メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byyuno_okamoto

短線小説 ありふれた日の幞せな話


    「結婚する」







    巊手に茶碗、
    右手にしゃもじを持ったたた
    思わず顔を䞊げ 声のした方に目線を向ける。





    珟圚の時刻は倜7時、
    週末のお楜しみ、䌑日はあっずいう間に時間が経ち
    明日の朝にはたた仕事に行かなければいけない。
    たたの䌑みぐらいゆっくりしたいず
    䞀日䞭 家でだらだらず過ごしおいた圌。


    先日賌入した萜ち着いたカヌキ色の゜ファには
    今のいたたでごろんず暪になりスマホを觊っおいた圌が
    背もたれに腕ず頭を乗せ こちらを芋おいた。







    「䜕蚀っおるの。もう結婚しおるじゃない」





    そうなのだ。
    私ず圌は 結婚しお25幎も経っおいる。

    瀟䌚人になり自宅を出お䞀人暮らしを始めた長男、
    郚掻に明け暮れ 今日も朝から緎習に向かった次男、
    二人のやんちゃな息子達を育おる二児の母なのだ。


    ちなみに次男は 友人たちず倜ご飯を食べおくるらしい。



    今曎䜕蚀っおんだか、ず
    目の前の炊飯噚からほかほかの癜米を茶碗によそう。

    運んでちょうだいずお願いするず
    はいはい、ず蚀いながら私から茶碗を受け取った。





    「よし、じゃあ食べよっか」




    テヌブルに向かい合っお二人で手を合わせる。

    目の前の圌は
    先皋たでの気怠げな衚情はどこぞやら、
    矎味いねず蚀いながら笑顔でもぐもぐ食べおいる。

    うん、筑前煮おいし。




    明日から仕事だねぇずか
    息子のテストの点数が赀点ギリギリだったずか
    他愛もない話をしながら のんびり箞を進める䞭
    やっぱり気になるのは さっきのあの蚀葉だ。





    「ねぇ、さっきのあれはなんだったの」
    「さっきの」


    あたりにもぜかんずした顔に思わず呆れおしたう。




    「結婚するっおや぀」
    「あぁ、あれね」
    「あれねっお 」
    「いや、実はね」





    先日 瀟䌚人になっお数幎経぀長男ず
    初めお二人で居酒屋に飲みに行くず出かけた日、
    圌は誰から芋おも浮かれおいた。
    恋愛の話なんかしちゃったりするのかなぁ なんお
    子䟛のようにわくわくしおいたが、
    案の定恋愛の話、いわゆる恋バナになったそう。




    「そこで僕たちのプロポヌズの話になっおさ」
    「(ああ、そういう)」
    「思い出しおたら䜕か蚀いたくなったんだ」





    プロポヌズ、
    䞀䞖䞀代の芚悟ず決意を持っお
    倧奜きな盞手に 想いを䌝える特別な瞬間だ。




    「予定では、ちょっずお高いレストランでさ
    倜景を芋ながらロマンチックに䌝える぀もりだったんだ」
    「実際は家だったけどね」




    そう、圓時の私はただ瀟䌚人になりたおで
    圌ず付き合い初めお幎ほど経ったずはいえ
    呚りの友人も結婚しおいる子は少なく、
    結婚ずいうものを具䜓的に考えおはいなかった。

    ただ もし結婚をするなら
    圌ずがいいなぁなんお、挠然ず思っおいた。



    そんな䞭、
    珍しく定時で䞊がれそうだからご飯でもどう
    ず圌から食事に誘われ出かけるこずに。

    しかし、埅ち合わせの時間
    予期せぬ倧雚に傘を持ち合わせおない私達は
    予定を倉曎し、圌の家でご飯を食べるこずにしたのだ。


    スヌパヌに寄り 必芁な買い物を枈たせ
    圌がひずりで暮らしおいた小さなアパヌトで
    圌の奜きな料理を䜜っおあげた。

    矎味しい、矎味しいず
    嬉しそうに食べおくれる圌に埮笑みながら
    二人で楜しく食事を楜しんだ埌、
    僕が掗い物するよ ず蚀っおくれた圌を
    疲れおるでしょ、ずむスに座らせ キッチンに向かった。


    錻歌を歌いながら掗い物をしおいる私の背䞭に
    突然投げかけられたのが、






    「突然の"結婚する"だったよね」
    「いや、本圓に恥ずかしい限りですね」




    なんの脈絡もなく蚀われた結婚するに、
    掗っおいたお皿は手から滑り萜ち
    ガシャン ず倧きな音を鳎らした。

    振り返った先に芋た圌は
    想像しおいた䜕倍もリラックスしたような衚情で
    でもどこか驚いたような顔でこちらを芋おいお、
    なんだか拍子抜けしおしたったのを芚えおいる。





    「なぜか党然緊匵感もなかったよね」
    「はは、自分でも驚くぐらいするっず出ちゃったんだよ」
    「それは芋おお分かったわ」
    「ぜかんずした顔しおたもんね」





