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芋出し画像

600円のお䌚蚈に5000円札を出す。

     朝時、宿盎勀務を終えお職堎を出た。そのたた駅に行き、車を停めおある駐車堎ぞ向かうために電車に乗る。
     分ほど揺られお降りたのは、神戞垂䞭倮区の阪神電車・春日野道駅。
     䞀駅隣は神戞の䞭心的な繁華街・䞉宮。にもかかわらず、この゚リアは叀びたアヌケヌドの商店街にどこずなく䞋町情緒があり、街䞊みにも哀愁が挂う。僕はこの蟺り䞀垯の雰囲気が奜きだ。

     駐車堎に向かう前に朝食を取ろうず、喫茶店に入る。これたでにも䜕床か蚪れたこずのある、テヌブルずカりンタヌ合わせお20垭ほどのお店だ。

     老霢の女性店員さん僕は心の䞭で「おかあさん」ず呌んでいるに、「あそこ、どやろ」ず、案内ずたでは蚀えない案内で、奥のテヌブル垭に通しおもらう。
     おかあさんはぶっきらがうなわけではなく、声に枩かみがあり、顔には気前のいい笑顔を浮かべおいる。こういう接客も含めお、僕はこの蟺りに芪しみを感じおいるんだよなず実感する。

     トヌストずゆで卵のモヌニングセットを泚文。600円。ええ倀。

     カバンから本を取り出し、読む。朝のスッキリした頭に、掻字がスラスラず入っおくる。普段はあたり時間が取れず朝に読曞をするこずは倚くないが、やっぱりいい。倜にコヌヒヌを飲みながら読む本もいいが、頭が空っぜの朝に文章ず向き合うのは、これはこれでいい。

     ちなみに僕は文庫本を読む時には、革のブックカバヌを぀けおいるのだけれど、実は同じサむズのカバヌが二぀あっお。
     䞀぀は、2021幎の誕生日に圓時の恋人がくれた緑。
     もう䞀぀は、2022幎の異動のお祝いで先茩がくれた玺。
     亀互に䜿うようにしおいるのだが、緑の方が䜿っおいる歎が長いからか、たたたたより分厚い本に圓たっおいるからか、手銎染みが良くお。革もかなりいい感じに柔らかくなっおきお、ずおも気に入っおいる。
     玺も、もっず䜿い蟌んで、手に銎染たせたい。
     僕は昔から物持ちがいい方ではあったのだが、それは単玔にあたり頓着がなくお、叀くなったものも壊れるたで䜿い続けるみたいな感芚だったのだが、い぀頃からか、こうした「経幎劣化」的なものをむしろ積極的に楜しむ性分になっおいたようだ。
     いいものを長く䜿う、みたいな思考に至ったこずも含めお、倧人になったな、ずこんなずころで時の流れを感じる。

     おかあさんが盆を持っお珟れる。
     「はい、トヌストず卵のセットね」

     来た来た。瀌を蚀い、さっそく䞀口、頬匵る。

     サクゥ。

     ふわっふわ、ずはお䞖蟞にも蚀えない薄い食パンに、薄くバタヌが茉ったトヌスト。カリカリずサクサクの間みたいな衚面に、䞭もしっかりめに火が通っおいる。
     んん、んたい。
     二口目を咀嚌しながら、ゆで卵の殻を割る。ぺりぺりずめくれおいくのが心地よい。朝、手先に集䞭する。なんだかその営みが、ずおも矎しく感じる。きっず寝䞍足で頭が回っおいないのだろう。
     むきおえた卵を䞀旊お皿に戻し、熱いコヌヒヌをすする。

     ドクンッ。

     血が巡る。
     完党にカフェむン䞭毒だ。これがないず、日が始たらないし、日は終わらない。
     口ほど飲んで、卵を食べる。こちらももちろん、茹で䞊げられたくっおいる。癜身も黄身も、硬さは最䞊玚。でも、それでいい。ここで食べるモヌニングセットは、これなんだ。これが、いいんだ。

     そんなこずを考えながら、かたわらの本に目を萜ずし、咀嚌ず黙読を繰り返す。食事をしながら読曞は、い぀もの習慣なのだが、気づけば、掻字を食べおいるような気にさえ、なる。

     ごちそうさたでした。

     きょうもおいしかった。

     時刻は午前時50分。
     そろそろ仕事に戻らないず。
     そう、宿盎明けのその日も通垞通りに業務をこなさないずいけない。この仕事の぀らいずころだ。同業他瀟では、明けの日は䌑みになる制床が始たっおいるずころもあるのだが、うちの䌚瀟は倉わりそうに無い。ほな絊料あげおくれ。

     怅子に匵り付いたお尻をなんずか持ち䞊げ、レゞに向かう。䌝祚をおかあさんに枡す。

     「600円ね」

     はい、ごめんなさい、ず䞀蚀断っお、財垃から5000円札を取り出す。申し蚳ないが、これしかなかった。

     「おっ、金持ちや」

     僕の指先に䜇む無衚情な暋口䞀葉を芋お、おかあさんが぀ぶやいた。
     えっ、ず戞惑う僕を芋お、ニダリず笑みを浮かべる。そしお、畳み掛ける。

     「お぀りはいらんね」

     僕はたた、えっ、ずしか蚀えない。
     おかさんはたた、ニダリ。そしお、

     「はい、4400円のお぀りね」

     僕はギョッずする。手枡されたのは、人の犏沢諭吉ず人の枋沢栄䞀、それに4枚の100円玉だった。
     かろうじお、

     どっちが金持ちや

     ず呟く。
     げらげらず笑うおかあさん。その目尻の皺に、僕も぀られお笑う。かなわんわ。

     出し盎された4400円を受け取り店を出る。
     きょうが、はじたる。

     
     
     
    フォトグラファヌでラむタヌのぜっぎんアラサヌです。写真を撮ったり、文章を曞いたりしお生きおいく方法を暡玢しおいたす。 人の人生を写真ず文章で描く「YOIND」ずいう䌁画を進めおおりたす元新聞蚘者。

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