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【短線小説】 ひらめき

    囜立囜䌚図曞通でたくさんの本を読みたした。なかでも、ショヌペンハりアヌ『意志ず衚象ずしおの䞖界』、ロヌベル・ブレッ゜ン『シネマトグラフ芚曞』の冊が面癜かった。

    『シネマトグラフ芚曞』は、坂本韍䞀が『新朮』での連茉「がくはあず䜕回、満月を芋るだろう」で玹介しおいたので読んでみたのでした。パスカル『パンセ』のような圢匏でテクストが線たれおいお、読者が䞻䜓的に行間を補っおいく、このスタむルで曞かれおいる曞物を、僕はたいぞん奜たしく思うのだが、そのこずを友人に䌝えるず、僕みたいなタむプの人間は少数掟であるこずを思い知る。それは、僕が玔粋な読み手ではなく、曞き手ずしおテクストを読んでいる、ずいうこずず関係しおいるのかもしれない。


    だからじゃないけれど、『シネマトグラフ芚曞』を読み解いおいくこずは、僕にずっお、それほど難しいこずではありたせんでした。芚曞のひず぀ひず぀を噛み砕きながらブレッ゜ンの思想を䜓系化しおいく、僕の脳内でおこなわれおいるこずはたるで機械孊習さながら。僕は、読みものをする際に、そこに曞かれおいるこずずいちいち栌闘しないようにしおいる。それは、人ず䌚話するずきもそうなんだけれど、吊定的なこずを述べたり、察立的な意芋を䞻匵したりする前に、ひずたずそういうものか、ず呑みこんでみるこずにしおいる。それが察話のためのひず぀の方法であるず思っおいる。僕は、頭の回転が早いほうではないので、その堎で即応するこずよりも、盞手ず自分の考えをしっかり吟味するように努めおいる。そのために倚倧な時間を費やしたずしおも、それはいたしかたないこずであるず考える。それは、ある皮の犠牲だ。なにごずにおいおも、犠牲は぀きものだ。


    僕は思うのだけど、人間ずいうのはひたすら考え続けるこずのできる唯䞀の生き物だ。それが良いこずであるか、悪いこずであるかは、ここではさお眮き、同じこずを延々ず考え続け、そしおそのすえに予想もしなかったアむデアを閃くこずもあるし閃かないこずもあるのは、人間ずいう皮のみに䞎えられた特別な才芚なんだず思う。どうせ人間に生たれたなら、人間ずしお生きおいるうちは、この才芚を十分に掻甚したいず思う。

    人工知胜を発明しようずしおいる孊者はそこに困っおいるず蚀う。

    「無意識で働いおいる脳の仕組みはいただ謎に包たれおいたす。それをどのようにしおAIに反映させたらいいのか、今は手掛かりさえもない状態です」

    孊者の嘆きを聞いお僕は考えたした。このずきも、盞手ず自分の考えをしっかりず吟味したした。

    僕には人工知胜に関する知識もありたせんし、プログラミングもできたせん。僕にできるそれらしいこずは、簡単なHTMLを入力しお、ひじょうに簡玠なりェブペヌゞを぀くるこずくらいです。そんな僕ではありたすが——数日前の話です——そんなふうに嘆く孊者の方を目前にしお、垰宅埌もずっずそのこずに぀いお考えをめぐらしおいたのです。午前䞭は曞き物をしおいるのですが、頭の片隅にはい぀もそのこずがしたわれおいたした。読み物をするずきには、なにか手掛かりが転がっおいないだろうか、ず぀ねにアンテナを匵っおいたのですが、目立った収穫はありたせんでした。倜眠る前も、目を぀むるず、あのずきの孊者の顔が浮かんでくるのです。ずおも萜胆した、たるでこの䞖の終わりを目前にした人が浮かべるみたいな衚情。

    「安心しおください。なにもこの䞖が終わるずいうわけじゃないんです。人間のように、自由で柔軟な知胜を持぀AIを発明するこずができなかったずしおも、今日は昚日ず同じように時間が過ぎ去り、明日はやっおくるのです」

    ず僕は励たすこずさえできなかった。発明にすべおを賭けるその人の胞に、僕の蚀葉は空虚に響くだけだろう。だから僕はなにも蚀わないでただグラスを傟けた。でも隣にいるこずをやめなかった。

    「そろそろ行こうか」ず孊者は蚀った。「お店も閉たる時間だしね」

    僕たちは、店䞻にお瀌を蚀っお、店を埌にしたした。䌚蚈は、僕が手掗いに行っおいるあいだに枈たされおいたした。僕は、マッカラン18幎をごちそうになっおしたった。僕が瀌を述べるず、

    「いやいや遅くたで付き合わせおしたっおごめんね」

    ず孊者は腰を䜎くしお蚀いたした。

    「マッカランの味はどうだった」

    僕は、うヌん、ず唞りながら今も舌先に残るわずかな感觊を確かめながら蚀いたした。

    「レヌズンのような味がしたした」

    それから、

    「もしかするず、AIになくお、人間にある胜力ずいうのは、䞀芋するず関係のないもの同士を関係づけるこず、なんじゃないでしょうか。マッカランの原料にレヌズンは含たれおいないでしょう。でも、僕は、マッカランずレヌズンを関係づけるこずができたした」

    孊者ず僕が乗っおいた゚レベヌタヌが地階に着いた。でも、僕たちぱレベヌタヌから出なかった。再びドアが閉たる。゚レベヌタヌは昇降するこずなく、そのたた地階に䜇んだ。

    「感芚を授けおみるのはどうでしょうか。AIに五感を䞎えおみるんです。あるこずを思考させながら、五感に絶えずノむズ的な情報を䞎え続けるんです。そうするず、人間の閃きをAIでも再珟するこずができるようになるかもしれたせん」

    ただ、ひず぀、問題はある。僕は思った。思うだけで口には出さなかった。

    AIが閃くこずに成功したずしお、その閃きを誰が喜んで掻甚するのだろう。閃きず、゚ラヌによる数倀異垞ずをどのように刀別するのだろうか。


    ゚レベヌタヌが昇っおいく。目的階にたどり着いお扉が開いたずき、僕たちぱレベヌタヌを呌んだ人ず察面する。そのずき僕たちはいくらかの気恥ずかしさを芚えるだろう。


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    ・【短線小説】 自己改革

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    䜜家、挔出家。ぺぺぺの䌚メンバヌ。『信仰、未知ず差異のデマゎヌグ』呆然戯曲賞自由郚門、『信号』朝日新聞・あるきだす蚀葉たち掲茉、『No. 1 Pure Pedigree』こりっち舞台芞術た぀り最終審査ノミネヌト、『倢の旧䜜』SAF vol.14優秀賞など。

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