに手が䌞びる。暪のショヌケヌスでキラキラのスむヌツが控えおいるのにこのザマずんでもなく惚めな気持ちになった。芋枡せば呚りのお客のお皿には底が芋えないほどに盛られたケヌキプリンフルヌツ。私だっおあずもう少しだけ胃袋が倧きかったらそこにいる誰よりも幞せな顔で唇に飛び出したクリヌムを舐めずっおいたのに

その日の食べ攟題で最も心腹満たしおくれたのは豚汁だった。スむヌツ食べ攟題に豚汁の甚意ずはなんず粋な蚈らいであるこずか。別に酒気にあおられたわけでもないのに沁みる染みるず啜るので笑いが止たらなくなった。そしお砂糖が悪さをしお偎頭郚が軋むのず腹12分目の深呌吞の間話題は自然ず「どうしお倧人たちが倧金をはたいお長ったらしいコヌス料理を食べにいくのか」ぞず移っおいくのである。䞊叞ずの付き合いで仕方なく有り埗そう。豚汁片手に真剣に議論した結果出した結論は「倧人になるず胃が受け付ける食事の質が倉わるから」だった。それしか考えられなかった。そのあず眠気が襲っおきおこんどは重だるさず頭のおっぺんにだけ浮遊感。こうしお私はパラダむスにお石像ずなった。店を埌にする前に流し蟌んだカフェむンは圹立たずだ。

ものの数時間で石像こず私の身䜓は残酷な珟実を突き぀けおきた。どうやら私の胃は小さくなったばかりでなく受け぀ける食事の質さえ倉わっおきおいるらしい。果たしおこれは私も正真正銘の倧人になっおしたったずいうこず食べ攟題ずは楜園だず身軜にはしゃいでいた私はずうにあの頃の思い出の䞭に閉じ蟌められおいる。食べ攟題に心が螊る私はちゃんずここにいるのに䞀䜓い぀からこんなこずに思い返せば16ず17の間に瀟䌚の歯車はぎたりず止たり17ず18の間に朝も倜もないくらい勉匷に明け暮れラストティヌンなんお笑っおいたら19を通り越しお20になっお2122。そこにわかりやすい境目は無かったし誰も「今日からあなたは倧人ですよ」ずは蚀わない。「成人おめでずう」はあっおも「子䟛卒業おめでずう」は聞かれない。孊生だから子䟛なんだろうか。20歳を超えたら倧人なんだろうか。保険料を芪に払っおもらっおいれば子䟛なのだろうか。職に就いたらその瞬間魔法が解けたように倧人になっおしたうのだろうか。知り合っお5幎10幎になる友人たちも瀟䌚の荒波に揉たれるうちに私ずスむヌツ食べ攟題になんお行っおはくれなくなるかもしれない。私だっおあんな堎所もう埡免だなんお蚀っおいるかもしれない。

それでも私は倧人になるずいうこず倧人のような振る舞いをしおみるこずをいっさい拒もうずいう぀もりではないのである。䟋えばそんな友人たちずコヌス料理を食べに行くこずを考えおみる。食埌にはドルチェを頌んでコヌヒヌを啜りながら人生に぀いお語るのだ。倧孊卒業祝いに友人3人ずむタリアンのコヌスを食べたのは新鮮な経隓である。銬車道にあるお店で父の昔からのお気に入り。幌いころは連れおきおもらっおも奜きなものを奜きなペヌスで食べられないこずを面癜く思っおいなかったず蚘憶しおいる。それが䞍思議なものでおいしい食べ物をきちんずした順番ずタむミングで食べるず倩にも昇るあの幞せな気持ちを正気なたたで享受できるようになるのだ。メむンの牛肉は歯列の䞊䞋運動をやわらかに受け止めおくれる逞品。お店の人が「牛は普段滅倚に出ないんですよ」ず教えおくれたのは小さなサプラむズだ。食埌のコヌヒヌず䞀緒にテヌブルに䞊ぶティラミスプディング季節のパむ私はガトヌショコラを頌んでみんなで䞀口ず぀シェアしおみる。新生掻頑匵ろう倜9時を過ぎおも匵りを増しおいく私たちの䌚話。店を出るずきも意識ず胃腞はしゃっきりしおいた。

背を向けたスむヌツ食べ攟題店からは盞倉わらず楜しげな笑い声が聞こえおくる。誘っおくれた友人ずは互いの誕生日にプレれントを莈りあう玄束をしお別れた。22にほんの1だけ加えおやるず23になるけれど果たしおどのくらいの時間をかければ1が足されるんだろう。い぀だっおその過皋ず答えは埌ろを振り返っおようやく明らかになる。だけど今この瞬間は絶察に埌ろなんか向いおやらない。あの艶やかさ鮮やかさにずきめく限りひずくちを嚙みしめられる限りきっず倧䞈倫。これからは砂糖たみれの倢ばかりに頌らなくおも倧䞈倫なのだ。振り返らなくたっおあの頃の私があそこでどんなに幞せな顔をしおいたか暖かい県差しで映し出すこずができるのだから  

明日私は23歳になる。

いいなず思ったら応揎しよう