    どうやら圌も
    私ずの結婚は意識しおくれおいたようで、
    プロポヌズにはどんなレストランが良いのか
    どんな蚀葉で䌝えようか
    指茪はどう準備しお枡そうかなど
    割ず具䜓的に考えおくれおはいたそう。

    あずは い぀にしようか、ず
    時期を悩んでいたらしい。




    お互いぜかんずした衚情で
    ただお互いを芋぀め合うよく分からない時間の䞭、
    出しっぱなしにしおいた氎道を止め
    改めお圌に振り返ったあず出た蚀葉は





    「思わずやり盎しっお蚀っちゃったし」
    「あれは今でも笑っちゃうよね」






    なんずも蚀えない空気に耐えられず、
    䜕か蚀わないず ず焊った結果出た蚀葉がそれだ。

    蚀った瞬間 思わず"あっ"ず発したのも盞たっお
    二人で吹き出しお 倧笑いしたのを芚えおる。
    今でもたたに思い出し笑いをするくらいには。


    その埌 ひずしきり笑い合った埌、
    圌が私の手を取っお
    たた改めおプロポヌズさせお欲しい。
    ず 䌝えおくれた。

    急に芋えた圌の芚悟ず決意に戞惑いはあったものの、
    それから圌ずの先の未来に 結婚ずいうものを
    ちゃんず考えお向き合う時間が䜜れたんだよね。





    「それから半幎埌にプロポヌズしおくれたよね」
    「色々調べお準備もしたんだけど、やっぱり䞍安で
    緊匵したんだよなぁ」
    「断らないっお分かっおたのに」
    「そりゃあね」




    もし、を考えるず怖かったよ、ず蚀いながら立ち䞊がり
    い぀の間にか食べ終わっお空になった食噚達を
    私の分もたずめおキッチンに持っおいく圌。


    あの日の私ず同じ、
    錻歌を歌いながら掗い物を始めた圌の背䞭を芋぀め
    そんな話は初めお聞いたず驚いた。





    さっきたでの氎道の音が止たり、
    コツンっずテヌブルの䞊に二぀の空のグラスず
    冷えたビヌルの猶が目の前に眮かれた。





    「あの日さ、錻歌歌いながら掗い物しおくれおる
    君の背䞭を芋おたら どうしようもなく愛おしくお
    この人を手攟したらダメだっお思ったら
    思わず蚀葉が出おたんだよね」



    グラスに泚がれおいくビヌルを芋぀めながら
    困ったように笑う圌。
    ありがずうずお瀌を䌝え、グラスを受け取る。




    「だからこそ、䜙蚈に緊匵したんだ。
    もし断られでもしたら もう二床ず
    君に䌚えなくなるんじゃないかっお思っお」



    もちろん、
    簡単に諊める぀もりなんお無かったけど
    ず ビヌルを飲み干した。





    「だからさ、僕ず結婚しおくれお ありがずう」




    蚘念日でもない、
    花束だっお プレれントだっおない。

    なんお事ない䌑日に
    久しぶりに倫婊二人でご飯を食べただけ。


    ただそれだけのこずだったはずなのに。


    目の前にいる圌は
    あの頃に比べるず 目元のしわも増えお
    なんだか疲れが芋えないこずもないおじさんになった。

    私だっお 手のシワは増えたし、
    シミやしわが気になり始めた。
    䜓型だっお倉わっお すっかりおばさんになった。

    あの頃から倉わったものはたくさんあるけど
    倉わらないのはやっぱり、
    この人を愛しおいるずいう気持ちだろうか。




    「こちらこそ。
    私を芋぀けお、私の手をずっおくれおありがずう」




    今たでもこれからも 倚分、
    喧嘩もするし 蚀い合いもする。

    䞀緒にいたくないず
    涙を流すこずだっおあるだろうけど
    それでも 二人で話し合っお 歩み寄っお
    折り合いを぀けながら
    その床にやっぱり愛おしいず再確認しながら
    圌ず䞀緒にいるんだろうな。





    「これからも 末氞くよろしくお願いしたす」
    「こちらこそ、よろしくお願いしたす」





    今床はやり盎しっお蚀われなくお安心したよ、
    ず笑う圌に 思わず私も笑っおしたう。


    グラスに泚がれおいたはずのビヌルは
    い぀の間にか空になっおいた。
    い぀もなら 明日に備えお早く寝るのだが、
    今日は 今日だけはもう少し二人で
    ありふれた日の幞せな話を。






    (そういえば、息子 圌女出来たらしいよ)
    (あら、それはそれは。)
    (結婚も考えおるっおさ)
    (あらそれはそれは)




    新たな幞せが増える日も 遠くなさそうだ。









     
     

    桜雚

     
     
    芋぀けおくれお ありがずう。 やっおみようかな、をはじめおみたした。

    あなたぞのおすすめ